取材 桐島瞬(ジャーナリスト)
福島県郡山市の公園には、住民に知らされることなく、放射性物質に汚染された大量のゴミが埋められている。
高い放射線量が計測されるそうした公園の多くが、子どもたちが日常の遊び場としている「子ども公園」だ。
公園の数は、少なくとも21カ所。
警戒を促す表示もない「住民が除染した側溝の汚泥などを、公園に埋めてしまったんです」
こう呆れるのは「子どもたちの健康と未来を守るプロジェクトの郡山代表・武本泰氏だ。
武本氏が問題視するのは、市の「線量低減化活動支援事業」。
町内会やPTAなどを通じて、住民に自発的な除染作業を促し、
通学路などの放射線量を下げることを目的としている。
協力してくれた団体には最大で50万円の補助金が出ると言う。
だが・・・・・・。「私の住む桃見台地区でも11年11月に住民への除染要請がありましたが、事前説明が全くなかったんです。
汚染ブルの処理について説明するよう求めても、『時間がない』『町内会長からの承諾は得た』の1点張り。
掲示板などで知った一部の住民が、子どもたちのためにと、汚染された泥をすくったんです」(武本氏)こうして出た汚染ゴミは、頑丈なプレコンバックではなく、
簡易な土嚢袋に詰められ公園に埋められた。
武本氏の請求に基づいて市が公開した資料によると、
穴の底に遮水シートを敷き、その上に放射性物質が詰まった土嚢袋を保管し、36cmの覆土をした。
桃見台公園には、1500もの土嚢袋が埋められているという。市北部にある八山田公園を訪れた。
放射線量を測ると、
国の除染基準(毎時0.23マイクロシーベルト)の4倍以上高い1.04マイクロシーベルトを表示。
公園内にいた小学1年生の子どもたちに尋ねても、
「(危険なゴミが埋まっていることは)知らな~い」との反応だった。汚染ゴミは中間貯蔵時是つが出来るまで仮置き場で保管するのが原則。
しかし設置が難航しているため、公園などを期限のない“仮々置き場”として利用しているのが実態だ。「除染物をどこに埋めたのか住民に知る権利があるのは当然なのに、
市はいろいろと理由を付けて公表しようとしません。
埋設されてからすでに2年以上が経過し、土嚢袋が劣化していることも考えられます。
放射性物質が地下に流れ込み、水が汚染されている可能性もあるのです」(武本氏)だが郡山市の危険意識は薄いようだ。
「住民の方々には、除染物を近隣の公共施設に埋めると説明していましたが、
具体的な場所までは伝えていません。
問い合わせがあれば、個別の対応になるかと思います」(原子力災害総合対策課)汚染ゴミの上では、今日も子どもたちが遊んでいる。
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