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もんじゅ、開発中止も検討 原発事故受け文科相 via 47 News
高木義明文部科学相は15日の閣議後の記者会見で、高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)について「今後の原子力政策の見直しの中で、一つの課題として方向性を出すことになる」と述べ、もんじゅの開発中止も含め検討していく考えを明らかにした。 また高木文科相は「今回の(福島第1原発の)事故は重大。あらためて議論するのは当然」と述べた。 もんじゅは、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使い、消費量以上の燃料を生み出す高速増殖炉の原型炉。初臨界後の1995年にナトリウム漏れ事故が起き、約14年5カ月間停止。昨年5月に運転を再開したが再び停止。 高速増殖炉原型炉もんじゅ=福井県敦賀市 もんじゅ、開発中止も検討 原発事故受け文科相
「白煙上がった」「半径300キロ内壊滅」 「もんじゅ」巡るデマ騒動相次ぐ via Yahoo News
福島第1原子力発電所の事故に終息のメドが立たないなか、今度は高速増殖原型炉「もんじゅ」への懸念が高まっている。過去に何度もトラブルを起こし、今は原子炉容器内に機器が落下したまま運転がストップした状態だ。 そのせいか最近、もんじゅに関してネット上で騒ぎが相次いだ。出所不明の資料に基づいた「デマ」も広がった。 ■煙の正体は蒸気「放射性物質含んでいない」 「もんじゅから白い煙が上がっている」との情報がツイッター上に出始めたのは、2011年5月28日午前。もんじゅを運営している日本原子力研究開発機構(原子力機構)では、ウェブサイト上で15分おきにもんじゅの外観のパノラマ画像を更新、公開しているが、それを閲覧した人が「異変」を発見したのだ。 ネット掲示板には、更新されたパノラマ画像が張り付けられたが、午後になっても白煙が出続けていた様子が分かる。ツイッターでは「いよいよやばいの?」「絶対に起きてはならない事が起きているのかもしれない」と、事態を恐れる投稿が書き込まれ、中には「拡散をお願いします」と情報を広めようとするユーザーまで現れた。 続きは 「白煙上がった」「半径300キロ内壊滅」 「もんじゅ」巡るデマ騒動相次ぐ
【見えぬ廃炉 第二原発】県外搬出めど立たず 原子力政策行き詰まり 使用済み核燃料 via 福島民報
東京電力福島第二原発1~4号機の全基廃炉は、県と立地町の事前了解により、今月下旬にも始まる。ただ、使用済み核燃料を再処理して使う国策「核燃料サイクル政策」は高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉とプルサーマル発電の低迷で実質的に破綻しており、東電が確約する「使用済み核燃料の県外搬出」のめどは立たない。国策民営による原子力政策の行き詰まりが、二〇六四年度とされる廃炉完了を不透明にしている。 楢葉、富岡両町にまたがる福島第二原発の中央制御室。運転員は十九日も1~4号機の使用済み核燃料プールにある使用済み核燃料について冷却監視を続けた。四カ所のプールにある核燃料は約一万体。一カ所平均二千五百体という数だ。プールの水温を約三〇度に保ち、安定的な冷却を維持している。 東電は使用済み核燃料約一万体の半数ほどを敷地内に新設する乾式貯蔵施設で保管する方針だ。 (略) 福島第二原発では廃炉着手六年後から毎年六百体をプールから乾式に移す。乾式貯蔵施設が満杯になるのは廃炉着手から十四年後になるが、その後の県外搬出について東電担当者は「決まっていない。乾式貯蔵施設の増設も含め、廃炉を進める中で検討する」と曖昧な言い回しに終始する。乾式貯蔵は一時しのぎの対策に過ぎず、「トイレなきマンション」と呼ばれる原子力発電の根本的な問題解決にはなっていないのが実情だ。 