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A nuclear power plant in Byron, Illinois. Taken by photographer Joseph Pobereskin (http://pobereskin.com). カレンダー
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Tag Archives: 伝承館
4月15、16日に「ツール・ド・ふたば」開催 福島県大熊、双葉両町の国道6号を走行via 福島民法
福島県大熊、双葉両町で自転車ロードレース大会を計画していた福島民報社は4月15、16の両日、「ツール・ド・ふたば」を催す。特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除により自転車の通行が可能となった両町の国道6号を通るコースを設定。全国のサイクリストに東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から復興する姿を発信する。大会は被災地などを巡る「福島復興サイクルロードレース」としてシリーズ化し、9月に国内最大規模のレース開催を計画している。 16日、大熊町交流施設linkる大熊で開いた委員会で決めた。4月15日は東日本大震災の被災3県(本県、岩手県、宮城県)の高校生を招待し、タイムトライアルを実施する。国道6号の三角屋交差点(大熊町)をスタート、牛踏交差点(双葉町)をゴールに5・7キロのコースを走る。 同日は小中学生から大人までを対象にした「ライドイベント」も開催する。JR双葉駅前を発着とし、浪江町の震災遺構・請戸小や双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館など約40キロのコースを自転車で巡り、被災地の現状を見て回る。 翌16日は13・5キロのロードレースを繰り広げる。性別、年齢別の8部門に分け、伝承館をスタート、国道6号を通過し、大熊町役場本庁舎をゴールとする。 […] 全文
「住民のいない町」JR常磐線双葉駅のある一日 <あの日から・福島原発事故10年> via 東京新聞
東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)から4キロの場所に、JR常磐線双葉駅がある。新しい駅舎に隣接する旧駅舎の時計の針は「2時47分」を指したまま、10年前の地震直後から動かないのだろう。昨年3月に駅周辺や沿岸部の一部で、許可証なしの立ち入りが可能になったものの、インフラ整備の遅れで町民が生活できるのはまだ先。今月5日、「住民のいない町」の一日を玄関口である駅で追った。(潟沼義樹、写真も) 5時56分 東の空にわずかな赤みが差す。いわき(福島県いわき市)行きの上り一番電車に乗降客はいない。無人の改札で、空間線量計のデジタル数字が赤く光る。 […] 21時15分 最終の普通原ノ町行きに、乗降客はいなかった。赤いテールライトがホームから遠ざかり、真っ暗な町に吸い込まれた。 全文
<デジタル発>東日本大震災 「人災としての原発事故」は伝えられているか 記録・伝承施設を訪ねる via 北海道新聞
東日本大震災とそれに伴う東京電力福島第1原発事故からもうすぐ10年。悲劇を記録・伝承する施設が福島県内各地に造られている。これら施設の展示は、地震や津波の恐ろしさを伝える一方、国会事故調査委員会(国会事故調)や政府の事故調査・検証委員会(政府事故調)などが指摘した「人災としての原発事故」の側面や、その教訓を十分に伝えているだろうか。「原発災害があたかも自然災害のように語られ、人災の側面について教訓を伝えるという点が希薄だ」と指摘する専門家もいる。福島県内の施設を訪ねた。(編集本部 斎藤雅史) ■双葉町「伝承館」での違和感 太平洋沿いに福島・浜通りを北上する国道6号から双葉町中心部へ。津波の被害が大きかった海岸方面に車を走らせる。双葉町は、昨年3月に帰還困難区域が一部解除され、避難指示解除区域と立入規制緩和区域に再編された。しかし、いまだ住むことはできない。整備途中の道を進むと荒野のなかに巨大な建物が現れた。 2020年10月に開館したばかりの「東日本大震災・原子力災害伝承館」だ。