東京電力は22日、福島第1原子力発電所の井戸から放射性物質が検出されている問題で、汚染水が「海に流出している可能性がある」と認め る見解を初めて示した。漏れた量は不明だが、汚染は原発の港湾内にとどまっていると東電は説明している。今後、汚染源とみられる地下のトレンチ(坑道)に たまった汚染水を抜くなどの対策を急ぐ。
福島第1では港湾内の放射性物質の濃度が1リットルあたり2300ベクレルに上昇。原子力規制委員会は10日、汚染水が海に漏れていないと する東電の説明には疑問があるとして「高濃度汚染水の海洋への拡散が強く疑われる」と指摘したが、これまで東電は海への漏洩を認めてこなかった。東電の担 当者は22日の記者会見で「説明が不十分だった」と謝罪した。
東電は、潮位の変化に伴って地下水の水位が上下していることから、地下水と海水が行き来している可能性があると判断した。原発の港湾内の放射性物質濃度も上昇しているが、港湾の外側では変化がないことから、海への拡散は限定的と話している。
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福島第1では2011年4月にも汚染水が海に漏れ出し、国内外から非難を浴びた。
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漁業者「非常にショック」
この問題について、東京電力の新妻常正常務から説明を受けた福島県漁連の野崎哲会長は「汚染水についての東京電力の説明は、これまでの説明と状況が変わり、非常にショックだ」と語りました。
また、去年6月から福島県の相馬沖を中心に試験的な漁を実施している相馬双葉漁協の佐藤弘行組合長は「今回の説明を聞いて試験操業はどうなるんだろうと感じた。今まで受けた説明の中で最も厳しいものだ」と話しました。