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「大雨の影響で、汚染水の量が一時的に約3000トン増加しました。大量の雨水が損傷した原子炉建屋の屋根から内部に入り込み、核燃料を冷やすために循環している汚染水に混ざったようです。東電は『一時的に汚染水は増えるものの、設備に異常はなく浄化処理を続けている』と発表していますが、建屋の水漏れなどを知らせる警報が10件確認されている。これについても『警報器に雨が入り込むなどした誤作動で、汚染水が漏れた形跡はない』と発表。しかし『本当に汚染水は漏れていないのか』と地元では懐疑的な声が飛び交っています」(地元記者)
かように、汚染水ダダ漏れの可能性が指摘されているのだ。
だがこの点についても、肝心の東京電力は「汚染水は基準値のまま」とにべもない。
「今回発表した約3000トンという数字は福島原子力発電所1〜4号機の全建屋にたまった合計の数量になります。水かさで言うと平均40センチ程度。いずれも、建屋内に保管できる水量を超えるような数字ではありません。また、警報器は液体全てに反応する仕様です。アラームが鳴るたびに作業員が線量を確認しています。屋内の床面に設置しているため、多少の雨であれば、鳴ることはありません。ですが、今回は大豪雨のために一部の屋内にも雨水が流れてしまい、警報器が作動してしまいました。警報ごとに空気線量と水線量を測ったところ汚染水の基準値ではなかったため、汚染水の漏れはなかったと発表しました」(東京電力広報室)
この東電の発表に対し、楽観できるものではないと、ジャーナリストの村上和巳氏が解説する。
「確かに約3000トンの水が建屋やその地下水に流れても、問題なく浄化処理は続けられます。ただ、原子炉内の水の循環は非常に緻密な調整を求められます。建屋内の水量を地下水で調整することで汚染水を外に漏らさない仕組みになっているのですが、3000トンの処理はイレギュラーな量になります。平常時は約170トン程度でしょうから、ふだんの調整とは大きく変わってきます。サジ加減を少しミスしてしまうと、高濃度汚染水がコンクリート擁壁のひび割れを通じて地下に流れてしまうおそれがある。台風の影響で地下水の量も増加するので、今後も警戒が必要です」
かつて「想定外」が何度も繰り返された福島原発事故を彷彿させる、この台風19号の悲劇で、復興への道のりも牛歩のごとく進まないはずだ。あまりにも残酷な現実がここにある。