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Daily Archives: 2023/02/04
水戸喜世子共同代表「判決を受けて」via 子ども脱被曝裁判ホームページ
判決要旨を読んだうえでの感想です。枝葉末節の整合性を、事実に基づかない仮定の上に積み上げてみせただけで、肝心かなめ、弁護団が発見したとんでもない法律の空白については触れていないのはなぜでしょう。不思議です。 子どもが毎日通っている学校。親は安全な場所だと絶対的信頼を寄せて、子どもを送り出したものです。学校が安全なのは学校環境衛生基準という法律があって、絶えず、最新の情報に入れ替え、見直しがされ、厳しく管理されているからなんだということを、規則を読んでみて、私も初めて知りました。憲法、教育基本法をこどもの現場で、こんな形で具体化して、子どもの安全を保証していることに、感心しました。 教師をしていた友人に聞いてみたら、そういえば、毎年検査が入っていたね、と教えてくれました。検査項目は多岐にわたっていて、温度、黒板の明るさ、水質、その他様々な有害物質の濃度基準値が全て数値で示されています。ネットで「学校環境衛生基準」と検索すれば、出てきます。お子さんのためにも一度のぞいてみてください。 放射能がばら撒かれて12年が経つというのに、放射性物質についての基準値が書かれていないと気づいた弁護団が指摘したのが事のはじまりでした。調べてみたら、本当にないのです。こんな過酷事故を想定していなかったから当然かもしれません。五重の壁に守られているから絶対事故は起きないと電力会社と一緒になって国も豪語していたのですから。それにしても、事故からすでに12年、文科省も、国会も知らんぷりとは、信じがたい怠慢です。異常な人権無視です。3.11の事故が起きてからの、子どもを持つ親の最大の心配ごとは放射能被ばくの一点でした。多くの親子が、何の手も打たない学校を見限って県外に避難したのです。いっときの除染をしただけで、作業員の基準である年20ミリシーベルトに放置し、何の手も打たなかったから学校に愛想をつかした結果です。残った人は、学校の善意を信頼したのだと思います。 弁護団は規則に放射性物質についての基準値がないことを裁判所に教え、整備されるまで、空白のまま放置するのは、子どもの安全上、許されないとして既存の法律(環境基本法)を根拠に暫定値を試算してみせました。すると現行の年20ミリシーベルト暫定値は、環境基本法が定める基準値の7000倍の死亡率に相当することがわかったのです。そんなところで、子どもを教育することの是非を、裁判所に判断せよ、と迫ったのです。子ども人権裁判の根本的命題です。 ところが判決文には反論もなければ、批判もない。無視しました。法の番人が法の空白を見過ごして、何を根拠に子どもが保護されているのか、いないのか、どうやって判定できるのでしょうか。長々とした説明になりましたが、司法への失望はまたもや絶望的なほど深いです。 三権分立不在!と叫ぶ気力すら奪われるような昨今の裁判劣化ですが、それにもめげずに、裁判に関心を寄せてしまうのは、裁判は私にとって、その分野の専門家の意見が聞けて、その上で自分の見解を持つことが出来る、市民にとっては貴重な学びの場だからです。恐らく多くの市民にとってもそうではないかと思います。勝ち負けももちろん関心がありますが、たとえ負けても、一層真実の所在が際立って理解でき、奮い立つのです。 被ばく。晩発性故に厄介な、核推進派にとってのカクレミノにされてきた事例を、多くの人に知ってほしい。考えられる限りの公害物資を学校環境衛生基準にしっかり組み込んでいるのに、なぜ、放射性物質だけが特別扱いか。放射性物質に対して、大人の5倍から7倍弱い子どもには、せめて学校内だけでも、基準値を決めて、子どもの安全を守らせねばなりません。司法があてにならなければ、親たちがこのことに気づいて声をあげられるように、裁判で学んだ私たちが、世論喚起に本気になって取り組むことが求められていると思います。(了) 原文
1ミリ以下での学校教育を求めた裁判〜仙台高裁が棄却 via OurPlanet-TV
福島県在住の子どもが、放射線量の低い安全な環境で教育を受ける権利を求めて、国や福島県、市町村を訴えていた裁判(子ども脱被曝裁判)の控訴審判決で、仙台高裁(石栗正子裁判長)は1日、中学生2人の控訴を棄却した。既に卒業している2人の請求は却下した。 裁判所は「人の健康の維持に悪影響を及ぼす程度の放射線に被ばくする具体的な危険が存在するとは認められない」などとして、「安全配慮義務に直ちに反するものとはいえない」と判断した。 判決後の記者会見で、井戸謙一弁護団長は、放射性物質は環境基本法の規制物質になった現在も、基準が出さめられず、ベンゼンなどの化学物質と比べ、7000倍の違いがあると主張してきたが、裁判所に逃げられてしまったと述べた。 また同じく弁護団長の光前幸一弁護士は、「20ミリシーベルトを上回らなければ、裁判上、具体的な危険は認められないということ。他の公害物質と大幅に違うことには踏み込まなかった」と悔しさをにじませた。 2014年の提訴から8年半。当時小学校1年生だった子どもは中学校を卒業するため、最高裁への上告はできない。2011年6月に郡山の子どもが、安全な学校での教育を求めて仮処分の申し立てを行った「集団疎開裁判」からは12年が経過する中、原発事故による被ばくを免れるために、学校単位での集団避難を求めて提起された裁判が終わりを迎えた。 福島県内に住んでいた親子160人が、事故後の被ばく対策が不十分だったことにより、精神的苦痛を受けたとして国と県に損害賠償を求めた裁判、昨年9月に分離された。3月27日に次回期日が開かれる。 原文と動画