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A nuclear power plant in Byron, Illinois. Taken by photographer Joseph Pobereskin (http://pobereskin.com). カレンダー
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Tag Archives: 覆土
環境省が秘密裏に進める「汚染土で野菜栽培」via Web 論座
放射性物質で汚染された土壌が国民の知らぬまま利用可能となる危険 大島堅一 龍谷大学政策学部教授 原子力市民委員会座長 […] 「除去土壌」も紛らわしい言葉である。 「除去土壌」とは、福島県で実施した除染作業で剥ぎ取ったもので、放射性物質で汚染されている土のことである。新聞やテレビでは、「除染土」または「汚染土」と言われることもある。 今回の食用作物の栽培は、「除去土壌」の「再生利用」の一環である。今まで、環境省は、「除去土壌」の再生利用を、食用作物栽培を覆土無しで実際に進めると公の場で詳しく説明したことはなかった。 環境省が進める「除去土壌」の「再生利用」とは一体何か。 東電福島原発事故によって広い地域で放射性物質による汚染が広がった。放射性物質で土地が汚染されると、放射性物質だけを土地から取り除くことはできない。そこで、土壌から汚染された土壌を剥ぎ取り、運び出す作業が国によって進められた。 これが除染である。 土壌を剥ぎ取るのだから、当然、大量の「除去土壌」が発生する。「除去土壌」の量は、福島県内で1400万立方メートルに及ぶ。これを全て最終処分しなければならないとすれば、量が多すぎる、と国は考えた。 そこで、これをできるだけ少なくしようというのが「再生利用」の目的である。 最終処分する量を減らすために、「再生利用」を増やす。わかりやすく言うと、「放射性物質で汚染された土壌」(除去土壌)をできるだけ「利用」しようというのが今の環境省の方針である。 気をつけなければならないことは、「除去土壌」を「再生」するといっても、土から放射性物質を取り除くわけではないということである。「再生」とは、「土壌の分別、濃度確認、品質調整」を行うこと、つまり、放射線量を計測したりゴミや石を取り除いたりして利用しやすくするのである。 そして、「除去土壌」は、「再生」されると「再生資材」に名前が変わる。 つまり、「再生資材」は、規格化された「放射性物質で汚染されている土壌」である。「再生資材」は、低レベルとはいえ放射性物質で汚染されており、土壌1キログラムあたり8000ベクレル(ベクレルは放射能の量を示す単位)以下とされる。 従来、放射性物質は原子炉等規制法の枠内で管理されてきた。この枠内では、安全に再利用したり処分でしたりできる基準を1キログラムあたり100ベクレル以下と定めている。これに照らせば、「除去土壌」や「再生資材」は低レベル放射性廃棄物相当である。今も、「除去土壌」や「再生資材」と同等の放射性物質が「再生利用」されるようなことは通常ない。 にもかかわらず、原発事故で汚染された土壌が「再生」されて「再生資材」になれば、従来のような厳しい審査も管理も不要となる。繰り返すが、「再生資材」と名前が付き、見た目は利用しやすい土に見えても、放射性物質で汚染されていることに変わりはない。 […] 秘密裏に進めた覆土無し食用作物栽培 行政文書開示請求をして約2ヶ月半、ようやく7月29日に文書が筆者宛に送られてきた。開示された文書は11件。第一文書の1ページ目を読んだ筆者は、のっけから予想もつかない内容であることに気づいた。 環境省の担当職員(文書には名前が記録されている)は、非公開の会合の冒頭で、「地元ではいろいろな食用作物の要望があるので、手引きとは異なる覆土のないパターンも実施し、覆土が無くても問題ないことを証明しておきたい」と述べていた。対する専門家は、「作物別に一度試験を行っただけで安全性を謳うのは危険性が高い」「一つの試験をして実施することでそれで安全とは言えない」など、当然の発言を行っている。 開示された行政文書は、食用作物の栽培、さらには覆土無しでの食用作物の栽培を、試験栽培とはいえ、非公開の会合で、環境省主導で決めようとしていたことを示すものだった。