使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムを取り出して再利用する核燃料サイクル政策は、順調に進んでいるとは言いがたい。青森県六ケ所村に整備中の日本原燃の再処理工場は稼働時期も定まっていない。東電と日本原子力発電の共同出資会社が青森県むつ市に設けた使用済み核燃料の中間貯蔵施設は二〇二一年度の操業開始を計画しているが審査などが続くため、開始時期は見通せない。さらに、むつ市は事故を起こした福島第一原発や、廃炉が決まった福島第二原発の燃料搬入に難色を示している。 使用済み核燃料の再処理で生じる廃液は高レベル放射性廃棄物(核のごみ)として、ガラスと混ぜた固化体として管理される。最終処分場選定に向けた文献調査を北海道の一部自治体が受け入れたが、住民からは否定的な意見も多く、作業は緒に就いたばかりだ。 (略) 核燃サイクルの先行きが見通せないため、東電も具体的な県外搬出計画を打ち出せる状況にはない。小早川智明社長は十六日、内堀雅雄知事から廃炉の事前了解を得た際、「使用済み核燃料は廃止措置終了までに県外に搬出する方針だ」と述べるにとどめた。 県原子力対策監の高坂潔氏は「使用済み核燃料の問題をどうするか、東電は当事者として政府に働きかける責任がある。政府任せにせず、全国の電力会社とともに根本問題の解決に汗を流すべきだ」と指摘した。 全文は【見えぬ廃炉 第二原発】県外搬出めど立たず 原子力政策行き詰まり 使用済み核燃料
大前研一「これからの福島原発の話をしよう」 via President Online
事故から10年、福島原発の3大問題 福島原発が抱えている課題を大別すると3つある。1つ目は廃炉の難しさ。構造的には原子炉内部は完全に破壊されているはずだが、正確な実態は今もわからない。メルトスルー(炉心の溶融貫通)した燃料デブリに近づけば近づくほど放射線量が高くなるので、遠隔ロボットやカメラを投入してもすぐに劣化して壊れてしまうのだ。 […] 処理水は太平洋沖合に放出すべし 2つ目の課題は増え続ける汚染処理水である。デブリ冷却のための注水に加えて、地下水や雨水が原子炉建屋に流れ込むことなどで発生する放射能汚染水は、今も毎日約140トンずつ増えている。これを多核種除去設備(ALPS。62種類の放射性物質を取り除けるが、トリチウムは除去できない)などで浄化処理した「処理水」を敷地内に増設してきたタンク約1000基に貯蔵してきたが、もはや置く場所がほとんどない。東京電力によれば2022年夏以降に保管容量は限界を迎えるという。 […] 3つ目は使用済み核燃料の問題 3つ目は使用済み核燃料の問題である。この2月末、福島第一原発3号機の使用済み燃料プールに残っていた核燃料556体の取り出しが完了した。メルトダウンを起こした1~3号機で搬出を完了したのは初めてのことだ。1~6号機の核燃料取り出しは、31年に完了する予定。しかし取り出しを終えたのは3号機と4号機だけで、1、2号機には依然として計1007体の使用済み核燃料が残っている。 使用済み核燃料を抱えているのは、福島原発だけではない。使用済み核燃料は、原子炉から取り出された後も熱を帯びているために数年単位の冷却が必要で、原子炉建屋の上部に設置された燃料プ―ルに冷却、貯蔵されている。日本中の原発には、これが大量に貯め込まれているのだ。 なぜこれほどの使用済み核燃料を保有しているかと言えば、政府・自民党がいざとなったら90日以内に核兵器を製造できるニュークリアレディ(核準備)国を目指していたからである。使用済み核燃料からプルトニウムなどを抽出して再利用するプルサーマル技術やウランの利用効率を飛躍的に高める高速増殖炉などの開発政策は、「資源の有効利用」を謳うたいながら核兵器の燃料であるプルトニウムを実は国内に蓄えるための口実でもあったのだ。日本は(長崎型の)核爆弾を1万発ぐらい造れるプルトニウムを保有していると言われている。 