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Category Archives: *日本語
注目の人 直撃インタビュー
原発が嘘を告白し懺悔 ノンフィクション小説の著者に聞く via 日刊ゲンダイ 加藤就一さん(NNNドキュメントディレクター) 世界最悪レベルの福島第1原発事故から10年。世界が脱原発に向かう中、日本は「脱炭素社会の実現」を奇貨として原発推進に突っ走ろうとしている。なぜ、世論はブレーキをかけないのか――。原発を主人公に描いたノンフィクション小説「ごめんなさい、ずっと嘘をついてきました。福島第一原発 ほか原発一同」(書肆侃侃房)で知られざる真実を暴いた著者に聞いた。 *インタビューは【動画】でもご覧いただけます。 ■「アンダーコントロール」はオンエアできず ――著書を読むと、政府があの手この手で原発関連の情報を長年コントロールしてきているのがよく分かります。 僕は鉄腕アトム世代です。超小型原子炉で100万馬力、などと原子力は素晴らしいと刷り込まれた国民でした。福島原発事故が発生し、調べ始めたら、今まで信じていたことが全部嘘だということが分かった。この嘘っぱちをきちんと伝えないといけないと思いました。 ――安倍首相(当時)は東京五輪を招致した2013年のIOC(国際オリンピック委員会)総会の演説で、福島第1原発について、日本語では「港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」と表現する一方、英語では「アンダーコントロール」と使い分けました。 「お笑い芸人vs原発事故」という番組を制作している時、演説の英語版を使おうとしたら、英語版はオンエアできないようになっていた。見比べてみたら、驚くことに肝心な部分がごっそり変えられていた。英語版では安倍首相は「私は完全に保証します。状況はアンダーコントロールです。これまでも、これからも(放射能は)どんなダメージも東京に与えません」とスピーチしているのです。 ――コロナ禍で東京五輪開催が流動的になっています。政府は復興五輪と銘打って招致しました。 五輪までに復興を成し遂げたことにするため、復興を否定するものは平気で隠してきました。例えば、放射線量を測定するモニタリングポストです。福島県内に設置されている約3000台のうち、8割を五輪前に撤去しようとしたのです。復興したはずの福島にそんなものがたくさんあってはマズいからです。 ――撤去したのですか。 地元のお母さんたちが猛抗議して、撤回させました。廃炉作業は続いている。何か起きた時、モニタリングポストがなければ、速やかに察知できませんから。お母さんたちはよく勉強している。原発関連の番組は、まずお母さんたちに分かってもらい、それを子どもたちに伝えてもらおうという意識で作っていました。 「略) メディアは特オチとスポンサーを恐れる ――海洋放出を巡る報道をどう見ていますか。日刊ゲンダイで「処理水」ではなく「汚染水」と記したところ、記事配信されたヤフーニュースのコメント欄に「悪意がある記事だ」という書き込みが少なくありませんでした。 それが政府の狙いですよ。原子力規制委員会の更田豊志委員長は報道各社に「汚染水」ではなく「処理水」を使うように申し入れた。記者クラブ加盟社が規制委トップに逆らえば、1社だけ情報を流してもらえなかったりする。それで新聞社もテレビもトリチウムが残る「処理水」という言い方に統一してしまったのです。ニュースを見た読者や視聴者は「処理水、安全ね」と刷り込まれるわけです。しかし、ALPS(多核種除去設備)ではトリチウムは除去できない。処理できないのだから処理水のはずがない。100%汚染水ですよ。 「略) ――原発報道の影響が大きい。 震災直後は割と自由に事実を報道できていましたが、だんだんと時間が経ち、できなくなっていった。 ――それはなぜですか。 福島事故直後の東電は、破産状態のようなもので、広告出稿をやめました。その間、メディアは自由に動けた。ところが、東電が少しずつ広告を出すようになると、顔色をうかがう報道姿勢になっていく。東電以外の電力会社についても地方メディアの大スポンサーなのでどこも同じことが起こる。