「福島だけが経験した原子力災害をしっかり伝える」(ホームページ)ことを目的にしている。 設置者は福島県で、「福島イノベーション・コースト構想推進機構」が運営する。機構は「産業基盤が失われた浜通り地域等の復興及び再生」を目的とする公益財団法人で、国や県が出資している。総工費約53億円の施設および展示は、県内にある伝承施設のなかでも最大規模だ。 (略) 東北大・大学院の学生時代に仙台に住み、福島出身の友人や後輩から原発事故当時の話を聞いてきた筆者は、そんな展示に違和感を覚えた。一つは緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)に関する問題だ。政府はSPEEDIの推計結果を把握していたのにもかかわらず、3月23日まで公表しなかった。 政府事故調はSPEEDIについて「少なくとも、避難の方向を判断するためには有効なものだった」としている。しかし、福島県はSPEEDIのデータを受け取っていたのにもかかわらず公表せず、しかも受け取ったメールを消去していた。「震災発生当初の電子メール消去及びその後の詳細調査の懈怠(けたい)など、県の対応に問題があった」(県ウェブページ「SPEEDI電子メールデータ削除問題」)。 その結果、放射能プルーム(放射性雲)が飛散した方向に住民を避難させた浪江町のような自治体もあった。政府事故調でもSPEEDIの情報が生かされていれば「各地方自治体及び住民は、道路事情に精通した地元ならではの判断で、より適切な避難経路や避難方向を選ぶことができたであろう」と指摘している。 しかし、この問題についての展示は「情報を共有することができませんでした」と書かれたパネルの記述だけだった。 (略) 政府事故調は、緊急事態での応急対策拠点施設であるはずのオフサイトセンターが「機能しなくなるような事態になった」と指摘している。その理由として①原子力災害が地震と同時に発生することを想定していなかった②センターが施設構造として放射線対策が取られていなかったーことを挙げている(政府事故調中間報告Ⅶ章)。 パネルや動画による展示でも「複合災害を想定していなかったため」「機能をほとんど発揮できなくなる」事態に陥ったことには言及している。しかし、事故調が指摘した②センターの構造上の問題について説明はなかった。 ■関連死には触れず もうひとつの違和感は、震災関連死の問題だ。福島県警が把握している統計によると、福島県内の震災による死者は1614人(2021年1月11日現在)。一方、内閣府などによると関連死は2313人も発生しており、岩手県469人、宮城県929人と比較しても突出している(2020年9月30日現在、関連死者数集計)。 (略) 語り部「事故から10年、怒りだけでは…」 「なぜ津波のことばかり話すのか」ー。 伝承館で行っている「語り部講演」の語り部、鈴木史郎(ふみお)さん(58)は来館者からこう言われたことが印象に残っている。 (略) 富岡高に勤めている妻を迎えに行く際、普段使わない山沿いの道を通ったことから、国道6号まで迫っていた津波を避けることができた。妻と合流し、被災した大熊町の自宅で一夜を過ごしていたのもつかの間、原発事故が起きた。車や荷物をすべて置いて避難バスで田村市まで避難を強いられることになった。 避難所を転々とした後に福島市でアパートを借りることができた。一方で自宅は帰還困難区域にあり、現在も線量が高く取り壊すこともできない。 原発には複雑な感情がある。東電は福利厚生が保証された大きな雇用先であり、教え子が就職したときには率直に「よかった」と感じた。「事故から10年。怒りだけを持ち続けるというのは難しい」 伝承館の語り部マニュアルは「特定の団体、個人または他施設のへの批判・誹謗(ひぼう)中傷等」を講演に含めないよう求めている。鈴木さんが語り部活動を始めて数カ月、原発事故に関する避難の話も織り交ぜるようになった。伝承館の展示についても「原発、放射能に特化した展示は少ないと感じます。本当は線量計を使う体験などがあればいいのかもしれませんが、難しいでしょうね」という。 恩義を感じる東電への複雑な感情と、放射能の被害について言及が足りないという感情が入り交じっているようだった。 (略) 対して原発事故に関連する展示は、34枚あるパネルのうち10枚。震災関連死についても「いわき市の被害」と記された表に「間接死者数」として137人の数字が記録されているだけだった。 