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福島県、震災公文書の収集基準定めず 一部廃棄の自治体も 問われる伝承館での保管・活用 via 河北新報

東京電力福島第1原発事故の教訓を伝えるため福島県が双葉町に整備した東日本大震災・原子力災害伝承館で、震災関連の公文書の収集基準が決まっていない。全県的な文書管理の議論を先送りにしたまま震災から9年半が過ぎ、本年度に一部を廃棄した避難自治体もある。20日開館した伝承館は資料の保管と活用が役割だが、県は「市町村の公文書に伝承館がどこまで関わるかは議論が必要だ」と腰が重い。  県は震災関連資料の収集を2017年度に始め、約24万点を集めた。県や市町村の公文書はほぼ対象外としたが、19年3月改訂の資料収集ガイドラインで「引き続き調整し、アーカイブ拠点施設(伝承館)での保管と活用を検討する」などと位置付けた。 (略) 大熊町は全量保管中の公文書の一部を今後、町が整備するアーカイブ施設へ移す。10、11年度は震災前後の業務を比較するため全て残し、12年度以降については震災関連以外は順次廃棄する方針に基づき本年度に選別作業を始めた。  浪江町は震災関連を含む全ての公文書を規定の年限で廃棄している。震災前後の公文書は「歴史的な価値判断がつかない」として休校中の浪江小に仮置きしていたが、今夏に校舎の解体工事が始まったため保健師の仮設住宅巡回記録などを廃棄した。  こうした公文書を伝承館が直接保管することは確かに「収蔵スペースなどの問題から現実的でない」(同館関係者)。ただ、伝承館開館は今後の活用を踏まえた保管の在り方を問い直す好機でもある。 全文は福島県、震災公文書の収集基準定めず 一部廃棄の自治体も 問われる伝承館での保管・活用

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原発事故賠償の天王山、「生業訴訟」判決の行方 via 東洋経済ONLINE

仙台高裁で国の責任めぐり、初の判決が下る 岡田 広行 : 東洋経済 解説部コラムニスト 仙台高等裁判所で9月30日、国と東京電力を相手取った福島第一原子力発電所事故の被災者による「生業(なりわい)訴訟」の判決が予定されている。 原告の総数は3627人と、原発事故の被害救済を求めて全国で争われている約30件の訴訟のうちで最も規模が大きい。国および東電の両者を相手取っての高裁判決としては初めての事例となり、原発事故訴訟の「天王山」と目されている。 原告は、国および東電の法的責任の再認定とともに、空間放射線量率を原発事故前に戻す「原状回復」および「平穏生活権」の侵害に対する慰謝料を求めている。 (略) 今まで経験したことのない強い揺れを体験した2011年3月11日の夕方、地元の消防団員からの「とにかく西へ逃げてください」という指示に従った。それ以来、深谷さんは知人から紹介された廃屋同然の空き家や旅館、壁が薄くプライバシーのない賃貸住宅など約10カ所を転々とする避難生活を続けた。県の復興公営住宅を経て、長男が用意した郡山市内の二間の住宅に腰を落ち着けたのは2019年11月のことだ。 失われた平穏な生活、今も帰還困難 仙台高裁の裁判長らは2019年5月27日、「浜通り」と呼ばれる原発周辺地域の被害や復興の状況を自ら見て回った。「現地進行協議」と呼ばれる手続きだ。このとき、深谷さんの元の自宅も調査の対象となった。 深谷さんの自宅がある富岡町の夜ノ森地区は放射線量が高かったことから「帰還困難区域」に指定されており、戻って生活することができない。帰還困難区域の入り口にはゲートが設けられていて、立ち入りには町の許可が必要だ。 原発事故から長い年月が経過するうちに、人の住まなくなった自宅は荒れ果てていた。立ち入りが難しい地区であるにもかかわらず自宅の中には誰かが侵入したようだった。仏壇は何者かが移動し、畳の一部には獣によって荒らされた跡が残されていた。同じ敷地内の美容室は天井が抜け落ち、人の背丈よりも高く雑草が生い茂っていた。 「私は自宅で美容室を営んでいた。仕事をしながらの近所の人たちとの語らいが何よりの楽しみだった。そんな生活が原発事故によって一瞬のうちに失われてしまった。親しくしていたお客さんとも連絡が取れません」。深谷さんはそうした被害のありさまを裁判で切々と語った。 (略) 「賠償の水準」が変更されるかが焦点 その一方で、損害賠償総額は5億円弱(原告1人当たり1万円~36万円)にとどまった。富岡町など避難指示解除準備区域の旧居住者については、国が中間指針で定めた賠償額を超える損害は認められないとされたうえ、福島市など「自主的避難等対象区域」に住む原告についても、追加賠償認定額は16万円に限定された。 同じ県内でも会津地区の住民については賠償すべき損害があるとは認められなかった。「賠償の水準は被害の実態に見合ったものにはなっていない」と馬奈木弁護士は地裁判決の問題点を指摘する。 高裁判決ではこうした認定に変更が加えられるかどうかが焦点になる。地裁判決では、福島市など自主的避難等対象区域において被害が発生している期間について、原発事故直後の2011年3月から、当時の野田佳彦首相が冷温停止宣言をした2011年12月までに限定されている。 生業訴訟の判決に続き、2021年に1月および2月には、群馬県および千葉県に避難してきた住民らが起こした訴訟の判決が東京高裁で予定されている。 全文は原発事故賠償の天王山、「生業訴訟」判決の行方