(開示文書Ⅰ開示文書Ⅱ) 開示文書によれば、環境省は、2020年1月15日の時点ですでに国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構の職員らと非公開の準備会合を開き、覆土無しの野菜栽培について持ちかけていた。年末年始の休暇期間を考慮すると、2019年には、覆土無しを含む食用作物栽培の実証事業を進めることにしていたのではないかと思われる。 開示文書では、次に2020年2月10日に「除去土壌等の再生利用に係る放射線影響に関する安全性評価検討ワーキンググループ」が開かれていたことが分かった。このワーキンググループは「除去土壌」の「再生利用」について実質的な検討を行っており、2019年11月15日の第10回会合を最後に、この会合の議事録や資料は、行政文書開示後も環境省ホームページ上では一切公開されていない。一般国民には、開催されているかどうかすらわからない状態である。 筆者も、開示文書でワーキンググループの会合が2月にも開かれていたことをはじめて知った。開示文書によると、2月10日の非公開ワーキンググループでは、1月15日に環境省職員が示した食用作物栽培、覆土無し栽培が、「計画」として報告されていた。資料を見ていくと、このワーキンググループでの議論で一定のお墨付きを得た形となり、その後、実証事業が進められていくのが分かる。 全てを秘密にし、「実証事業」の名の下で、これまでの方針にないことを環境省が進めていたと言って何ら差し支えない。しかも、覆土無し栽培はすでに行ってしまったという。まさに、なし崩し的な既成事実化である。 […] 筆者が開示請求したものは食用作物栽培に関する文書であったので、議事録の公開部分は一部に過ぎない。そのため、全ての議論については把握できていない。だが、公開文書から推測すると、農業従事者の放射線被ばくに関することも議論されているようである。例えば、2月10日の非公開のワーキンググループで環境省職員は次のような発言をしている。 「10haぐらいの農地造成地に再生資材を4.5m埋めたときの線量がちょうど5000Bq/kgで1mSv/y相当、被ばく時間1000時間という評価をしています。これに比べると、ごく一部の露出面積ですから、ここに包含されるだろうと考えています」 これは農業従事者の被ばく管理に関する非常に重要な事項である。にもかかわらず、開示文書からは、非公開のワーキンググループでのごく簡単な報告にとどまっているように見える。 全てを非公開のまま進める事業に正当性は果たしてあるのだろうか。 […] 全文は 環境省が秘密裏に進める「汚染土で野菜栽培」 大島教授が開示請求し入手した行政文書集: 200809覆土無し除染土での食用作物栽培実証実験; 200812 省令改正見送りの理由
【汚染土壌の再利用】「聞いてない」「覆土無しなら進めなかった」 長泥地区での実証事業、環境省方針に飯舘村長が不快感示すもポーズ? 「将来的にはあって良い」とも via 民の声新聞
原発事故後の除染で生じた汚染土壌を減らすべく、再利用して農作物を栽培しても安全だと示すため福島県飯舘村・長泥地区で行われている実証事業。環境省が汚染土壌を汚染されていない土壌で覆わずに食物の栽培実験を行おうとしている問題で、菅野典雄村長は9日、「初めて聞いた」、「覆土無しなら進めなかった」などと語り、不快感を示した。一方で汚染土壌の再利用や将来の覆土無し栽培試験には理解を示す場面も。長泥地区の除染と引き換えに実証事業を受け入れたとされる菅野村長は今期限りで勇退。汚染土壌再利用を含めた村のかじ取りは新しい村長に託される。 【「当然、覆土するべき」】 […] 「私は初めて聞いてびっくりしています。今の段階では当然、覆土をするべきです。もし、覆土をしないでやるという話だったら、私はこの話は進めませんでした。覆土をするという条件があったから、それだったら大丈夫だな、検討して駄目な時には駄目になるし、良い時には良いになるからという事だったんです。最初から覆土しないという話だったら、それは進める話では無いですよ」 […] 【「公開の場で議論を尽くせ」】 除染で生じた汚染土壌の再利用は、中間貯蔵施設に搬入する量を減らすための打開策として浮上。8000Bq/kg以下の汚染土壌を全国の公共事業に活用する事で総量を大幅に減らし、30年後の福島県外への搬出に向けた環境づくりが狙いだ。 