アーカイブ担当の坂本美穂子さんにSPEEDを巡る問題や震災関連死について展示が少ない理由を尋ねると「東日本大震災についてコンパクトにまとめて展示している性質上こうなりました」と話した。 ■「比類なき安全を創造し続ける原子力事業者に」 2017年4月に帰還困難区域の大半が解除された富岡町には、2020年12月2日時点で1567人が帰還した。町内居住者と避難者数を分母に計算すると、帰還率は10%ほど。それでも、双葉町と比べると人が戻ってきている計算だ。 町が帰還を促すために設営した複合商業施設「さくらモールとみおか」のすぐ近くに、洋館の外壁をつなぎあわせた建物がある。2018年11月に開館した東電の廃炉資料館だ。廃炉資料館は、東電のPR施設だった旧エネルギー館の建物を利用している。「廃炉の現状を知ってもらうことを通して、福島の復興につなげていく」(鶴岡淳資料館館長)という。 (略) 1階は「廃炉の現在」というテーマ。全方位型のスクリーンで福島第1原発構内の様子を見ることができる。廃炉現場のロボットの実物や技術開発についての映像もある。 2階は「記憶と記録・反省と教訓」。半円状のスクリーンがあるシアターホールでは、東電の事故対応について簡潔にまとめている。その映像の中では「福島県の皆さま、広く社会の皆さまに甚大な被害をもたらし、今なお多大なご負担とご心配、ご迷惑をおかけしています」と「おわび」が語られる。 「反省と教訓」と名付けられたビデオでは、事故前に安全に対する「おごり」や「過信」があったことに言及しつつ、一方で最後に「比類なき安全を創造し続ける原子力事業者になること」も決意表明している。展示を通して関連死については一切言及していなかった。 (略) センターは2013年にオープンし、その際には佐藤栄佐久・元福島県知事も訪れた。来館者は年間1000人ほど。施設は長野県の養蚕農家の家をモデルに造られた木造平屋建てで、併設するアウシュヴィッツ平和博物館の敷地内に建てられている。アウシュヴィッツ平和博物館は、認定NPOが運営し、ポーランドの国立博物館から提供された犠牲者の遺品・記録写真・関連資料を常設展示する日本で唯一の博物館だ。 センターの管理をしているアウシュヴィッツ平和博物館の館長の小渕真理さん(64)は「現在の計画で30年から40年はかかると言われている廃炉が終わるまで生きているか分からない。未来のためにも事故の記憶は残していかなければとは思う」と語る。しかし「原発災害情報センター」は現在、問い合わせがあった際にのみ開館している。常設のパネルや展示は存在しない。当初は資料の収集や展示についても話し合われたというが、会員の高齢化などで2018年以降休止状態だ。 ■専門家「教訓を残す意識希薄」 「原発を推進してきた事故前、事故発生時、避難を含めた事故対応段階、復旧工事段階に分けてそれぞれの段階での教訓の検証が必要だ。なぜ原発が建てられたのか、県はどういう役割を果たしたのか、ということから展示しないと、あたかも自然に原発ができて事故が起きたことになってしまう。伝承館にはその視点がほとんどない」 … Continue reading
震災と原発事故教訓に 双葉の「伝承館」 教員研修スタート via 福島民報
双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館は二十八日、震災と東京電力福島第一原発事故の記憶と教訓を教育の観点から次世代につなげる学校教員対象の研修事業を始めた。 (略) 研修事業は立命館大准教授で伝承館上級研究員の開沼博氏(いわき市出身)が発案した。年数回開催し、同館の研究員が講師を務める。館内の見学や語り部講話、双葉郡の被災地視察を通し、幅広く震災と原発事故の知識を伝える。防災や復興、放射線などに関する授業を実施した経験のある教員との交流の場も設ける。 第一回研修には県内外の小学、中学、高校の教員ら十二人が参加した。開会式が館内で行われ、開沼氏が「風評や風化を防ぐためには教育の視点が重要。伝承館を拠点に教育プログラムを構築してほしい」とあいさつした。 (略) 最終日の二十九日は、富岡町の東電廃炉資料館、Jヴィレッジ(楢葉・広野町)などを訪れる。開沼氏の「震災・原子力災害の現状と今後」と題した講義を聴く。 全文は震災と原発事故教訓に 双葉の「伝承館」 教員研修スタート 当サイト既出関連記事: 国や東電の批判NG? 伝承館語り部に要求、原稿添削もvia 朝日新聞 「撮影禁止」の福島県・原子力災害伝承館 双葉町の展示要望には応じず via東京新聞