例えば、極細半島に建てられた愛媛の伊方原発は原発より半島の先に住んでいる約5000人の住民が避難できないという致命的な欠陥がある。しかし、地元放送局ではそうした問題を取り上げる番組は作れない。代わりに東京の私が作りました。 ――メディアが電力会社を批判できないから、原発政策が推し進められるのですね。 政権とメディアの関係も同じ構図です。総務省が東北新社に勤める菅首相の長男と会食を繰り返していた問題がありました。あってはならない接待ですが、安倍政権時代にすごくはやったのが、テレビ各局の社長や報道局長と首相との会食です。総務省の接待問題と何ら構図は変わりない。メディアは本来、権力を監視しなければいけない立場なのに、社長と報道局長が首相とニコニコ食事をして仲良くなる。ひと昔前だったら、首相から会食の誘いを受けても、「お気持ちだけいただきます」と丁重に断るのが報道機関だった。それがなんとなくグジュグジュになってしまった。それではメディアはかみつけませんよね。隠蔽、改ざん、言い換え、ごまかしなど、情報を都合よくコントロールする政権が続き、政府にも電力会社にも斬り込めないメディアという環境ですから、国民は何も知らされないまま、原発推進が再び加速していくのです。根はとても深い。 (聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ) 全文は原発が嘘を告白し懺悔 ノンフィクション小説の著者に聞く
専門家「質の低下」懸念〜福島の甲状腺検査 via OurPlanet-TV
福島県の「甲状腺検査」をめぐり、福島県は4月から、学校検査における同意書取得の方法を一部、変更した。これについて、公衆衛生の専門とする岡山大学の津田敏秀教授は「通常、あり得ないこと」と批判。受診率が大きく変化するような検査方法の変更は「検査の質の低下につながる」と警鐘を鳴らす。一方、検査を実施している福島県立医科大学は、「大きな影響があるとは考えていない」との見解を示し、受診率の低下についても試算していないことを明らかにした。 福島県の甲状腺検査は、「子どもたちの健康を長期に見守る」とともに、「甲 状腺の状態を継続して確認する」ことを目的に、原発事故当時18歳以下だった福島県民と胎児38万人を対象に、2年ごとに実施されてきた。受診率は年々低下しているものの、学校での検診を受診できる6歳から18歳の年代は今も8割から9割の高い受診率を誇っていきた。 […] 福島県民健康基金の残高は580億円 福島県民健康調査の「甲状腺検査」は、国と東京電力が拠出した1000億円の「福島県民健康基金」をもとに、30年間継続することを目指して開始された。初年度は、県民200万人の外部被曝線量を推計する「基本調査」に予算を割いたが、2014年度以降は「甲状腺検査」に充てる費用が最も多く、数年は8億円前後となっている。昨年3月までに基金全体の残金は580億。福島医大内の人件費に充てる割合が徐々に増えている。 また甲状腺検査については、福島県立医大の倫理委員会に研究計画書を提出した疫学研究で、予想される研究結果として、「放射線の甲状腺に対する影響を評価でき、現時点で予想される外部被曝並びに外部被曝を考慮すると、その影響は極めて少ないことを明らかにできる」としている。 […] 動画と全文
九州で原発4基分がムダに なぜ再エネ電力は捨てられるのか?via 毎日新聞
九州で、せっかく発電された太陽光など再生可能エネルギーの電力が使われない事態が頻発している。発電能力(設備容量)で見て、原発4基分もの電力が送電できないまま、無駄になっている日もある。政府は2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)実現を目指し、再エネの主力電源化を目指しているはずなのに、なぜこんなことが起こるのか。そこには二つの「壁」が立ち塞がっている。 再エネの電力がなぜ使われないのか。まず、その仕組みを確認しておきたい。 電力会社は、電力の需給バランスを保つため、電力使用量が少ない時には、発電会社に一時的に発電の抑制を求める「出力制御」を行う。例えば春や秋は、冷暖房の使用が減る。電力需要が少ないのに、発送電を続けて需給バランスを崩してしまうと、周波数の乱れなどによって、最悪の場合、大規模停電の事態を引き起こす。 […] もっと読む。