「汚染の拡散につながる」などとして再利用に反対する声が多いが、環境省は一貫して「汚染土壌を盛り土に再利用する場合、土砂やコンクリートで50センチ以上の高さで覆えば、通行人や周辺住民の追加被曝は年10μSv以下に抑えられる」と説明して来た。2016年6月に発表された「再生資材化した除去土壌の安全な利用に係る基本的考え方について」では、「再生利用とは、利用先を管理主体や責任体制が明確となっている公共事業等における人為的な形質変更が想定されない盛土材等の構造基盤の部材に限定した上で、追加被ばく線量を制限するための放射能濃度の設定、覆土等の遮へい、飛散・流出の防止、記録の作成・保管等の適切な管理の下で、再生資材を限定的に利用することをいう」と定義されている。 2016年6月8日に国際環境NGO「FoE Japan」が行った政府交渉でも、環境省側は「今回の再利用は覆土とセットでないと駄目だという制度なんです」と説明している。 しかし、龍谷大学の大島堅一教授が行政文書開示請求で入手した非公開文書では、これらの大前提が完全に崩れていた。 「除去土壌の減容再生利用技術開発戦略の具体化に係る調査業務」と題された今年1月15日の会合の議事録では、環境省環境再生・資源循環局環境再生事業担当参事官室の大野皓史参事官補佐が「地元ではいろいろな食用作物の要望があるので、手引き(「福島県内における除染等の措置に伴い生じた土壌の再生利用の手引き」)とは異なる覆土のないパターンも実施し、覆土が無くても問題ないことを証明しておきたい」、「被覆は10μSv/yを担保するために必要。被覆の有無は万が一のことを考えて実施する」と発言。「令和2年度 試験栽培の計画(案)」にも、「※覆土をしないケースについても試験栽培を行う」と赤字で記されている。 大島教授は自身のnoteで「除去土壌で栽培してよい、どこでも使ってもよい、ということを示すための実証実験になるのではないか、という心配をされる方もいるかもしれません。そのようなことにならないためにも、公開の場で議論を尽くすことが必要でしょう」と問題提起している。村長が「知らなかった」と怒ってみせて済まされる話では無い。 【「実証事業は村民にプラス」】 一方で、菅野村長は汚染土壌の再利用や覆土無しでの試験栽培そのものには改めて賛意を示した。 「汚染土壌は出来るだけ減らしておいた方が良いだろうなと私は思う。あれだけの量を中間貯蔵施設に持って行って、30年後に他県に持って行きますという話を、みんな責任の無い所で言っているわけですよ」 「農地は荒れきっているわけです。汚染土壌を再利用する事で全部きれいにしてもらって、再利用出来る土地になる。除染もしてもらったし、解体もしてもらっている。国もかなり一生懸命やってくれています。私らは実証事業を受け入れる事でプラスになると踏んでいるんです。私だって国に理想論を語っている方が楽です。でも、それでは住民のためにならない」 「長泥の場合は『再利用を進めた方が絶対に良いんじゃないですか』という話をしたうえで、住民の皆さんは了解してやっている。でもやっぱり、あなたのようなマスコミに質問されると『いやぁ心配だ』って人間やっぱり言いたくなるんですよ。茶々を入れる人はいますから」 「住民から『食べ物の栽培試験もやってくれ』と初めの段階から言われていたんですからね。最初から言われていたんだから。それを環境省はいろいろ言われると思って2年間、やらないで普通の作物ばかりやってたわけでしょ。やっと3年目になって食べ物をやって調べましょうという話になった」 「(覆土無し栽培は)将来的にはあっても良いだろうとは思うよ。やってみる価値はあると思うが、何も今やらなくたって良いでしょう。ただ、私はまだそこまで急ぐ必要は無いだろうと思っています」 こうもはっきりと言われると、環境省への〝抗議〟もポーズではないかと思えてくる。 これまで汚染土壌再利用の旗振り役となってきた菅野村長は今秋の村長選挙に出馬せず、今期限りで勇退する事を表明した。「長泥の事も含めて選挙で村民に信を問うべきではないか」と質したが、菅野村長は「途中でぶん投げんのか、と言う人もいるでしょうけど、ここでひと区切りですね。それなりにレールは敷きましたから」とかわした。村民からは「立つ鳥跡を濁しまくりだ」との声もあがっている。 全文