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原発事故めぐる国の責任、初の高裁判決へ 避難者ら注視 via 朝日新聞

(略) 2017年10月の福島地裁判決は、政府が02年7月に策定した「長期評価」で、福島沖で津波地震が起きる可能性を指摘した点を重視。国が津波を予見して、東電に安全対策を指示すれば事故を防げたとして、東電と国に計約5億円を支払うように命じた。一方、原告が住んでいた土地の放射線量を事故前の水準に引き下げる原状回復請求は、除染の方法が特定されていないとして棄却し、原告・被告とも控訴した。  原告の弁護団などによると、これまでの原発事故をめぐる集団訴訟では、国が被告の13の訴訟で地裁判決が出た。うち7地裁は津波の予見性を認めて国に賠償を命じる一方、6地裁は予見性は認めつつも、国が東電に安全対策を指示しても事故までに間に合わなかったなどとして、国に責任があると認めなかった。  18年10月に始まった仙台高裁の審理でも津波の予見性が争われており、原告は約280億円の損害賠償を求める一方、国と東電は長期評価の信頼性は低いため津波は予見できず、国の指針による賠償額以上を支払う必要もないと主張している。(小手川太朗、飯島啓史) (略) 「裁判官も国も東電も、よく見て行ってください。原発事故で避難したら、我が家がこんなにもひどくなるってことを」  19年5月、仙台高裁の裁判官らの視察。変わり果てた自宅で原告の深谷敬子さん(76)が訴えた。白い防護服の人々は誰も声を発さなかった。ただ、後で弁護士から「涙を浮かべていた裁判官がいましたね」と知らされた。 (略) 一審判決は国と東電の責任は認めたが、「原状回復」や「ふるさと喪失」といった原告の主張は退けられた。「この裁判には絶対に勝ちたい。本当に欲しいのは、国や東電からの『申し訳ない。大変な思いをさせました』と心のこもった一言。今回はいい判決をもらいたい」と願う。(力丸祥子) 全文は原発事故めぐる国の責任、初の高裁判決へ 避難者ら注視

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世界で再生エネ発電、原発超える コストも優位、欧米は廃炉進む via 東京新聞

世界全体の再生可能エネルギーによる発電量が昨年、初めて原発を上回ったとする報告書をフランス、日本、英国などの国際チームが26日までにまとめた。太陽光や風力が急増する一方、原発は先進国で廃炉の動きが相次ぐなど停滞が目立ち、前年をやや上回る水準にとどまった。 チームの一員でコンサルタントのマイクル・シュナイダー氏は「原発の発電コストは高く、世界のエネルギー市場で競争力を完全に失っている」と指摘した。 全文は世界で再生エネ発電、原発超える コストも優位、欧米は廃炉進む

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菅首相 福島第一原発など視察「責任もって復興に取り組む」via NHK News Web

