[FT]ロシア、「海に浮かぶ原発」の運用開始へ via 日本経済新聞

23日、タグボート3隻が浮体式洋上原子力発電所「アカデミック・ロモノソフ」を曳航(えいこう)し、ロシア北西部ムルマンスクの港から5000キロメートルの航海に出る。目的地はロシアの東端、北極海沿岸にある遠い港。世界の原子力産業に大きな波紋を広げる船出だ。

この浮体式原発は、送電網から切り離された地域への電力供給を目的に造られた。ロシアの国営原子力企業ロスアトムは、未来の小型原発として途上国への輸出を視野に入れている。

原子炉2基を搭載したロモノソフは、設計段階から10年の歳月を経て完成した。だが今月、ムルマンスクの近くに位置する軍事施設で原子力推進式ミサイルの実験中に事故が起こり、付近の都市で放射線量が急激に高まった。そうしたなか、ロモノソフの安全性にも不安の目が向けられ、不測の事態が生じた際の環境への影響が懸念されている。

ロスアトムは安全性に問題はないと断言し、自然災害が発生しても「ほとんど沈むことはない」としている。ロシア国内で活動する軍事組織の国家親衛隊が警備にあたることにもなっている。

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原子力の専門家は、建造期間の長さからみて安くはないはずだと言う。
ロシアのエネルギー安全保障研究センターのアントン・クロプコフ所長は、建設に約50億~60億ドル(約5300億~6400億円)かかる通常の原発よりも、はるかに安上がりになるはずだとみている。ただし、1メガワット当たりの費用は通常の原発を上回るという。

「発電コストが必然的に高くなりうる遠隔地向けという点を考慮に入れても、このプロジェクトは経済性という未解決の問題を抱えたままだ。経済的な妥当性を示さなければならない」とクロプコフ氏は言う。

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ロシアの高名な科学者の名にちなむロモノソフは、1968~75年にパナマ運河で電力を供給した米軍の原子炉「MH-1Aスタージス」以来の「浮かぶ原発」となる。

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だが、たとえうまくいったとしても、浮体式原発の法的な地位と海外での管理も問題となる可能性がある。海外に送り出された設備を誰が運用・管理するのか、ロスアトムは明らかにしていない。

「安全保障に影響を及ぼしうる法的な問題点があまりにも多く残されている」と、グリーンピースのフォーミン氏は言う。

By Nastassia Astrasheuskaya(2019年8月22日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

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