しかし1兆円超の巨費を投じてきた高速増殖炉もんじゅが廃炉になり、世界中で濃縮ウランが余っている状況下でプルサーマル計画は頓挫した。使用済み核燃料の再処理についても方向性が定まらないまま、各原発内の燃料プール貯蔵容量は限界に近づきつつある。 使用済み核燃料を再処理する際に出る高レベルの放射能廃棄物「核のゴミ」。この最終処分場について、北海道の寿都町と神恵内村が国の選定プロセスである文献調査(地質図や学術論文に基づく調査)に応募した。文献調査に最大20億円、第2段階の概要調査には最大70億円の交付金が国から出る。過疎や財政難に悩む自治体にとっては魅力的だが、最終処分場の誘致まで進むかどうかはわからない。 核のゴミをガラス固化体にして地下300メートル以深に埋める「地層処分」にするのが国の方針だが、最終処分場はいまだに決まっていない。ガラス固化の技術も未完成。フランスの技術を輸入してやっているが、ゼロから考え直さないと技術的に難しいのではないかと思う。 原子力人材不足の前に方針を決定せよ 核のゴミは国民の電力消費の結果として出たものだから国内で処分するしかない。しかし、この問題はスウェーデンとフィンランド以外、最終的な保管場所が決まった国がないほどの難問だ。バーゼル条約で産業廃棄物は「それが発生した国で処分すべき」と定められているため、国土の広大な国に処分を頼むことも難しい。 率直に言って、最終処分場は福島第一原発がある双葉町と大熊町にするしかないと、私は以前から考えている。原発用地は返すときには廃炉にして施設を解体し、更地に戻して返すことになっている。しかし爆発事故を起こした原子炉の敷地内などは、ほぼ永久に居住不可能と思われる。汚染状況からして更地に戻して返せるのは100年後のことだろうし、返してもらっても地元としても持て余すだけだ。 であれば、住民には手厚い補償をし、周辺も含めて国有地として国が買い上げるべきではないか。そこに最終処分場を造るのであれば比較的、合意も得やすいと思う。 逆の言い方をすれば、一進一退の苦しい廃炉作業を続けているのは原状回復して返す契約があるからで、国が買い上げてしまえばチェルノブイリのように缶詰にして永遠のセキュリティエリアにしまうという考え方もある。 震災、原発事故から10年経ってハッキリしたのは、原発問題にしても、今のコロナ問題にしても、日本政府がいかに無能で問題解決力がないかということ。原発問題は、(アメリカと同様に)事故以降に学生の「原子力離れ」が進んでいる現状を鑑みるに、早く手を打たなければ原子力人材が枯渇していき、半永久的に対処不能になってしまうことも危惧される。もう先送りは止めて、ここで国が意思決定しなければ、ただでさえ長期低落していく日本の歪みは修復不能なものになりかねない。 全文
福島第一原発「廃炉」を選んだ政府と東電…10年が経った今の「ずさんな実態」via gendai.ismedia.jp
町田 徹 原子力政策を一度ただすべき 格納容器内の水位と気圧の低下、そして地震計の故障放置――。 2月13日夜に東北地方を襲った強い地震は、40年かかるとされる東京電力・福島第一原子力発電所の「廃炉」作業を続けることのリスクを改めて浮き彫りにした。「廃炉」は、同原発の設備を解体・撤去のうえ除染して事故前の状態に戻し、人々の故郷への帰還を可能にするという触れ込みだ。 短期間でリスクを大幅に低減できる「石棺」化や「水棺」化の方が安全かつ経済的で現実的だという専門家たちの声を無視する形で、政府・東電が原状回復は可能だと言い張るために断行した国家プロジェクトである。 原子力の分野では、他にも難問が山積みだ。使用済み核燃料の処分地捜しは緒に着いたばかりだし、目玉の高速増殖炉もんじゅの廃炉が決まったにもかかわらず、実現性に疑問符が付く核燃料サイクル計画全体の見直しはほとんど進んでいない。 その一方で、再び原子力を日本のエネルギーの中心に据えようという議論が勢い付いている。