プレス・リリース福島県知事への抗議&質問書doc
福島県知事 内堀 雅雄 殿
抗議兼質問書
原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連) 会長吉原 毅 幹事長 河合 弘之
幹 事 近江屋 信広 事務局次長 木村 結
本年 1 月 27 日、欧州委員会議長に宛てた 5 人の元首相の書簡「脱炭素・脱原発は可能で すーEU タクソノミーから原発の除外をー」に対して、福島県知事たる貴殿から異議ある旨 の書面(以下「貴信」といいます。)が届きましたので、5 人の元首相の意見をとりまとめ、 事務局を務める原自連から反論し、かつ、質問いたします。
貴信は、「2022 年 1 月 27 日付け欧州委員会委員長宛ての書簡の中で、福島第一原子力発 電所の事故において、『多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ』とする記述がなされており ます。
福島県では、チェルノブイリ原発事故後に明らかになった放射線による健康被害として、 放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんが報告されたことから、福島県の放射 性ヨウ素の被ばく線量はチェルノブイリに比べて低いとされるものの、子どもたちの甲状 腺の状態を把握し、健康を長期に見守ることを目的として、県民健康調査甲状腺検査を実 施しております。」と述べております。
そこで質問します。この県民健康調査甲状腺検査の結果、約 10 年間で 266 人の甲状腺が んが発見され、そのうち 222 人が摘出手術を受けているのではないのですか。それを県と して認めますか(質問1)。
この 266 人という数字は、福島原発事故前の年間発生率 100 万人に 1~2 人と比べると 35~70 倍となりますが、県としてはこの数字をもってしても「多く」ないと言いますか。 県としては福島原発事故前と後では発生率が何倍だと認識していますか。その数字と算出 根拠をお答えください(質問2)。
福島原発事故後の約 10 年間で 266 人に甲状腺がんが発生しているにも拘らず、福島原発 事故との因果関係がない、もしくは認めがたいとするならば、その 266 人の甲状腺がんの 原因は何だと考えますか(質問3)。
プレス・リリース福島県知事への抗議&質問書doc
県民の健康を預かる県としては 266 人もの大量疾病が発生しているのに、その原因の調 査をしないのは間違いです。福島原発事故後、県と政府はこの 11 年間、甲状腺がんの大量 発生と福島原発事故との因果関係を否認することにのみ急で、それをもってこと足れりと し、「それならば真の原因は何なのか」を全く究明しようとしません。県民の健康に責任を もつ県としては誠に無責任です。
このように当方が言うと、県は「いや、大量発生はしていない。266 人というのは過剰 診断によって発見された数字に過ぎないのだ。」と反論するかもしれません。
しかし、266 人中 222 人が実際に甲状腺の片摘または全摘手術を受けている(そのほと んど全部が福島県立医大の鈴木眞一教授執刀)事実をどう説明するのですか。
そこで質問します。県としては 222 人の手術は過剰診断もしくは過剰手術であった、不 要・有害な手術であったと考えますか。その結論と理由を明確にお答えください(質問4)。
222 人の手術が過剰診療であったか否かを判断するにはそれに関する医療情報開示(個 人情報保護のうえ)とそれに基づく科学的かつ公正、公平な討議(鈴木眞一教授の参加も 得て)が不可欠です。
県にはその用意がありますか。結論と理由をお答えください(質問5)。
プレス・リリース福島県知事への抗議&質問書doc
最後に当方の意見を述べます。
国は原発の再稼働確保のため、福島原発事故由来の放射能被ばくと小児甲状腺がん発生 には因果関係はない→よって放射能は恐くない→よって原発事故はたいしたことはない→ 原発を再稼働しても大丈夫だ、という論理を貫徹しようとしています。
しかし、福島県は県内の原発を全て無くすという方針を決定しているのですから、その ような国の企図に忖度する必要はないはずです。県民本位に県民の健康を守れば良いので す。そのためには、県民健康調査をより拡充し、学校での検査も網羅的にして完全な実態 把握をし、体系的かつ有機的な健康対策を構築すべきであります。
以上のとおり、反論かつ質問を致します。2022 年 2 月 15 日までに明確にお答えくださ い。回答の有無及び内容は公開します。
以上
(問い合わせ先:原自連 木村結 090-6183-3061 03-6883-3498)
2022年2月4日
福島県.pdf
小泉 純一郎 様 細川護熙様 菅直人様 鳩山 由紀夫 様 村山富市様
2022年1月27日付け欧州委員会委員長宛ての書簡の中で、福島第一原子力発電 所の事故において、「多くの子供たちが甲状腺がんに苦しみ」とする記述がなされてお ります。
福島県では、チェルノブイリ原発事故後に明らかになった放射線による健康被害とし て、放射性ヨウ素の内部被ばくによる小児の甲状腺がんが報告されたことから、福島県 の放射性ヨウ素の被ばく線量はチェルノブイリに比べて低いとされるものの、子どもた ちの甲状腺の状態を把握し、健康を長期に見守ることを目的として、県民健康調査甲状 腺検査を実施しております。
専門家からなる「県民健康調査」検討委員会及び甲状腺検査評価部会において、放 射線被ばくと甲状腺がんの発生の関連性の評価を行い、平成28年3月に先行検査に 関し「総合的に判断して、放射線の影響とは考えにくい」と評価され、また、令和元 年7月には「現時点において、甲状腺検査本格検査(検査2回目)に発見された甲状 腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」とする見解が示されているところ ですが、現在も検査を継続するとともに、検査3回目までの結果の解析・評価を行っ ております。
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原発事故から間もなく十一年が経過しようとする中、放射線による健康影響などに 対する理解は進んでいるものの、県民の中には潜在的な不安が依然として残っており、 福島復興のためには、科学的知見に基づいた正確な情報発信が極めて重要であると考 えております。
つきましては、福島県の現状について述べられる際は、本県の見解を含めて、国、 放射線医学を専門とする医療機関や大学等高等教育機関、国連をはじめとする国際的 な科学機関などによる科学的知見に基づき、客観的な発信をお願い申し上げます。
令和4年2月2日
福島県知事 内堀 雅雄