環境省は、東京電力福島第一原発事故にともなう除染で出た土を再利用した土地でトマトやキュウリなどを栽培して安全性を確かめる実証事業を今月中にも始める。帰還困難区域に指定されている福島県飯舘村長泥地区で行う。
環境省は、放射性物質の濃度が一定基準以下の除染土を公共工事や農地造成に再利用する方針を掲げる。長泥地区はそれに向けた実証事業の場所だ。昨年度は、造成した土地で花やバイオマス発電の固形燃料などになる作物を栽培。「十分安全側の結果が得られた」として、今年4月に除染土を全国で再利用できるよう省令改正をする予定だった。
しかし、地元から「食用作物も育てたい」との声があり、改正を先送りすることを決めた。食用作物は人が口にするため、安全性を改めて調べる必要があり、「実証事業」の中で新たに野菜を育てることにした。
除染土の再利用については「汚染の拡大になる」といった意見も強い。省令改正案のパブリックコメントには3千通近い意見が寄せられ、多くは反対だった。
小泉進次郎環境相は1日の会見で「反対の声があることもしっかり受け止める」とした上で「小さな一歩でも前に進めて行きたいということを、ご理解をいただけるよう丁寧に説明をしていきたい」と述べた。
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除染で出た土は現在、中間貯蔵施設(福島県大熊・双葉両町)に運ばれているが、搬入が始まった2015年から30年以内に、県外で最終処分すると法律で定められている。貯蔵量は東京ドーム11個分の約1400万立方メートルに達する見込みだ。再利用は最終処分量を減らす目的で検討されている。(水戸部六美)