ゼロカーボン発電として、原発の再稼働の加速や新設・増設の容認を求める声が経済界から噴出しているのである。 人類史上最悪の原子力事故となった福島第一原子発事故の教訓は、いったい何だったのか。3月11日は、あれから10年の節目にあたる。今一度、原子力政策をただすべき時ではないだろうか。 福島、宮城両県の一部で最大震度6強を記録した地震から一夜明けた先月14日、原子力規制委員会は、廃炉作業中の東電・福島第一原発の5、6号機と廃炉が決まっている福島第二原発の1号機で、使用済み核燃料の貯蔵プールから水が溢れ出したと発表した。東電は、漏れた水はわずかで、いずれもセキの中にとどまっており、外部への影響はないとしていた。 が、廃炉作業下の福島第一原発が依然として不安定な状態にあることを浮き彫りにするトラブルは続いた。 ずさんな廃炉作業の実態が露呈した 最初は先月19日。東電が1、3号機の原子炉格納容器の水位が低下していると発表した。13日の地震により、格納容器の損傷部分が拡大、原子炉建屋内に漏れ出る水量が増えたらしいというのだ。 同社は、原子炉への注水は継続しており、格納容器の底に溜まっているデブリ(溶融核燃料)の冷却には問題がないとしたものの、同社自身が認めているように格納容器の損傷が拡大して漏れ出る水量が増えた可能性がある以上、楽観はできない。 水位が低下を続けると、デブリが露出してデブリから発生する塵が外部に漏れ出てくる可能性や、格納容器内の圧力低下によって汚染されたガスが拡散するといった深刻な懸念があるからだ。 […] 次いで、先月21日の朝、1号機の原子炉格納容器の圧力が低下していることが判明。翌22日の朝には、周囲の気圧と同程度まで下がり低下が止まったという。やはり13日夜の地震によって10年前の事故で損傷した部分が何らかの影響を受けて、気体が外に漏れていると、東電はみていた。 そして、開いた口が塞がらない話が、2月22日に開かれた原子力規制委員会の会合で発覚した、3号機で昨年3月に設置した地震計が2台とも故障しており、取得できたはずの貴重な震度データを取得できなかったというのである。東電は故障を知りながら交換していなかったという。 福島第一原発での東電の杜撰な「廃炉」作業を見るにつけ、チェルノブイリ発電所事故で「石棺」化という封じ込め策を採用した旧ソ連の判断にはそれなりの合理性があったと改めて思い知らされる。 […] 全文
大飯原発 設置許可取り消す判決 via NHK News Web
福井県にある大飯原子力発電所の3号機と4号機について、大地震への耐震性が不十分だと原発に反対する市民グループが訴えていた裁判で、大阪地方裁判所は原発の設置を許可した国の決定を取り消す判決を言い渡しました。福島第一原発事故を教訓にした新たな規制基準が設けられてから、原発の設置許可を取り消す司法判断は初めてです。 関西電力・大飯原子力発電所の3号機と4号機について、関西や福井県などに住むおよそ130人は「大地震への耐震性が不十分だ」と主張して訴えを起こし、設置を許可した原子力規制委員会の決定を取り消すよう求めていました。 (略) 3号機と4号機は現在、定期検査のため稼働を停止していて、判決の効力は国側が控訴すれば生じません。 しかし、福島第一原発事故のあと裁判所が原子力規制委員会の設置許可を否定したのは初めてで、事故を教訓に規制のあり方を大きく見直してきた国は司法から厳しい判断を突きつけられた形になりました。 (略) 【判決言い渡し廷内では】。判決の言い渡しは、4日午後3時から始まり、森鍵一裁判長が、冒頭に「3号機と4号機の設置許可を取り消す」と主文を述べると、法廷に詰めかけた原告や支援者から「おぉっー」というどよめきが起こりました。そして、5分ほどの判決要旨の読み上げが終わると、大きな拍手がわき起こりました。 【原子力規制委コメント】。大阪地方裁判所が福井県にある大飯原子力発電所の設置を許可した国の決定を取り消す判決を言い渡したことについて、原子力規制委員会は「国の主張について裁判所の十分な理解が得られなかったものと考えている。