(抜粋) 菅総理大臣は、26日、就任後初めての地方視察として、福島県を訪問しました。 ことし3月、9年ぶりに全線で運転を再開したJR常磐線で、午前11時過ぎに大熊町に到着した菅総理大臣は、まず、東京電力福島第一原子力発電所を訪れました。 (略) 続いて、菅総理大臣は、今月20日に双葉町にオープンした、県の伝承施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」を訪れ、住民の避難の記録や、震災後に世界各国から寄せられた支援の品を展示するコーナーなどを見て回りました。 このあと、菅総理大臣は、復興を担う人材育成を目指して広野町につくられた、県立の中高一貫校「ふたば未来学園」を訪れ、生徒3人が、地域の課題の解決に向けて取り組んでいる学習活動の成果を発表しました。 このうち、祖父が漁師だという、中学2年生の小野雄太郎さんは、風評被害の払拭のため、地元の漁業の魅力を伝える絵本をつくりたいと話していました。生徒たちの発表を聞いた菅総理大臣は、「目標をしっかり持って頑張っているのは本当にすばらしい。私は、『意志あれば道あり』をモットーに一生懸命頑張り、いつのまにか総理大臣になった。失敗をおそれず頑張ってほしい」とエールを送っていました。 一連の視察のあと、菅総理大臣は、記者団に対し、「総理大臣に就任して初めての訪問先に、福島を選んだ。福島第一原発については、廃炉作業が安全で着実に進展していることを確認した。今後も復興と廃炉の両立のために、国が前面に出て、しっかり取り組んでいきたい」と述べました。そのうえで、増え続けているトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法について、「今後できるだけ早く、政府として責任を持って処分方針を決めたい」と述べました。 全文は菅首相 福島第一原発など視察「責任もって復興に取り組む」

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被曝データ不正利用で研究者批判〜伊達市議会で中間報告 via OurPlanet-TV

東京電力福島第一原子力発電所事故後、伊達市住民の個人線量データを住民の同意を得ず、被曝の過小評価につながる論文を執筆し、論文撤回に至っている問題で24日、議会調の特別委員会が中間報告を行った。研究者らが伊達市に責任転嫁していることについて、「罪を糊塗する行為」 だと厳しく糾弾。また田中俊一氏との関係も指摘するなど、踏み込んだ報告書となっている。 問題となっているのは、福島県立医科大学の宮崎真講師と東京大学の早野龍五名誉教授が、2016年と2017年にかけて、英国の科学雑誌に発表した2つの論文。伊達市の調査委員会が今年2月、個人情報保護条例違反の疑いを指摘した報告書を公表したが、市議会がこれを受けて特別委員会を設置して、市の調査結果を検証していた。 データ違法入手を隠蔽」と指摘特別委員会の菊地邦夫委員長はまず、研究者らがインフォームドコンセントを全く実施していなかったことを問題視。「説明どころか同意、不同意など無視して執筆しようとしていた可能性が高い」と強い言葉で非難した上で、「責任を市のデータ提供に問題があるがごとく責任転嫁し免れようとすることは、研究者として罪を糊塗する行為である」 と研究者の責任を指摘した。 さらに市長名で発出された2015年8月1日づけの「論文依頼書」が、実際には10月下旬に作成されていたことについて、「市民データを違法に入手したことを隠蔽するための工作」だったと指摘。すでに解析ずみであったにもかかわらず、宮崎氏が形式的に倫理審査会に申請をし、博士号まで取得していたと述べ、しかも、宮崎氏の論文撤回コメントまでもが不正であると厳しく批判した。 市の調査漏れを指摘〜2014年のフライング提供このほか、報告書では、市の調査委員会の調査漏れも指摘した。市の調査報告書では、2015年2月と同年8月のデータ提供のみが報告されているが、2014年12月に、宮崎氏が同市の半澤隆弘直轄理事(当時)に対し、手続きを無視して、裁量で早野氏へデータを提供するよう依頼していたメールの存在を紹介。「個人情報保護法を無視し、違法提供、幇助、違法入手した」と指摘した。 伊達市の「伊達市被ばくデータ提供に関する調査委員会」報告書https://www.city.fukushima-date.lg.jp/soshiki/3/39948.html 田中俊一氏への解析データ提供にも言及さらに報告書では、事故後、伊達市の市政アドバイザーに就任し、その後、原子力規制委員長に就任した田中俊一氏へ解析データがわたっていたことにも言及。避難指示の指定や解除を担う内閣府の原子力被災者生活支援チームの会議資料の中に、同部署の担当者が2013年6月、宮崎氏やな早野氏らと線量計測について打ち合わせしていた事実が記載されいると指摘。2015年10月20日に、早野氏から田中氏に対して、解析データが提供されていたとした上で、伊達市のデータが違法な手段で提供され、国の政策を左右していることを示唆した。 報告書は、田中氏は昨年4月4日の読売新聞紙上で、「論文が取り下げられるとしても、適切な手続きを経てデータの解析はやり直されるべきだ。その成果は、他の市町村の被曝線量の推計や低減策に役立つだろう」と述べていることにも触れ、食品や空間線量の基準を緩和する立場に立っている田中氏が、同論文に影響を与えた可能性も指摘した。 宮崎氏や早野氏に対するデータ提供をめぐっては、今なお、未解明な点が残っており、市の職員が持ち出したCD-Rも今なお3枚が行方不明のままだ。その中には住所や年齢、個人番号など70項目の個人情報が含まれいているなどとして、報告書では、市だけでなく、市議会にも適切な対応をするよう求めた。調査特別委は、来年3月頃までに最終報告をまとめたいとしている。 原文

