東京電力は2日までに、福島第1原発の処理水を海洋放出した場合に、放射性物質トリチウムがどこまで拡散するか予測を公表した。トリチウムの年間放出量が100兆ベクレルなら海水中の濃度が通常より高くなる範囲は南北約30キロ、沖合約2キロと見込んだが、地元漁業者は「福島からの放出に前のめりになっている。風評被害を助長しかねない」と不快感を見せる。
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年間100兆ベクレルの放出では、海水中の濃度が1ベクレルを超えるのは北側約10キロ、南側約20キロ。年間22兆ベクレルの場合は南北約3キロ、沖合約700メートルとした。東電担当者は「濃度が上がるのは原発付近に限られる」と説明する。
これに対し「拡散の範囲が狭いから放出していいという話にはならない」とくぎを刺すのは小名浜機船底曳網漁業協同組合(福島県いわき市)の柳内孝之理事だ。県沖では第1原発から半径10キロ圏内の海域での操業を自粛しているが、100兆ベクレル放出の想定では一部が10キロ圏を超える。「操業範囲の議論にも影響しそうだ」と懸念した。
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