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Tag Archives: 最高裁
「若者が希望持てる判決を」 原発事故被災者愛媛訴訟の原告・渡部寛志さん via 東京新聞
連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」④愛媛 ◆避難、離婚…家族はバラバラに 「フクシマさん、フクシマさん」。福島県南相馬市から愛媛県に避難した渡部寛志さん(43)は、愛媛で知り合った人からこう呼ばれることがある。東京電力福島第一原発事故から11年がたっても、「避難者」であり続ける。そして、差別もなくならない。 福島から愛媛に避難しているのは、わずか22人(4月時点、復興庁調べ)。人数が少ないだけに「避難者が目立ち、差別につながりやすい」。住居を購入しても、近所の人たちに福島から来たことを隠し続けている避難者もいる。 事故前、原発の北約12キロにある南相馬市小高区で妻と娘2人と暮らし、専業農家をしていた。政府の避難指示で町を離れ、事故から1カ月後、大学時代を過ごした愛媛に避難した。 遠く離れた地での避難生活が長引き、妻と意見が衝突することが増え、2019年に離婚した。渡部さんと次女(13)が残り、長女(17)は元妻と福島県須賀川市に移った。家族がバラバラになった現実に、「原発事故が起きなかったなら…」との思いが拭えない。 ◆国の冷酷な態度見せつけられ 国と東電を相手に裁判を起こすきっかけとなったのは、松山市内の住職の呼びかけで事故直後に始まった避難者の交流会。月1回集まると、「経済的に苦しい」と窮状を訴える声が相次いだ。賠償を東電に任せ、避難者支援も不十分なまま放置している国が許せなかった。 交流会に参加する避難者を一軒一軒訪ねて説明し、原告を募った。子育て世代の避難者が多く、事故時に20歳未満だった原告は8人と3割に上る。 15年1月、松山地裁での第1回口頭弁論で、国の冷酷な態度を見せつけられた。避難生活の苦しさを法廷で意見陳述しようとしたところ、国の代理人は「(裁判の)証拠にならないから不要だ」と、耳を傾けようとしなかった。その後も延々と科学的な論争が続き、傍聴席で疑問に思った。「この裁判に、避難者の居場所はあるのだろうか」 ◆「避難者の学校ほしかった」 […] その中に、いじめに遭い不登校になった兄弟がいた。弟は20年秋に自殺した。22歳の兄は「避難者同士が通える避難者学校を全国につくってほしかった」と吐露し、「『悪かった』と素直に謝罪ができる国だったら、そもそも事故は起きなかった」と憤った。 渡部さんの中学2年の次女は「同級生は原発事故をあまり知らない。知らないとまた事故を起こすから、判決が出たら『国の政策によって起きた事故』と教科書に載せてほしい」。 若い原告の声を聞き、渡部さんは思う。「これからも事故を背負って生きていく若者が、希望を持てる判決を言い渡してほしい」(小野沢健太) 愛媛訴訟 東京電力福島第一原発事故で福島県内から愛媛県内に避難した住民が2014年3月から順次提訴し、25人が国と東電に慰謝料を請求。一審松山地裁(久保井恵子裁判長)は19年3月26日、国と東電に計2743万円の支払いを命じた。21年9月29日、二審高松高裁(神山隆一裁判長)も、東電に津波対策を講じさせなかったのは「許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠く」と国の責任を認め、計4621万円の支払いを命じた。東電の賠償責任は最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)が22年3月30日付で東電の上告を退け、確定した。 全文
「ふるさと奪われ、なんでこんな仕打ちを…」 原発事故被災者千葉訴訟の原告・南原聖寿さん via 東京新聞