津波対策見送りは「合理的だった」 東電元副社長、福島第一原発事故株主代表訴訟で証言 via 東京新聞
[…] 武藤元副社長は業務上過失致死傷罪で強制起訴され、2019年9月の一審判決で無罪になった。公の場で証言するのは、18年10月の被告人質問以来。 武藤元副社長によると、部下から08年6月、国の地震予測「長期評価」に基づくと、従来の想定の3倍近い高さの大津波が原発を襲うとの試算結果の報告を受けた。その1カ月後、防潮堤工事などの対策を取らないまま、外部機関に試算方法の検討を依頼するよう指示した。 武藤元副社長は長期評価について、部下から「根拠がよく分からず、試算結果も信頼性はない」と説明されたとも証言。「担当者がよく分かっていなければ、何も決められない。社外に意見を求めるのは、適切でごくごく自然なやり方だ」とよどみなく話した。 次回7月6日の口頭弁論では、武藤元副社長のほか勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、清水正孝元社長、小森明生元常務の証人尋問がある。(山田雄之) 全文
福島の原発周辺での除染 2%で効果確認できず 会計検査院via 毎日新聞
東京電力福島第1原発事故に伴い除染作業が行われた福島県の原発周辺の約1万2800カ所で、除染後の線量が除染前の数値を下回らず、除染の効果を確認できなかったことが会計検査院の調査で判明した。環境省のガイドラインなどは、除染作業後に線量調査を行う時期を定めておらず、検査院は26日、除染効果を統一的に確認できる手法の検討などを同省に求めた。 福島県内の11市町村にまたがる地域は「除染特別地域」に指定され、2012~17年に住宅や農地、道路などで除染が行われた。[…] 検査院がデータのそろう56万1232カ所を調べたところ、全体の2・2%にあたる1万2894カ所で、除染後の線量が事前と同じか上回っていた。放射線量は時間の経過とともに自然減衰したり、降雨などで変化したりする。56万カ所の事前と事後の調査間隔は平均は245日だが、90日未満~730日以上とばらつきがあった。 環境省によると、帰宅困難区域の「特定復興再生拠点区域」で現在も続く除染作業では、作業後すぐに線量測定を行うよう改められているという。【山崎征克】 全文
原発は温暖化対策になり得ない via 論座
先進型原子炉もコストが合わず、米国でもまだ導入がない 明日香壽川 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授 相変わらず温暖化対策として原子力発電を推す声がある。 そのような声はバイデン政権の米国でもある。確かに、バイデン政権は、温暖化対策の一つとして「先進型原子炉(Advanced nuclear)」を選択肢とすることを表明している。 […] しかし、米国の多くの専門家は、「先進型原子炉は、コスト、スピード、公共の安全、廃棄物処理、運用の柔軟性、グローバルな安全保障の面で、温暖化対策の他の選択肢である、再生可能エネルギー(以下、再エネ)、省エネ、蓄電池などに対抗できない」と考えている。 すなわち、実際には、米国で先進型の原発が導入される可能性は極めて小さい。本稿では、米国で先進型の原発が導入されない理由を具体的に示すことによって、日本における温暖化対策としての原発維持・新設の問題点について述べる。 建設費も運転コストも圧倒的に高い 政府機関である米エネルギー情報局(USEIA)は、毎年、発電エネルギー技術の発電コスト比較を発表している。その2021年版では、原子力発電(第三世代の先進型)および石炭火力は、再エネよりもはるかに高い(表参照)。 […] 全文
チェルノブイリで再び核反応くすぶる 中性子線量が上昇中 via Newsweek