今後については関係省庁と協議のうえ、適切に対応してまいりたい」とするコメントを出しました。 【関西電力“極めて遺憾”】。福井県にある大飯原発の設置を許可した国の決定を取り消す判決が出たことについて、関西電力は、「裁判所に対し大飯原発の安全性について丁寧に説明を行い、理解してもらえるよう真摯(しんし)に対応してきた。今回の判決については国や当社の主張を裁判所に理解してもらえず極めて遺憾で、到底承服できるものではない。今後、判決内容の詳細を確認し、速やかに国と協議のうえ、適切に対応していく」とするコメントを出しました。 (略)【原発訴訟の司法判断】。原子力発電所をめぐる裁判で住民側の訴えが認められたケースは、これで9件目となり、設置許可を無効とする判決は平成15年の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる判決以来、2件目です。原子力発電所の運転停止や設置許可の取り消しを求める訴えは昭和40年代後半から各地の裁判所に起こされましたが、「具体的な危険があるとはいえない」などとして退けられてきました。平成15年に福井県の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる裁判で、名古屋高裁金沢支部が国の設置許可を無効とする判決を言い渡し、これが住民側の訴えを認めた初めての判決でしたが、最高裁で取り消されました。平成18年には、金沢地裁が石川県の志賀原発2号機の運転停止を命じる判決を言い渡しましたが、高裁で取り消されました。こうした中、平成23年に福島第一原発の事故が起き、改めて安全性を問う動きが広がり、住民側の訴えを認める司法判断が増えました。平成26年に福井地裁が福井県の大飯原発3号機と4号機の運転停止を命じる判決を言い渡しましたが、2審で取り消されました。また、運転停止を命じる仮処分の決定も相次ぎ、福井県の高浜原発3号機と4号機では、平成27年に福井地裁、平成28年に大津地裁が2度、運転停止を命じました。関西電力は平成28年3月、大津地裁の1回目の決定が出た際に運転中だった3号機の原子炉を停止させ、司法の判断で運転中の原発が停止した初めてのケースとなりました。運転停止の決定は高裁で取り消され、高浜原発3・4号機は再び運転を始めました。また、愛媛県の伊方原発3号機では平成29年とことし1月に広島高裁が2度、運転停止を命じる決定を出しました。平成29年の決定はその後、取り消されましたが、ことし1月の決定については広島高裁の別の部で審理され、伊方原発3号機は運転できない状態が続いています。原子力発電所をめぐる裁判で住民側の訴えが認められたケースは、これで9件目となり、設置許可を無効とする判決は平成15年の高速増殖炉「もんじゅ」をめぐる判決以来で、2件目です。 全文は大飯原発 設置許可取り消す判決
ふげん使用済み燃料契約「解消を」 行政事業レビュー、原子力機構 無駄遣い次々指摘 via東京新聞
日本原子力研究開発機構の税金の使い方を議論した14日の行政事業レビューでは、機構OBが役員を務めていた「ファミリー企業」との契約の改善が形骸化している実態や、無駄遣いが次々と指摘された。特に、新型転換炉ふげん(福井県敦賀市、廃炉中)の使用済み核燃料をフランスに搬出する準備のための130億円超の契約については、「解消も含め検討を」と見直しを求められた。(宮尾幹成) […] ◆地元向けポーズ レビューでは旧ファミリー企業にとどまらず、ふげんの使用済み核燃料を巡る契約も取り上げられた。 機構は、使用済み核燃料の搬出容器の設計などを検討するため、フランスの原子力企業「オラノ・サイクル」と133億円の契約(18年10月~22年3月)を結んだ。フランスに輸送し再処理することを想定したものだが、そもそも核燃料を海外搬出することも再処理するかどうかも、政府の方針は白紙の段階。