連載「6・17最高裁判決/原発被災者4訴訟」③千葉 ◆福島ナンバーだけで嫌な視線 「すっかり体力が落ちちゃったね。5月に出場した障害者スポーツ大会の100メートル走は21秒。精神的なものもあるけど、白髪が増えるわけだ」 足に障害がある南原聖寿せいじゅさん(62)はスマートフォンに保存された過去の写真を見返し、年月の経過を実感することが多くなった。 東京電力福島第一原発の20キロ圏内にある福島県南相馬市小高区の自宅から、家族で千葉県君津市に避難して11年が過ぎた。東電と国の責任を追及するため千葉地裁に提訴してから既に9年を超え、ようやく17日に最高裁が国の責任について判断する。 「原告団の中には亡くなった人もいるし、加齢で表舞台に立てなくなった人もいる。長すぎる」 君津市は妻の園枝そのえさん(63)の実家が近くにあったが、苦労は尽きなかった。「乗る車が福島ナンバーというだけで、嫌な視線を感じた」。疎外感を覚えずにはいられなかった。 就職した長男(25)は事故当時、転校先の中学校で「放射能がうつる」と言われるなどのいじめに遭い、不登校に。知的障害のある長女(22)は事故後、車いすでの生活に変わった。園枝さんも足の障害が悪化し、車いすを手放せない。 ◆最高裁は忖度しないで判断を ◆最高裁は忖度しないで判断を 住み慣れた地からの転居で、長年勤めていた半導体メーカーの退職を余儀なくされた。消化器系の持病が悪化し、アルバイトもあきらめた。生活保護で家賃と生活費をやりくりしながら、園枝さんと長女の3人でアパート暮らしを続ける。 「福島にいたころはいろいろな人と交流があったけど、現在の自宅周辺は住民同士のつながりが薄く、家族で外出するのは買い物や病院に行く時ぐらい。町内会活動でもあればいいけどね」 […] 裁判を通じて「国は東電に責任をなすりつけ、東電は安全対策よりも経営のことしか考えていない」と痛感した。5年ぐらいで終わると思っていた裁判は、想像以上に長期化した。「責任の有無はすぐに分かるはず。どうしてここまで引き延ばすのか不思議でならない」と嘆く。 南原さんはかつて、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスが発生する火力発電よりも、原発は環境に優しいと前向きにとらえていた。だが、放射能で汚染した土の保管や長期化する廃炉作業を目の当たりにし、考え方は完全に変わった。 「国の管理監督責任をもっと拡大することが将来のためになる。最高裁は忖度そんたくせずに判断を下してほしい」(山口登史、写真も) 千葉訴訟 東京電力福島第一原発事故で福島県内から千葉県内に避難した住民47人が2013年3月11日、国と東電に損害賠償を求めて提訴。17年9月22日の一審千葉地裁判決(阪本勝裁判長)は国の責任を認めず、東電に計3億7600万円を支払うよう命じた。21年2月19日、二審の東京高裁判決(白井幸夫裁判長)は、国の責任について東電に津波対策を講じるよう「規制権限を行使しなかったのは違法」と認め、国と東電に計2億7800万円の支払いを命じた。東電の賠償は最高裁第2小法廷が22年3月2日付、東電の上告を退け、確定した。5月末までに原告7人が亡くなった。 全文
「国の責任」判断へ〜最高裁で3度目の弁論 via OurPlanet-TV
東京電力福島第一原発事故の責任が国にあるのかーー。原発事故の被災者が国と東京電力に損害賠償を求めた集団訴訟のうち、上告中の4つの訴訟で、2審の判断が分かれた「国の責任」をめぐる審理が、最高裁判所で行われている。25日は、約3600人の原告が訴えた最も規模が大きい「生業裁判(福島訴訟)」の弁論が開かれた。 1審と2審ともに、国の責任が認められた「生業訴訟」。事故当時、福島県富岡町の直線距離でおよそ7キロほどのところにあります。深谷敬子さんは「私にとって大事だったもの全てが原発事故によって奪われました。」「何が・どこが悪かったのかきちんと明らかにして、二度とこのような被害を繰り返さないようにしてもらいたい」と訴えた。また、原告側の弁護士は、政府の地震本部が策定した「長期評価」の信頼性は明らかと主張した。 