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「東電スペシャル」丸のみした東京電力 審査異例づくし via 朝日新聞

 あれだけの大事故を起こした事業者に再び原発を動かす資格があるのか。東京電力の「適格性」は、福島第一原発事故の反省から生まれた原子力規制委員会の最重要課題の一つだった。柏崎刈羽6、7号機(新潟県)の審査で規制委は、安全最優先の姿勢など基準のないものについても「東電スペシャル」(更田豊志委員長)として異例の要求を重ね、了承に踏み切った。  東電が6、7号機の再稼働を目指して審査を申請したのは2013年9月。事故発生から2年半しか経っていなかった。規制委は他電力と同じように、地震や津波の想定の引き上げや重大事故対策などを技術的に審査。福島第一と同じ沸騰水型(BWR)では最も早く進み、17年夏には新規制基準への適合を認める審査書案がほぼまとまった。  並行して規制委は、小早川智明社長ら経営陣を呼んで企業姿勢をただした。福島第一の汚染水処分の判断を国任せにするような発言もあり、田中俊一委員長(当時)は「(福島第一の)廃炉を主体的にやりきる覚悟を示せなければ、柏崎刈羽を運転する資格はない」などと厳しく批判した。  その結果、廃炉への覚悟やリスク低減の継続的努力など7項目を社長名の文書で回答させ、原子炉等規制法に基づく許認可の一つで、違反すれば運転停止もありうる保安規定に反映すると約束させた。こうして適格性の担保に道をつけ、審査書を正式決定した。  保安規定の審査でも特別態勢をとった。ふつうは規制委員1人がトップとなる審査チームでおこなうが、適格性に限って、5人の委員全員がそろう場で記載内容を逐一確認。原発事故の強制起訴裁判で東電の旧経営陣が展開した無罪主張を引き合いに、事故時に社長の刑事責任を問える体制作りなども追加で求めた。  保安規定が認可されなければ再稼働できない。東電は要求を丸のみするしかなかった。「リスク対応を怠って事故が起きれば、社長の刑事責任や損害賠償責任が認められる」と明記した弁護士の意見書を提出。リスク情報に対応した記録の保存期間を「5年」と説明して規制委側から「大きな失望を感じる」と批判されると、次の会合ですぐに「廃炉まで」に延ばした。 原文

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福島・双葉町 伝承施設が開館 via 東京新聞

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国や東電の批判NG? 伝承館語り部に要求、原稿添削もvia 朝日新聞

震災や原発事故の教訓を伝える目的で福島県双葉町に20日に開館した「東日本大震災・原子力災害伝承館」が、館内で活動する語り部が話す内容について「特定の団体」の批判などをしないよう求めていることが関係者への取材でわかった。県などによると、国や東京電力も対象だといい、語り部から戸惑いの声があがっている。  伝承館は、東京電力福島第一原発事故による避難指示が一部で解除されたばかりの双葉町に福島県が建設した。各地で収集された24万点の資料から150点あまりを展示する。収集費などを含む計53億円の事業費は国が実質全て負担した。国の職員も出向する公益財団法人「福島イノベーション・コースト構想推進機構」が管理、運営する。  語り部は養成講座の参加者や経験者から選び、現在29人を登録。日替わりで配置され、原発事故で長引く避難生活や津波で自宅を失った経験などについて語る。1回の口演につき最長1時間ほどで、1回あたり3500円が支払われる。 […] […] 全文