再処理を前提とした支出は無駄になる可能性がある。 使用済み核燃料は466体が今もふげんの敷地内に残る。これまでに265体が東海再処理施設(茨城県東海村)に移されたが、同施設の廃止により中断した。福井県、敦賀市とは26年度までの県外搬出を約束しており、準備費の計上を続けることで、搬出先を探している地元向けポーズのように映る。河野太郎行政改革担当相は「非常に無責任だと言わざるを得ない」と批判した。 有識者らは「より安全でコストの低い方策を求める必要がある」として、容器製造の国内メーカーへの変更や、使用済み核燃料の国内貯蔵などを検討するよう求めた。 高速増殖炉もんじゅ(福井県敦賀市)の関連施設で、20年以上にわたって工事が中断している「リサイクル機器試験施設(RETF)」(茨城県東海村)にも指摘があった。もんじゅ自体の廃炉が決まったのに、年間9000万円の維持費が今もかさんでいる。 […] 全文
核実験、トモダチ作戦…「放射能の世紀」を追う記録映画 via 朝日新聞
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から来年3月で10年になるのを前に、パリ在住の映像作家、渡辺謙一さん(69)が新作ドキュメンタリー映画「我が友・原子力~放射能の世紀」を制作した。欧州のテレビ局でこの夏放送されたのに続き、今月、日本国内で巡回上映される。 映画は、放射線発見から今日までの1世紀余りにわたる被曝(ひばく)の歴史を、犠牲者の目線で描く。冷戦期に米ネバダ砂漠での核実験に立ち会った元兵士や、太平洋ビキニ環礁での米国による核実験で被曝した高知県の元船員、福島原発事故後に東北沖で展開された米軍の救援活動「トモダチ作戦」に参加し、被曝したとされる兵士、同事故後に甲状腺手術を受けた人へのインタビューなどで構成されている。 (略) 巡回上映は各地の市民団体などが主催。上映日、会場、主催団体とその連絡先は次の通り。 17日=高知県黒潮町の「大方あかつき館」(太平洋核被災支援センター、0880・66・1763)▽18日=大阪市の「ドーンセンター」(ストップ・ザ・もんじゅ、072・843・1904、前売り券が必要)▽20日=津市の「アストホール」(原発おことわり三重の会、090・5008・4532)▽24日=青森市の「BLACK BOX」(国際NGO LaRoSeHan、070・5363・9674)▽26日=福島市の「フォーラム福島」(会場024・533・1717)など。 渡辺さんのトークがあるほか、会場によっては原子力工学者の小出裕章さんの講演もある。劇場公開は来年春の予定。問い合わせは配給会社インプレオ(03・6407・8031)へ。(田井中雅人) 全文は核実験、トモダチ作戦…「放射能の世紀」を追う記録映画
「原子力離れ」学生の減少続く 原子力委員会が人材枯渇に懸念 via 西日本新聞
原子力分野の研究開発を担い、原発の運転を支える人材が将来不足する懸念が取り沙汰されている。国の原子力委員会が8月末に取りまとめた原子力白書は、初めて人材育成をテーマにした特集を組み、人材の枯渇に警鐘を鳴らした。背景には福島第1原発事故や度重なる電力会社の不祥事でイメージが悪化し、原子力を専攻する学生が減ったことがある。業界団体が技術力の継承を危ぶむ一方、識者の中には「脱原発が進む中で当然の流れだ」と冷静な見方もある。 「福島事故から10年がたとうとする中、原子力分野の足腰を見直すことが求められている」 8月31日、原子力委員会の岡芳明委員長が定例会議で強調した。議題は2019年度版の原子力白書。岡委員長が懸念するのは、原子力分野に進む学生の減少に伴う人材不足だ。白書では43ページの特集を組み、欧米や中国の原子力教育を紹介し、次世代の人材育成の重要性を提言する。 内閣府によると、学生の原子力離れが進んだのは1990年代以降。高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)のナトリウム漏れ事故や東京電力の点検データ改ざんなどの不祥事が不人気に拍車をかけた。その後、福島第1原発事故が発生し、全国の原発が停止。原子力は将来を描きにくい学問というイメージが広まった。 文部科学省の集計では、大学・大学院の原子力専攻入学者は、70年代半ばから90年ごろまで500~600人で推移。92年の約670人をピークに減少傾向となり、2018年には約260人まで落ち込んだ。 […] 全文
