東京電力福島第一原発事故で避難を求められた住民の医療や介護の負担を軽減してきた支援策について、復興庁が段階的に縮小、廃止する方向で被災自治体と協議に入ったことが分かった。早ければ2023年度にも見直したい考えだ。
政府は11年の原発事故後、第一原発の半径約30キロ圏と放射線量が高かった福島県の13市町村の約15万人(11年8月時点)に避難指示や避難勧奨を出し、避難者には医療・介護にかかる保険料や自己負担分の全額または一部を免除してきた。いまも一部の高額所得者を除いてこの減免策が続いている。
関係者によると、復興庁は11月に入り、関係自治体に支援策の見直し方針案を示し、協議を開始。方針案によると、見直しの対象は、避難指示が17年4月までに解除された福島県内の11市町村。1年間の周知期間の後、減免の割合を段階的に縮小、複数年かけて最後は廃止するとしている。
ただ、いまも避難者が自宅に戻れない帰還困難区域や第一原発のある双葉、大熊両町の住民(計約2万2千人)は見直しの対象外で、今後対応を検討する。
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西銘恒三郎復興相は9日、朝日新聞などのインタビューで「見直し内容については現在、各自治体のご意見を伺っている。厚生労働省と連携して検討していく」と述べた。復興庁幹部は「地元との協議次第だが、早ければ23年度にも縮小を始めたい」としている。
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一方、福島県は6月に要望書を国に提出し、減免策について、「被災者が安心して生活できるよう財政支援の継続に配慮してほしい」と訴えていた。(関根慎一、編集委員・大月規義)