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伝承館開館、展示されぬ教訓多く 内容更新求める声も via朝日新聞

 20日、福島県双葉町に開館した県の「東日本大震災・原子力災害伝承館」。事故の記録や教訓を伝える目的の施設だが、国や東京電力の津波対策の不備や情報発信のあり方など展示説明が触れない教訓も少なくない。「人災」と指摘される事故の教訓をいかに伝承するか。展示内容の更新や工夫を求める声が上がる。 […]  一方、原発事故が「自然災害ではなく明らかに人災」(国会事故調査委員会報告書)と指摘される中、国や東電の事故の責任に関する展示説明は少ない。 […]  一方、ウクライナ国立チェルノブイリ博物館や県内の既存施設の展示内容に詳しい福島大学の後藤忍准教授(環境計画)は「失敗を伝えることが次への教訓となるはず」と話す。津波対策の不備については「元の地盤の高さ(35メートル)と敷地の高さ(10メートル)、実際に到達した津波の高さ(15・5メートル)と08年の試算(15・7メートル)を図示すれば、教訓が視覚的にも伝わりやすい」と提案する。  また、事故直後に住民の不信を招いた国や東電の情報発信のあり方についての説明も欠けている。当時の東電社長が「炉心溶融」という言葉を使わないよう社内に指示した「メルトダウン隠し」や、当時の官房長官が「ただちに健康に影響を及ぼす(放射線量の)数値ではない」と繰り返したことは被災地で不信を招いた「教訓」だが、伝承館での展示説明はない。  予測結果の公表が遅れたSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)は館内のパネルで「国は予測結果を県災害対策本部に送信したが、情報を共有することができなかった」などと説明するが、批判が集中した公表遅れへの言及はない。  郡山市から川崎市に自主避難する松本徳子さん(58)は「信頼できる情報がなく、不安で避難した」と当時を振り返り、「なぜ避難せざるをえなかったのか。当時の状況を検証して教訓とし、伝承館で伝えてほしい」と話す。  また、事故後の避難の様子を伝えるコーナーでは仮設住宅の案内看板や避難所で使ったストーブなどが展示され、被災者が避難生活について語る映像もある。だが、長引く避難生活による体調の悪化などで亡くなる関連死は死者数に触れる程度で、大熊町の双葉病院で入院患者ら約50人が避難で亡くなったことなど、具体的な説明はない。  「事故前の暮らし」コーナーでは、原発がもたらした雇用など地元への経済効果を説明するが、国から自治体に流れた電源三法交付金の説明がない。交付金でインフラ整備が進む一方、維持費の負担が大きく町の財政悪化を招き、さらに原発依存を深める「副作用」もあった。双葉町の井戸川克隆前町長は「県が建設し、カネを国が出す施設で、自らに都合の悪い説明を避けている」と話す。  多様な原発事故の実態や教訓を伝えるには、展示資料がそもそも少ないとの指摘があり、桜美林大学の浜田弘明教授(博物館学)は伝承館に展示される167点について、「小規模な企画展の展示数並み」とみる。  展示に様々な指摘が出ていることについて、その選定に関わった県「資料選定検討委員会」委員で東北大学の藤沢敦教授(考古学)は「原発被害は続いている。開館後も資料収集を続け、批判も受け止めつつ、展示内容の更新や企画展などを行うべきだ」と話す。(力丸祥子、古庄暢、関根慎一) 伝承館で展示や説明がない主な記録や教訓 ・国や東電が津波対策を怠った経緯 →過酷事故を想定せず、防潮堤のかさ上げが先送りされた ・「人災」の文言 →国会事故調が事故を「人災」と結論 ・国や東電の情報発信 →「メルトダウン隠し」「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」などが住民の不信を招いた ・損害賠償 →国は賠償費を7兆9千億円と想定。4月から電気料金への上乗せが始まり国民負担も ・電源三法交付金 →立地自治体は「電源立地交付金」など多額の交付金を国から受け取っていた ・佐藤雄平前知事の県産米安全宣言 →前知事が2011年10月に県産米の「安全宣言」をしたが、11月に基準値超の米がみつかった 全文

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