青葉やまと <炉心下に残る燃料デブリが再びくすぶりはじめている……> 史上最悪の原発事故から35年が経ったチェルノブイリで、再び事故の懸念が浮上している。事故後の施設を監視している科学者たちが、中性子線量モニターの数値が上昇していることを確認した。 以前からいくつかのスポットで数値は上昇傾向にあった。今回問題となったのは反応炉の下方にあたる「原子炉下部区画305/2」と呼ばれる空間で、過去4年間で数値が2倍近くにまで増加していることが判明した。中性子線量の増加は、核分裂が加速していることを示す兆候だと考えられている。 […] 新造のシェルターが仇となった可能性が指摘されている 事故から35年を経たチェルノブイリで再び核分裂反応が加速している原因は不明だが、一説には近年新設したシェルターが原因ではないかと言われている。 チェルノブイリ原発は事故後、俗に「石棺」と呼ばれるコンクリートと鉄の構造体で覆われた。急造された石棺は密閉性が不足しており、雨漏りの問題を抱えていた。一般に、水は減速材として機能する。すなわち、水があることで中性子が減速してウランの原子核に当たりやすくなり、核分裂反応が促進される。大雨で石棺内部が増水すると中性子線量が急増することがあり、再臨界の危険が指摘されてきた。 そこで、今から5年ほど前、雨漏りの抑制と放射性の塵の封じ込めなどを目的として、石棺を覆うアーチ状の新シェルターが架けられた。懸案だった雨水が遮断され、それまで中性子を減速させていた水が失われたことで、雨漏りによる再臨界の危険性は払拭された。 しかし、今度は燃料デブリの乾燥を招き、これが核分裂を加速してしまった可能性があるという。詳細なメカニズムはまだ判明していないものの、首都キエフの「原子力発電所の安全問題に関する機関」(ISPNPP)によるシミュレーション・モデルでは、燃料が乾燥することで中性子が活発に反射するようになり、かえって核分裂反応を促進している可能性が示された。 現在デブリ周辺に残っている水が核反応熱によって完全に蒸発すれば、デブリ内部で暴走反応が起きる危険性も否定できないという。ISPNPPのマキシム・サベリエブ氏はサイエンス誌に対し、爆発事故には至らずとも、老朽化が進む古い石棺の一部を破損させ、新シェルター内部に放射性の塵が充満するシナリオは考えられるとの見方を明らかにしている。 今後は線量に耐えるロボットの開発が期待される ISPNPPのアナトリー・ドロシェンコ氏は、現場となっている原子炉下部区画305/2をさらに詳細に調査する計画だ。現在くすぶっているウラン燃料が自然と安定に向かうのか、あるいは危険を冒してでも人の手を介入させ抑制する必要があるかを、まずは見極める必要がある。 サイエンス誌によると同機関のサベリエブ氏は「不確実な点が多い」としながらも、「けれど(今後の)事故の可能性は排除できない」とも述べ、慎重に調査を進める方針を示している。 調査の進展によっては、事故から35年間封印されてきた原子炉下部区画に初めて孔が開けられる可能性がある。室内に硝酸ガドリニウムを散布して中性子を吸収し、核分裂反応を停止させる案が検討されている。 […] 中性子線量の上昇は緩やかであり、対処法を検討するまでに今後数年の猶予があるものと見られる。ハイアット教授は、ISPNPPが今後何らかの解決法を編み出すことに期待感を示している。事故から10年が経つ福島も同程度の災害規模であることから、日本も興味を示すのではないかと述べ、今後の事態に備えた先例を作れるのではないかとの見通しを示した。 全文
学校の「同意書」回収打ち切り〜福島県甲状腺検査 via OurPlanet-TV
東京電力福島第1原発事故後、福島県で実施されてきた「県民健康調査」。17日の検討委員会では、福島県民200万人を対象に実施されてきた「基本調査(外部被曝線量調査)」の終了が了承されるなど、大きな節目を迎えた。甲状腺検査も、学校が同意書の回収に協力する従来の手法を打ち切り、4月以降は、福島医大に直接、同意書を返送した子どもだけを、学校検査の対象とする。星北斗座長が近日、内堀雅雄県知事に報告する。 「基本調査」事実上の終止符原発事故後4か月間の行動記録に基づき、外部被曝線量を推計した「基本調査」。2011年6月の調査開始から今年3 月31日までに、約205万人 の対象者うち、約56万人8000 人が回答した。放射線業務従事者を除く住民の平均値は 0.8mSvで、2mSv 未満が93.8%、5mSv 未満が99.8%で、「健康影響が認められるレベルではな い」と結論づけた。 