福島の原子力災害伝承館
語れぬ語り部 マニュアルに“特定の団体批判禁止”via しんぶん赤旗 福島県に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」(双葉町)が、館内の語り部へ「特定の団体」の批判を禁止するマニュアルを作成し問題になっています。語り部を務めるのは津波や東京電力福島第1原発事故の被害者たちです。「国や東電に触れずに真実が語れるのか」と批判が高まっています。 伝承館は「原子力災害と復興の記録や教訓の『未来への継承』」などを目的に、9月20日にオープンしたばかりです。総工費53億円は国が全額実費で負担。管理・運営は指定管理者である公益財団法人「福島イノベーション・コースト構想推進機構」です。国の職員も出向しています。 日本共産党の岩渕友参院議員が県から入手した「語り部活動マニュアル」では、語り部に「自覚をもって口演」「笑顔で対応」することなどのほかに、「特定の団体、個人または他施設への批判・誹謗(ひぼう)中傷」は口演内容に含めないよう求めています。語り部は事前に提出した原稿を基に選定するとしています。 伝承館を所管する県生涯学習課の渡辺賢一課長は「特定の団体とは何か」という問いに「一般的、常識的な範囲でご理解いただく」とくり返すばかり。 […] 他県の伝承館や資料館ではどうなのか。 熊本県の水俣市立水俣病資料館は「語り部は患者と家族です。口演内容にマニュアルは設けていない。その方の思ったことを話していただく」と説明。水俣病の加害企業「チッソ」の名を出し批判をする語り部もいるといいます。 […] 全文
福島県、震災公文書の収集基準定めず 一部廃棄の自治体も 問われる伝承館での保管・活用 via 河北新報
東京電力福島第1原発事故の教訓を伝えるため福島県が双葉町に整備した東日本大震災・原子力災害伝承館で、震災関連の公文書の収集基準が決まっていない。全県的な文書管理の議論を先送りにしたまま震災から9年半が過ぎ、本年度に一部を廃棄した避難自治体もある。20日開館した伝承館は資料の保管と活用が役割だが、県は「市町村の公文書に伝承館がどこまで関わるかは議論が必要だ」と腰が重い。 県は震災関連資料の収集を2017年度に始め、約24万点を集めた。県や市町村の公文書はほぼ対象外としたが、19年3月改訂の資料収集ガイドラインで「引き続き調整し、アーカイブ拠点施設(伝承館)での保管と活用を検討する」などと位置付けた。 (略) 大熊町は全量保管中の公文書の一部を今後、町が整備するアーカイブ施設へ移す。10、11年度は震災前後の業務を比較するため全て残し、12年度以降については震災関連以外は順次廃棄する方針に基づき本年度に選別作業を始めた。 浪江町は震災関連を含む全ての公文書を規定の年限で廃棄している。震災前後の公文書は「歴史的な価値判断がつかない」として休校中の浪江小に仮置きしていたが、今夏に校舎の解体工事が始まったため保健師の仮設住宅巡回記録などを廃棄した。 こうした公文書を伝承館が直接保管することは確かに「収蔵スペースなどの問題から現実的でない」(同館関係者)。ただ、伝承館開館は今後の活用を踏まえた保管の在り方を問い直す好機でもある。 全文は福島県、震災公文書の収集基準定めず 一部廃棄の自治体も 問われる伝承館での保管・活用
国や東電の批判NG? 伝承館語り部に要求、原稿添削もvia 朝日新聞
震災や原発事故の教訓を伝える目的で福島県双葉町に20日に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」が、館内で活動する語り部が話す内容について「特定の団体」の批判などをしないよう求めていることが関係者への取材でわかった。県などによると、国や東京電力も対象だといい、語り部から戸惑いの声があがっている。 伝承館は、東京電力福島第一原発事故による避難指示が一部で解除されたばかりの双葉町に福島県が建設した。各地で収集された24万点の資料から150点あまりを展示する。収集費などを含む計53億円の事業費は国が実質全て負担した。国の職員も出向する公益財団法人「福島イノベーション・コースト構想推進機構」が管理、運営する。 語り部は養成講座の参加者や経験者から選び、現在29人を登録。日替わりで配置され、原発事故で長引く避難生活や津波で自宅を失った経験などについて語る。1回の口演につき最長1時間ほどで、1回あたり3500円が支払われる。 […] […] 全文
