風がほとんどなく快晴の午前、1号機脇で白い防護服と顔を覆う全面マスク姿の作業員十数人が、巨大なてんびんのような機械の周りにいた。屋外で最も線量が高い場所にある1、2号機間の汚染配管の撤去に使う切断装置だ。不具合が続き、配管を切れずにいた。身ぶり手ぶりを交えて議論している様子から、トラブルの深刻さがうかがえた。
4号機南西側では昨秋以降、汚染水の発生源である原子炉建屋に地下水が入り込むのを抑える「凍土遮水壁」の一部が解けた。そこを補強するため、地中に鉄板(幅40センチ、長さ9.5メートル)を打ち込む工事の真っ最中だった。クレーンでつり上げた鉄板を作業員がロープでたぐり寄せ、打ち込む位置を定める。大きな鉄板に体重をかけて押さえ込む姿に、身がすくんだ。
凍土壁は国費345億円を投じて2016年に凍結を始めたが、効果がはっきりしない。冷却液漏れなどのトラブルが続発するなど設備の劣化が進んでおり、対処する作業員らは危険と隣り合わせでもある。
午後3時、1、2号機西側にある高台に立つと、地上近くの汚染配管の上にクレーンでつられた切断装置が見えた。切断時に聞こえるはずの金属音はなく、ぴくりとも動かない。東電によると、この約40分前に切断器具が壊れた。計画通りには進まない事故収束作業を象徴するようだった。
◆5時間半の取材で被ばく線量は?
5時間半の原発構内の取材で、記者の被ばく線量は43.94マイクロシーベルトだった。取材班は1分ごとに被ばく線量を測定できる機器を持参し、測定した。グラフから、1、2号機排気筒周辺にいたときに最も被ばくしていることが分かる。
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