原発銀座の50年 あっても、なくても via 東京新聞
<福井県の、ぼく、おおい町出身でね、知ってます? 原発の町、おおい町です> 時事ネタで人気のお笑いコンビ、ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんは、こう切り出した。昨年暮れにフジテレビ系で放映された「THE MANZAI」のひとこまだ。 […] ふるさとの本音を代弁するかのようなマシンガントークが続く。客席は何度も笑いに包まれる-。 「原発銀座」と呼ばれる福井県の若狭湾沿岸部は、世界に類のない原発の密集地。村本さんが言うように、関西電力の大飯、高浜、美浜、日本原子力発電の敦賀、そして日本原子力研究開発機構の実験炉「もんじゅ」と「ふげん」-。廃炉が決まったものも含めて、計十五基の原子炉が湾内にひしめく、まさに「銀座」の様相だ。 […] ◆「平和利用」に誘われて 原発銀座の一丁目、第一号となる敦賀原発=写真、本社ヘリ「まなづる」から=の運転開始から、今月で五十年が経過した。 一九五三年、アイゼンハワー米大統領の「アトムズ・フォー・ピース(原子力の平和利用)」演説をきっかけに、唯一の被爆国日本にも原子力ブームが巻き起こる。 福井県は五七年、産学官の代表による「福井県原子力懇談会」を組織して原発誘致に乗り出した。 繊維に代わる新しい“地場産業”がほしかった。太平洋側の発展に「追いつけ追い越せ」の機運もあった。 核分裂同様、原発立地も連鎖する。原発が立地されると、見返りに電源三法交付金など「原発マネー」が流れ込み、庁舎や保養施設のような、立派なハコモノが建設される。それを見て、近隣の自治体が名乗りを上げる。時あたかも高度経済成長期。電力需要も右肩上がり。若狭の浜辺はこうして「原発銀座」になった。 だが、やがて期待はしぼんでいった。元福井県原子力安全対策課長の来馬克美さんは書いている。 「原子炉建設によって道路などのインフラは整備された。また、建設労働者の流入により、一時的に地域経済が潤いもした。しかし、それは土木建設業界が活躍する建設工事の初期までであり、機器設備類の組立や実際の稼働に入る頃には、原子力発電所建設による利益を受けるのは立地市町周辺に限られることが明らかになっていた」(「君は原子力を考えたことがあるか」) 立地自治体の住民があまねく恩恵を受けたわけでもない。 村本さんと同じおおい町に生まれた作家水上勉は、こう書いた。 「人を信じるしかあるまい。関電の技師さんを信じるしかあるまい。原発の安全は人間を信じることだ。ひとつそれがくずれれば、イカ釣り舟も地獄の宴(うたげ)だ」(「若狭がたり」)。多くの人が不安を押し殺し、原発との共存を自らに強いてきたのではなかったか。 福島第一原発の事故を境に若狭湾の潮目も変わり、うち続く電力会社の不祥事は、地元との信頼関係に、とどめを刺した感がある。 ◆「百年」はあり得ない 老朽化した敦賀1号機は廃炉が決まり、2号機直下には大地震を起こす恐れのある活断層の存在が指摘されている。3、4号機の建設予定地は更地のままだ。新増設の見込みはない。原発銀座に「百年」はあり得まい。世界は再生可能エネルギーの時代になった。 半世紀-。原発の真の受益者は、地方が送る電気を使い繁栄を謳歌(おうか)してきた都会の電力消費者だった。若狭のような供給地の未来をどうするか。消費者もともに考える時。例えば村本さんの原発ネタが、きっかけになればいい。 全文