原告側の弁護団・馬奈木厳太郎弁護士は記者会見で、、「原子力発電所がどの程度の安全性を確保されなければならないのか。規制のあり方というのはどうあるべきなのか。歴史的な判決が示されることになることは間違いないと確信している」と判決への期待を述べた。 原発事故のおける「国の責任」をめぐっては、4月15日に千葉に避難した住民らによる「千葉訴訟」、23日に群馬に避難した住民らによる「群馬訴訟」の弁論が開かれ、25日が3回目。この後、5月16日に愛媛に避難した住民らによる「愛媛訴訟」の弁論が開かれて結審する。原告弁護団らは6月中には、判決が出ると見ている。 ビデオを見る
原爆症の最高裁判決 救済の精神、一体どこへ via 中国新聞
[…] 原爆症の認定要件は二つある。病気が放射線の影響であるという「放射線起因性」と、現時点で医療を必要とする「要医療性」だ。 このうち放射線起因性は、国が6年前に認定基準を改め、一定の条件を満たせば積極的に認められるようになった。長年にわたる訴訟によって原爆症を幅広く認める司法判断が積み重なった結果だ。被爆者に寄り添ってきた司法の姿勢が、行政の重い腰を上げさせたと言える。 今回の訴訟で争点となったのは、もう一つの認定要件である要医療性だ。これまでは医師の診断書があれば、大半が認定されていた。医師が関わっているのだから医療が必要な状態と判断するのが自然だろう。 ところが最高裁は、経過観察中の被爆者が原爆症と認められるには「経過観察自体が治療のために不可欠な行為で、積極的な治療行為の一環と評価できる特別な事情が必要だ」との初判断を示した。 これまでは例えば白内障の場合、医師の処方で点眼をしている被爆者でも被爆距離などの一定の条件を満たせば原爆症と認められるケースがあった。要医療性の今後の認定は、行政の裁量がより強まりかねない。 […] 原爆症を定めた被爆者援護法は、前文で「たとい一命をとりとめた被爆者にも、生涯いやすことのできない傷跡と後遺症を残し、不安の中での生活をもたらした」と記している。 その法の理念に基づけば、原爆症の認定は「被爆者」として戦後を生きていかなければならなかった人たちの救済が前提になる。どこかで線引きが必要だとしても、積極的に認定していく姿勢が行政にはもちろん、司法にも求められるはずだ。 被爆者の全国団体である日本被団協と政府は2009年、訴訟の終結に向けて合意書を交わしている。その中には「今後、訴訟の場で争う必要のないよう、定期協議の場を通じて解決を図る」との一文がある。どれだけ尊重してきただろうか。 定期協議は、厚生労働相と被団協などが直接話し合う場だったはずだ。しかし、厚労省が「時間が取れない」などと消極的で年に1回も開かれていない。開催しても、官僚が用意した紙を大臣が読み上げるだけの形式的な場になりつつある。 年を重ねた被爆者に残された時間は多くはない。最高裁の判決は残念だが、行政がやり残している課題はある。合意を放置することは許されない。 全文
上関原発反対派の妨害禁じる決定 最高裁「妨害予防権」 via 朝日新聞
中国電力が建設を計画している上関(かみのせき)原発(山口県上関町)の埋め立て工事をめぐり、最高裁第一小法廷(白木勇裁判長)は、反対派による妨害行為の禁止を認める決定を出した。4日付。中国電力の仮処分申し立てを認めた広島高裁の決定に対し、反対派が不服を申し立てていた。 問題になっていたのは、同町・祝島(いわいしま)の漁業者らが漁船に乗って海上で展開していた抗議活動。決定で同小法廷は「公有水面(海、湖、河川など)の埋め立て免許を受けた者は、妨害の予防を求める権利がある」との初判断を示した。裁判官5人全員一致の意見。 今回の判断は公有水面を埋め立てる事業全体に及ぶとみられ、大型の公共工事などを「実力阻止」しようとする各地の反対運動にも影響が出そうだ。 続きは 上関原発反対派の妨害禁じる決定 最高裁「妨害予防権」 (会員登録必要。無料登録あり。)