伝承館開館、展示されぬ教訓多く 内容更新求める声も via朝日新聞
20日、福島県双葉町に開館した県の「東日本大震災・原子力災害伝承館」。事故の記録や教訓を伝える目的の施設だが、国や東京電力の津波対策の不備や情報発信のあり方など展示説明が触れない教訓も少なくない。「人災」と指摘される事故の教訓をいかに伝承するか。展示内容の更新や工夫を求める声が上がる。 […] 一方、原発事故が「自然災害ではなく明らかに人災」(国会事故調査委員会報告書)と指摘される中、国や東電の事故の責任に関する展示説明は少ない。 […] 一方、ウクライナ国立チェルノブイリ博物館や県内の既存施設の展示内容に詳しい福島大学の後藤忍准教授(環境計画)は「失敗を伝えることが次への教訓となるはず」と話す。津波対策の不備については「元の地盤の高さ(35メートル)と敷地の高さ(10メートル)、実際に到達した津波の高さ(15・5メートル)と08年の試算(15・7メートル)を図示すれば、教訓が視覚的にも伝わりやすい」と提案する。 また、事故直後に住民の不信を招いた国や東電の情報発信のあり方についての説明も欠けている。当時の東電社長が「炉心溶融」という言葉を使わないよう社内に指示した「メルトダウン隠し」や、当時の官房長官が「ただちに健康に影響を及ぼす(放射線量の)数値ではない」と繰り返したことは被災地で不信を招いた「教訓」だが、伝承館での展示説明はない。 予測結果の公表が遅れたSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は館内のパネルで「国は予測結果を県災害対策本部に送信したが、情報を共有することができなかった」などと説明するが、批判が集中した公表遅れへの言及はない。 郡山市から川崎市に自主避難する松本徳子さん(58)は「信頼できる情報がなく、不安で避難した」と当時を振り返り、「なぜ避難せざるをえなかったのか。当時の状況を検証して教訓とし、伝承館で伝えてほしい」と話す。 また、事故後の避難の様子を伝えるコーナーでは仮設住宅の案内看板や避難所で使ったストーブなどが展示され、被災者が避難生活について語る映像もある。だが、長引く避難生活による体調の悪化などで亡くなる関連死は死者数に触れる程度で、大熊町の双葉病院で入院患者ら約50人が避難で亡くなったことなど、具体的な説明はない。 「事故前の暮らし」コーナーでは、原発がもたらした雇用など地元への経済効果を説明するが、国から自治体に流れた電源三法交付金の説明がない。交付金でインフラ整備が進む一方、維持費の負担が大きく町の財政悪化を招き、さらに原発依存を深める「副作用」もあった。双葉町の井戸川克隆前町長は「県が建設し、カネを国が出す施設で、自らに都合の悪い説明を避けている」と話す。 多様な原発事故の実態や教訓を伝えるには、展示資料がそもそも少ないとの指摘があり、桜美林大学の浜田弘明教授(博物館学)は伝承館に展示される167点について、「小規模な企画展の展示数並み」とみる。 展示に様々な指摘が出ていることについて、その選定に関わった県「資料選定検討委員会」委員で東北大学の藤沢敦教授(考古学)は「原発被害は続いている。開館後も資料収集を続け、批判も受け止めつつ、展示内容の更新や企画展などを行うべきだ」と話す。(力丸祥子、古庄暢、関根慎一) 伝承館で展示や説明がない主な記録や教訓 ・国や東電が津波対策を怠った経緯 →過酷事故を想定せず、防潮堤のかさ上げが先送りされた ・「人災」の文言 →国会事故調が事故を「人災」と結論 ・国や東電の情報発信 →「メルトダウン隠し」「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」などが住民の不信を招いた ・損害賠償 →国は賠償費を7兆9千億円と想定。4月から電気料金への上乗せが始まり国民負担も ・電源三法交付金 →立地自治体は「電源立地交付金」など多額の交付金を国から受け取っていた ・佐藤雄平前知事の県産米安全宣言 →前知事が2011年10月に県産米の「安全宣言」をしたが、11月に基準値超の米がみつかった 全文