福島第一原発の事故からまもなく7年。福島県内の川で目に見える大きさの放射性物質の「粒」が確認されていたことが分かりました。「セシウムボール」と呼ばれるこの粒子、その正体とは・・・
東京大学で行われていた「ある物質」を探す作業・・・
「あります。あった」
見つかったのは肉眼でもわずかに見える小さな粒でした。拡大して見てみると、ガラス質の物体の姿が現れました。実はこれ、福島第一原発の半径5キロ圏内にある土から見つかった「セシウムボール」です。溶岩のようなもの、丸いもの、細長いものなど形は様々です。
原発事故では大量の放射性セシウムが放出されました。セシウムは水に溶けやすく、環境中で徐々に薄まっていくと考えられていました。しかし2013年、研究者も想定外の水に溶けにくいセシウムが粒子の形で見つかったのです。最初に丸い形をしていたことから「セシウムボール」と呼ばれています。
「唯一、肉眼で見えるのではないか」(日本原子力機構〔JAEA〕 佐藤志彦 研究員)
針の先のような極めて小さい粒。セシウムボールは「水に溶けにくい」ことから、「これまでのセシウムより環境中にとどまりやすいのではないか」と懸念されています。主に福島県内の土から発見されていました。
さらに、取材を進めると、去年、東京大学の研究チームが福島県北部の川でもセシウムボールを確認したことが新たに分かりました。見つかったセシウムボールは100リットルの水の中に1粒見つかるかどうかと、ごくわずかです。
「予想としては微粒子(セシウムボール)は、そのまま河口を流れて海まで到達している可能性が高い」(東京大学大学院理学系研究科 高橋嘉夫 教授)
周辺環境への影響は少ないとみられていますが、水に溶けないまま、土から川に移動しているとみられています。
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過去の原発事故では見つからなかったセシウムボール。形成過程についての分析は始まったばかりで、東京電力も情報を集め、分析を進めています。
全文とビデオは “目に見える”放射性物質の粒、福島の川で確認