重要施設に影響の恐れも
東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)が2007年の中越沖地震の後、同原発で一度も被災状況を点検していない建物のくいが計1800本以上あることが8日、東電への取材で分かった。東電はこれまで、同原発構内の全施設で中越沖地震の影響と安全性を確認したとしてきたが、被災状況の確認が不十分である可能性が出てきた。
東電は11月、柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋に直結している「大物搬入建屋」のくいで鉄筋の破断などが見つかったと公表。これを受けた新潟日報社の取材に、東電が回答した。
今回、未点検のくいがあることが分かったのは、主排気筒や焼却炉建屋など、建物下にくいを打ち込んで支える構造物。損傷の見つかった6号機大物搬入建屋のくいも、今年7月に被災状況の確認とは別の目的で調査するまで、点検は行われていなかった。
多くは新規制基準が求める耐震クラスが低い施設だが、原子炉建屋やタービン建屋などの重要施設に直結していたり、近接していたりして、倒壊した場合はこれらに影響を与えかねない施設もある。
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東電の土木担当者は「地中のくいを点検するには掘り返さねばならず、くいに期待される建物を支える機能が損なわれる」とし、未点検のくいが残ることはやむを得ないとした。
今後、未点検のくいの損傷も調べるかどうかについては「まずは6号機のくいの損傷原因を調べる」と答えるにとどまった。