広島市教育委員会が市立の小中高校を対象にした「平和教育プログラム」の教材から漫画「はだしのゲン」を削除する方針を決めた問題で、米国のビキニ水爆実験で被ばくした静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の記述もなくすことが1日、分かった。教員用の指導資料には記述を残し、生徒に概要や参考文献を紹介するという。 【水中爆発の写真】1946年7月1日、米国が太平洋のビキニ環礁で原爆実験を開始した 「死の灰」第五福竜丸にも
第五福竜丸は69年前の3月1日、太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験に遭遇し、乗組員23人全員が被ばくした。日本で反核運動が高まるきっかけとなった。平和教育プログラムで使う市教委作成の「ひろしま平和ノート」では、第五福竜丸は核兵器を巡る世界の現状を学習する中3の部分に掲載されている。乗組員の被ばくや、半年後に40歳で亡くなった無線長の久保山愛吉さんなどを写真とともに紹介している。 市教委がプログラムを再検討する中で「第五福竜丸が被ばくした記述のみにとどまり、被爆の実相を確実に継承する学習内容となっていない」との指摘が出た。