フランス最古の原発、30日に閉鎖 依存低下計画で初の廃炉 8年越し実現 via 毎日新聞

フランス最古のフェッセンハイム原発が30日、運転を終える。国内の発電量の約7割を原子力に依存する原子力大国フランスで、原発依存度を2035年までに5割まで引き下げる国の計画に基づいた最初の廃炉となる。オランド前大統領が12年、同原発の廃炉を公約に掲げてから実現までに8年かかった。

仏北東部でドイツとスイスの国境付近に位置するフェッセンハイム原発は1977年に運転を開始し、出力90万キロワットの原子炉2基を備えた。1号機は2月22日にすでに停止された。11年の東京電力福島第1原発事故を受けて、オランド氏が12年の大統領選で老朽化した同原発の廃炉を公約。オランド氏は任期中に廃炉にするとしていたが実現しなかった。

オランド氏は任期中の15年、発電量に原発が占める割合を25年に50%まで引き下げる目標を掲げた。しかし、マクロン大統領は18年、「現実的ではない」として35年に先送りした。同原発の停止で、国内で稼働する原発は56基となる。

オランド氏の廃炉公約から8年越しの停止は、原子力大国フランスで「縮原発」を巡る合意形成の難しさを浮き彫りにした。原発業界や右派は、原発縮小が電気料金の上昇、ひいては仏産業の国際競争力低下につながるとして反発。左派の一部は雇用維持の観点から反対してきた。原発業界や右派は、仏北西部フラマンビルに07年から建設中の最新鋭原発「欧州加圧水型炉(EPR)」が完成する前にフェッセンハイムを閉鎖すれば「電力不足に陥る」との理屈を持ち出して抵抗した。

(略)

政府は環境対策として、原発依存の低下と再生可能エネルギーの拡大を柱に掲げている。35年までにさらに12基を廃炉にする計画だが、フェッセンハイム原発に続く廃炉計画は未定だ。 再エネの導入も遅れている。20年に再エネの割合を最終エネルギー消費の23%にする目標を掲げたが、18年は16・6%で6・4ポイントの開きがあり、欧州内ではオランダの6・6ポイントに次いで大きかった。マクロン氏は温室効果ガスの削減のためには、「原発こそ持続的に二酸化炭素(CO2)の排出を抑えられる」として今後も原発を活用する方針を打ち出しており、「縮原発」がどこまで進むかは見通せなくなっている。【パリ久野華代】

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