電源開発(Jパワー)が青森県大間町に建設中の大間原発をめぐり、北海道函館市の市民団体らが国とJパワーを相手取り、建設の差し止めなどを求めた訴訟の判決が19日、函館地裁であった。浅岡千香子裁判長は「建設の見通しが立たない中で、現時点で重大事故の危険性を認めることは困難」などとして、原告の請求を棄却した。
訴訟は津軽海峡を挟んで最短18キロにある函館市の市民団体「大間原発訴訟の会」(竹田とし子代表)を中心に2010年7月に提訴。商業炉としては世界で初めてプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を全炉心で使う「フルMOX」の安全性や原発周辺の活断層の有無などが争点になった。
原告側は「フルMOX」は原子炉制御棒の効きが悪くなるなど、「安全性が証明されておらず、危険」と主張。また、原発敷地の北約10キロ沖に長さ約40キロ以上の活断層があるほか、過去に噴火した「銭亀カルデラ」と呼ばれる海底火山などがあるが、影響が考慮されていないと指摘した。
Jパワー側はフルMOXの特性は炉心の設計などに適正に考慮されていると反論。海上音波検査などで周辺に活断層はなく、「銭亀カルデラ」も過去の記録などから再噴火の可能性はないと主張した。
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大間原発をめぐっては、この訴訟とは別に函館市が14年4月、自治体として初めて原発建設の差し止めを求める訴訟を東京地裁に起こし、審理が続いている。【山田泰雄】