食品に含まれる放射性物質の基準値をもっと甘くすべき。自民党の1年生議員が衆議院の特別委員会で、「生産者と消費者、双方がウイン・ウインとなるような数値にすべき」との迷言を吐いた。
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だがこの考えは、消費者の健康被害と生産者の利益について、一定のバランスをとるべき、という起点において、そもそも間違っている。消費者の健康は第一に守られるべきであり、生産者の利益は、加害者である東京電力からの賠償によって保護されるべきだろう。
あいまいなバランス感覚だけで基準値緩和を行えば、消費者は産地で食品を選ぶ。福島や東日本のものは、極力避けるようになり、生産者が受ける経済的な被害は現状よりさらに大きくなるが、法的に販売できる状態である以上、東電に対し賠償は求めにくくなる。
鬼木議員の「ウイン・ウイン」でもっともウインするのは、東京電力である。同議員がそれを意図しているのか、たんに考えが浅いだけなのかは不明だ。
http://youtu.be/o8WbhfFBx7M
全文は 「放射線基準値はウイン・ウインで」自民鬼木議員が迷言
参考 動画内で鬼木議員が触れているコーデックス基準(Codex General Standard For Contaminants and Toxins in Food and Feed, p.34-36) (これはチェルノブイリ原発事故を受けて定められた汚染地域からの輸入食品の基準であり、事故発生国の食品基準にあてはめられるものではない)
答弁にたった森まさこ大臣も同様、この問題について「ウィン・ウィン」という言葉を使えるその言語感覚からして理解を超えます。
また鬼木議員が質問で触れているコーデックス基準では汚染食品が全食品の10%という想定による試算に対して日本の基準は50%という想定なので5倍厳しいという点ですが、これはミスリーディング、不正確な説明です。コーデックス基準(Codex General Standard For Contaminants and Toxins in Food and Feed, p.34-36) で10%というのは、”the import/production factor (IPF)”、ある地域における食品の全供給量のうち、汚染地域からの輸入量の想定割合をさしています。(The import/production factor (IPF) is defined as the ratio of the amount of foodstuffs imported per year from areas contaminated with radionuclides to the total amount produced and imported annually in the region or country under consideration.)これはチェルノブイリ原発事故をうけて定められた、汚染地域からの食品輸入の基準であり、事故発生地域での食品基準ではありません。もちろん日本国産の食品すべてが等しく汚染されているわけではありませんが、コーデックス基準の前提から考えれば輸入割合の係数をそのまま事故発生国での基準にあてはめることは非論理的です。