関電の使用済み核燃料受け入れの「可能性はゼロ」 青森県むつ市長が本紙インタビューに明言 via 東京新聞

 福井県に立地する関西電力の原発から出る使用済み核燃料を巡り、関電が搬出先の「選択肢の一つ」とする中間貯蔵施設のある青森県むつ市の宮下宗一郎市長(41)が26日、オンラインで本紙のインタビューに応じた。宮下市長は関電などの使用済み核燃料を受け入れることについて「可能性はゼロだ」と明言し、協議の余地はないとの姿勢を強調した。(今井智文、高野正憲)【関連記事】「東北の核燃料、福井なら受け入れるのか」青森・むつ市長インタビュー詳報 関電の使用済み核燃料はどこへ?

 むつ市では東京電力ホールディングスと日本原子力発電(原電)が出資して中間貯蔵施設を建設している。昨年12月、大手電力でつくる電気事業連合会(電事連)が施設の共同利用を検討すると表明。関電の使用済み核燃料の搬出先が決まっていないことに対する事実上の救済策だが、宮下市長は反発姿勢を示してきた。

宮下市長は2005(平成17)年に市が東電などの施設設置を受け入れた経緯について「私たちの意思で誘致したものだ。使用済み核燃料が要らないから押しつけられるのとは圧倒的に違う」と強調。11年の東京電力福島第一原発事故を経たことで「原子力を担う重さは、誘致した当時とは変わった」と指摘し、電事連から提示された共同利用案を「私たち自身で誘致したのとは決定的に違う。市の未来を自分たちで決める権利をないがしろにするやり方はあり得ない」と語気を強めた。 インタビューはむつ市役所の宮下市長に、本紙記者が福井県内からオンラインで行った。

◆搬出先決まらぬまま…福井県知事の再稼働同意判断大詰め

関西電力などが青森県むつ市の中間貯蔵施設を共同利用する案は、運転開始から40年を超えた関電の原発3基について、関電が立地の福井県から再稼働の同意を得るための回答だった。だが、宮下宗一郎市長はインタビューで「引き受けることはあり得ない」と一蹴。杉本達治福井県知事の同意判断が迫る中、「むつ共用案」が空約束に終わる懸念がぬぐえない。

 福井県は1990年代から、原子力事業者に使用済み核燃料を県外搬出させる方針を打ち出している。関電は搬出先として県外の中間貯蔵施設を「2010年ごろに稼働」「18年に計画地点を示す」などと約束してきたがこれまで果たせず、県は20年末までの回答を求めていた。 関電の森本孝社長は今年2月、杉本知事に「選択肢の一つ」としてむつ共用案を報告。23年末を期限として確定させるとした。これを杉本知事は「一定の回答があった」と受け入れた。県議会では「むつ共用案は見通しがつかない」などの批判もあったが、今月23日に自民会派などの賛成で40年超原発の再稼働に事実上同意し、杉本知事の最終判断を残すのみとなっている。 3基が再稼働して県内の関電の原発7基がフル稼働した場合、各原発の核燃料プールは5~9年分の余裕しかない

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