「ない方がいいに決まっている」。津軽海峡の対岸の大間原発に函館市民は厳しい視線を向ける。同原発の建設差し止め訴訟の函館地裁判決を控え、東京電力福島第1原発事故を機に変わった「世論」を現地で探った。(青森総局・丹野大)
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市の一部は大間原発の半径30キロに位置し、原発事故の避難計画を定める必要がある緊急防護措置区域(UPZ)に含まれる。原告の地元市民団体「大間原発訴訟の会」は、大間原発で過酷事故が起きた場合、約1時間20分で市街地に「放射能の雲」が到達すると主張する。
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市民の大間原発への認識が変わったのは11年3月の原発事故。10年7月の提訴時、原告団に所属する函館市民は64人だったが、11年12月の2次提訴で3倍の191人に増え、最終的に478人に上った。
今回の訴訟とは別に市は14年4月、国と電源開発に大間原発の建設停止などを求める訴えを東京地裁に起こした。提訴に合わせて市町会連合会は建設凍結の署名活動を展開。市民約9万6000人分を含む14万6184の個人・団体の署名が集まった。
函館市議会(定数30)は14年3月、市が提訴する議案を2議員が退席の上、全会一致で可決した。退席した市議の1人は「原発事故後に大間原発反対の声が広がり、市の提訴でピークを迎えた」とみる。
昨年10月の衆院選で、函館市を含む北海道8区の与野党両候補が「大間原発の凍結」を掲げていたことを念頭に、「表立って原発に賛成すれば議員バッジは着けられない」と打ち明ける。
市総務部防災担当の井本剛志課長は「市が提訴に踏み切ったのは(市の同意なしに進む)大間原発の建設を一時止めることが目的だった」と説明。「『大間凍結』で最大限の市民が一致できると考えた。全会一致の可決という結果が市民の意思を表している」と語った。
全文は<大間原発>「ない方がいいに決まっている」対岸の函館市民、原発事故を機に視線厳しく
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