東京電力福島第1原発の汚染水漏れが次々と発覚した。ネズミによる停電と併せ、ままならない管理。「収束」とは程遠い現状をあらためて露呈した。[…]
汚染水漏れは、7カ所ある地下貯水槽のうち、まず1カ所で発覚。このため他の貯水槽に移送を行ったが、移送先でも漏水が起きていた。
これとは別に判明した1カ所からも他の貯水槽に移すことにしたが、今度は配管の接続部から漏れているのが見つかった。ほころびはあちこちにあった。
施工業者の設計ミスなどさまざまな原因が指摘されている。お粗末としか言いようがない。東電の管理能力も厳しく問われる。
地下貯水槽内の汚染水は、地上タンクでの保管に切り替えることになった。しかし、設置作業は自転車操業的な対応を余儀なくされそうだ。
原子炉建屋などに流入する地下水が汚染水と化し、毎日大量に増え続けているからだ。地上タンクは地下貯水槽ほど容量がなく、急ピッチで次々と建設していかなければならない。
だが、それでも根本的な解決にはならない。敷地には限りがある。汚染水増加を防ぐためには、抜本的な地下水対策が不可欠だ。
汚染水問題について広瀬直己東電社長は「経営資源を総動員して対処する」と述べたが、もはや東電の手に負えない事態なのかもしれない。国家的プロジェクトが必要ともみられる。[…]
事故後、敷地内の汚染水が放出された2年前が思い起こされる。国際的な非難を浴びた。
再び放出すれば、これまでもダメージを受けている水産業をはじめ、各分野に大きな影響を与えることになる。本県としても看過できるものではない。
国会事故調査委員長だった黒川清氏は「事故は明らかに、まだ収束していない」と国会で強調した。そして廃炉までの道は、収束のずっと先にある。過酷事故による際限のない処理。原発は危険性ばかりではなく、経済性にも課題を
抱える存在であることを直視すべきだ。
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