行政への不信感の高まりから、当初から回収率がふるわなかった「基本調査」。途中、調査表を簡易化するなどテコ入れを図ったが、調査回答者数は徐々に減少し、2019年度の回答者数はわずか301 件にとどまった。これ以上、回答率の向上が見込めないことから、3月末で検査を打ち切り、今後は、被ばく線量を知りたいという県民がいれば対応する。対象者が200万人を上回る前例のない大規模な被曝調査だったが、10年かけても、回収率は3割を割ったままに終わった。 学校検診の受診者、大幅減か注目度の高い甲状腺検査も事故10年目でひとつの節目を迎えた。従来は、福島医大へ対する同意書の返送が遅れている家庭に対し、学校に回収の協力を依頼するなど、協力を要請してきた。しかし、これを3月末で打ち切り、福島医大に同意書を提出した子どものみ、学校検診の対象とする運用に切り替える。県によると、4月1日から、すでにこの方法で実施を始めているという。 甲状腺検診をめぐっては、一部の委員が治療の必要のないがんを見つけている「過剰診断」が起きているとして、検査の縮小を主張。とりわけ、学校での検診について、事実上、検査が強制的になっているとして、授業内の検査を中止するよう求めてきた。 これを受け、福島県は昨秋、学校へのヒヤリングを実施。1月の検討委員会で報告したところ、環境省の田原克志環境保健部長が、学校側が同意書の回収を肩代わりしていることを問題視。見直しを求めていたが、これを取り入れた。 県は今年3月、学校のヒヤリングに続き、甲状腺検査の対象者である子どもや中高生の子を持つ保護者ら計9人にヒヤリングを行なったが、この内容を検討委員会に報告する前に、これまでと異なる運用に変更をしたことになる。学校を通じて同意書を提出していた家庭は3割にのぼることから、4月以降、学校検診の受診率が大幅に低下し、甲状腺がんの発症状況を把握するという検査の目的の一つに大きな影響を与える可能性がある。 甲状腺がんは280人へ甲状腺検査結果では、昨年9月までの検査4巡目と25歳の節目検診の結果が新たに公表された。検査4回目では、穿刺細胞診で甲状腺がんの疑いがあると診断された子どもは前回より3人増えて30人に、甲状腺の摘出手術を受けた子どもは前回より9人増え25人となった。また、25歳の節目検診で、穿刺細胞診で甲状腺がんの疑いがあると診断された子どもは前回より2人増えて8人に、甲状腺の摘出手術を受けた子どもは前回より1人増え6人となった。 […] 全文と動画
井戸謙一「子ども脱被ばく裁判で見えたこと:福島原発事故と放射線被曝」 via UPLAN
【オルタナティブな日本をめざして(第59回)】 去る3月1日(月)、福島地裁で2014年から続いてきた「子ども脱被ばく裁判」の判決がありました。この裁判で原告らは、地方自治体に対し、子どもたちに放射能汚染地帯ではない安全な場所で教育を受ける権利があることの確認を求め、また、国や福島県に対し、福島原発事故後に国や自治体がした不適切な住民防護対策の結果無用の放射線被曝をさせられたことを理由とする慰謝料(わずかな金額)の支払を求めていました。しかし判決は原告らの訴えのすべてを退けました。今後この裁判は仙台高裁での控訴審に移ります。 他方で、この長期間にわたる裁判では、あの山下俊一(長崎大学教授)や鈴木眞一(福島県立医大教授)の証人尋問を含む弁護団による詳細かつ緻密な調査や証努力の結果、国や自治体による住民防護対策に関する様々な事実が明らかになり、その対策の不合理性や危険性が浮き彫りになりました。 今回は、この裁判の弁護団長である井戸謙一弁護士においでいただき、福島原発事故10年を期してのご講演をいただきます。歴史的な講演になると思われますので、みなさまのふるってのご参加をお待ちいたします。 講師:井戸謙一(いどけんいち)弁護士プロフィール:弁護士、滋賀弁護士会所属、元裁判官、福井原発訴訟(滋賀)弁護団長、子ども脱被ばく裁判弁護団長、「原発を止めた裁判官」(2006年金沢地裁で石川県志賀原発2号機運転差し止め判決)、殺人罪で懲役12年の判決を受けて服役後、再審無罪が確定した元看護助手、西山美香さんの主任弁護人。