(立候補ファイル第2巻、p. 121〜)
電力
8.17 負荷及び信頼性の観点から見て、既存の配電システムで、想 定されるオリンピック競技大会の需要を満たすことは可能で すか。
・ 可能でない場合、大会開催期間中を含め、大会開催までに、 発電・送電・配電設備で必要とされる改善/さらなる開発に ついて説明してください。
・ 各プロジェクトの完成日を示し、資金調達の方法や、必要とな る国や地方の機関の助成金について説明してください。既存の電力供給能力
東京では、既存の配電システムで、2020年東京大会で発生する追加需要に対し、対応することができる。
東京都内の電力は、主に、世界最大規模の民間電気事業者の一つ である、東京電力株式会社により供給されている。東京電力株式会社の電力供給力は、東京都を含めた東京電力管内において、2011年3 月のピーク時で、東日本大震災直前には5,200万kWであったが、震災直後には原子力発電所と火力発電所が停止したことにより3,100 万kWに減少した。しかし、2012年7月には、火力発電所の復旧や新たな電源設備の設置などにより5,786万kWまで回復している。
その結果、2012年7月~8月の最大電力需要が5,078万kWで あったため、708万kWの予備力があり、2020年東京大会で発生す る追加需要に対して、既に十分に対応可能な状況にある。既存の発電設備
東京都内において、東京電力株式会社が所有している発電設備は、 現在、次の15箇所である。
・石油火力発電所 : 1箇所 ・都市ガス火力発電所 : 1箇所 ・内燃力発電所 :10箇所 ・地熱発電所 : 1箇所 ・水力発電所 : 1箇所 ・風力発電所 : 1箇所
東京都内において、東京電力株式会社が所有している原子力発電所は存在しない。
また、東京電力管内では、さらなる安定的な電力供給を図るために 下記の対策が講じられ、電力供給能力が2020年東京大会までに増強 される。・ 2012年7月25日に、東京電力株式会社が提出した「資源生産性革新計画」が国に認定された。この計画を基に試算すると、2015年ま でに、既存の火力発電所の増強や、火力発電所の新設により、約 304万kWの電力供給(うち、210万kWは、既に概ね整備完了で、2013年に稼動予定)が増加することになっている。これらの火力発電所の増強・新設は、国の支援を受けて実施される。また、東京都も、「2020年の東京」により、新たな東京産電力として大規模出力の発電所の建設を検討している。
・東京電力管内では、東京電力の他にも、近年の電力事業の自由化などの法改正等により、東京ガスグループが、全部で198万kWの天然ガス発電所を建設・保有するなど、新たな電力供給も進んでいる。
・東京電力管内は、管内の発電所のみでなく、東京電力管内と中部電 力管内を結ぶ電力の地域連系線について、国により、2020年を目 標に、現状の104万kWを210万kWに増強するなど、地域間相互に 融通できる電力も増加する。こうした措置により電力供給能力をより臨機応変に利用することが可能となる。
・日本国政府のもとに設置された「エネルギー・環境会議」が、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、2012年9月14日に国家の新しいエネルギー戦略である「革新的エネルギー・環境戦略」を決定したが、その中においても、「低廉で安定的な電力供給を実現する」ということが記載されている。
・日本国政府は、今後のエネルギー・環境政策については、「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえて、関係自治体や国際社会等と責任のある議論を行い、国民の理解を得つつ、柔軟性を持って不断の検証 と見直しを行いながら遂行することを、平成24年9月19日に閣議決定した。
既存の送電設備
東京の電力は、首都圏の500キロボルトの送電系統から供給されている。特に都心の電力は、首都圏近郊に点在する500キロボルトの変電所で275キロボルトに変圧され、多方面から供給されている。都心の電力系統は、275キロボルト地中送電線が相互に連系できるよう構成されている。仮に、都心で緊急事態が発生しても、この連系機能を活用し、他の500キロボルト変電所から受電できるように送電ネットワークが形成されている。都心では、既に世界初の500キロボルト地下変電所が稼働しており、高い供給信頼度を確保している。また、500キロボルトの地中送電線が既に敷設されており、各会場の集中的な電力需要にも十分対応することができる。
東京の電力供給システムは、冗長化構成を採用しており、世界最高 水準の供給信頼性を確保しているとともに、全ての主要な電力施設に は、物理的なセキュリティ対策が施されている。
なお、東京電力株式会社の保有する送電線の長さは、約2万kmである。既存の配電設備
送電線から供給される電力は、中間変電所や配電用変電所を経て、 配電線や引込線により、各施設に供給される。
東京電力株式会社が保有する配電線の長さは、約37万kmである。8.18 オリンピック会場の特別な電力需要を満たすと想定している、仮設の電力設備のレベルを示してください。
東京にある既存の電力網で2020年東京大会の電力需要にも十分 に対応可能である。
さらに、IOCの要請に応えるため、2020年東京大会では、オリンピック放送サービス(OBS)、テクノロジー・システム 、競技領域(FOP)照明や、タイム・スコア管理システム、オリンピック会場結果表示などイベントに欠かせない技術サービスに加え、セキュリティ・センター、アクレディテーション・センター、コミュニケーション・センターな ど重要機能エリア向けに、全ての競技会場に仮設の自家発電設備を設置する。これらの仮設の自家発電設備は、ツイン・パック・テクノロ ジーを搭載したものとし、そのほぼ半数がIBC/MPCに設置され、通常は予備電源として稼働する。会場によって必要な場合(仮設施設や開会式など特定イベント)には、イベントまたは競技実施期間中、仮設の自家発電設備を主電源と して稼働させ、通常の系統電力と同時に使用することができる。
2020年東京大会はIOCのスポンサーとも密に連携し、オリンピック大会期間中のエネルギー供給態勢の一環として無 停電電源装置(UPS)の稼働を行なう。無停電電源装置は、二重電力回線の切替え、系統電力のシステムダウンや、予備発電装置への切替え失敗などを 原因とした短時間の停電が発生した場合にバックアップする。無停電電源装置は、主としてテクノロジー・システム、タイム・スコア管理システム、放送設備で使用される。
これらの電力供給施設には、信頼できる無停電電源装置を必ず設置する。
全文は 招致プラン立候補ファイル
当該箇所は 立候補ファイル第2巻、テーマ8 競技及び会場
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