2021岡山市医師会医学会発表 via 三田茂

2011年東日本大地震。 福島県の東京電力原子力発電所の原子炉群のメルトダウン・大爆発により東日本が広範囲に放射能汚染され10年が経過した。  

原発から200km離れた首都圏各地にも放射線管理区域基準を上回る線量を示す「ホットスポット」が多数出現した。 東日本ではいまだに放射性降下物が検出され、水道(蛇口)から放射性セシウムが検出され続けている(原子力規制委員会)。 東京都の東端では現在も高線量が続き、土壌除染を繰り返し続けている地域もある。  

この原発爆発事故に由来する放射能被曝を受けた人達、今も受け続けている人達を『新ヒバクシャ』と規定して、当時東京の開業医であった私は、甲状腺検査のみでなく、電離放射線検診に倣い血液一般検査、白血球分類検査の実施を呼びかけ、乳幼児から高齢者まで4000名以上に行ってきた。

対象は主に首都圏の居住者であるが、その後西日本へ避難移住したものも多い。 鼻出血、皮下出血斑、リンパ節腫脹、皮膚炎や喘息の悪化、視力低下、視野狭窄、しびれ、疼痛、繰り返す下痢、口内炎、脱毛、血尿などの身体症状や、記憶力低下、易疲労性などの精神神経症状に悩まされた体質的に感受性の高い人達が飲食や生活の厳重な注意をしながら受診しているのであって、地域の住民検診とは異なり、母集団としては偏りがあることを踏まえたうえでの考察である。  

福島県では約20万人を対象に「県民健康(管理)調査」が現在も進行中で、2021年5月17日に第41回検討委員会が開かれその資料が公開された(2019年度受検者3.6万人)。 私は第1・2報で、首都圏『新ヒバクシャ』にみられる血球異常について述べ、福島「県民健康調査」よりも当院の首都圏データのほうがむしろ悪いこと、首都圏住民の健康被害の深刻さを懸念し報告した。  

今回福島「県民健康調査」の区分に準じて、2011~2019年度の当院『新ヒバクシャ』データを再度比較検討した。 ヒバク被害は他の公害とよく似ていて健康被害の程度に個人差が非常に大きく、大きな母集団の平均値を論じるのみでは真の実態はつかみ難い。 白血球変動の程度が強く、観察を続けた多くの個別の症例の中から代表的なものを提示する。

 前回第3報では『新ヒバクシャ』の原因不明の肝障害について報告した。 さらに1年間の観察を追加して報告する。 肝障害はヒロシマ・ナガサキ・ビキニのヒバクシャに共通する重大な問題で厳重に観察する必要有りと考えている。  

私達『新ヒバクシャ』の訴え、悩みは広範で多岐にわたるので、今後諸科の先生方に興味を持っていただき、各部門の専門医が連携して調査、研究を深めていくことを願っている。

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