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Tag Archives: 避難者
福島原発避難者の支援手薄 「安心情報だけ提供」と批判via Kyodo (Yahoo!ニュースJapan)
国連人権理事会に任命され、東京電力福島第1原発事故の避難者の実態を調査した専門家が、日本政府に対し「放射線に関して安心できる情報だけを提供し、避難者より帰還した人に手厚い支援を行うことは国際法の基準に反する」と指摘した最終調査報告をまとめたことが25日、分かった。7月4日にも人権理へ正式に提出される。 国内避難民の権利担当の特別報告者だったセシリア・ヒメネスダマリー氏が昨年9~10月、来日して調査した。人権理会合では、当事国の日本や各国から報告書の内容に対する意見や質問が出され、ヒメネスダマリー氏が回答する予定。 共同通信が入手した報告書は、事故後、政府が「差し迫った危険はない」と市民に強調し、事態の深刻さを軽視したと批判。詳しい説明に消極的で、矛盾するメッセージを伝えることもあったことから、市民は自分で避難するか決断せざるを得なかったとの見方を示した。放射線に関する政府の情報への信頼は失墜したと指摘し、科学に基づいた中立的な情報を提供するよう促した。(共同) 原文
【原発避難者から住まいを奪うな】裁判官忌避申立も国際人権法もぜーんぶ無視して「国家公務員宿舎から出て行け」 怒号飛ぶ法廷で福島地裁が2世帯に判決言い渡し via 民の声新聞
2023/01/14 11:50 福島県が2020年3月、区域外避難者4世帯を相手取り国家公務員宿舎「東雲住宅」(東京都江東区)の明け渡しと未納家賃の支払いを求めて提訴した問題で、福島地裁の小川理佳裁判長は13日午前、審理が併合された2世帯に対し、福島県の主張を全面的に認める判決を言い渡した。小川裁判長を巡っては、避難者側が「訴訟指揮が不公平」などとして忌避申立。最高裁の結論が出ていないにもかかわらず判決言い渡しを強行した。判決内容も「避難者側が主張した国際人権法や知事の裁量権逸脱などをまったく検討していない」(柳原敏夫弁護士)。避難者側は仙台高裁に控訴する意向を示した。 福島県の主張を全面採用】 小川裁判長は小さな声で判決文を言い渡した。早口でメモもままならない。途中、傍聴席から「声が小さくて聞こえない」と声が飛んだが、小川裁判長は気にも留めずに主文を読み続けた。 退去済みの避難者には未払い家賃(131万8647円)の支払いを、退去できていない避難者には明け渡しと未払い家賃(147万5268円)と明け渡しまでの家賃(月額6万4863円)の支払いを命じる判決。傍聴席が騒然とするなか、小川裁判長は逃げるように法廷を後にした。その間、わずか40秒だった。 […] 「一時使用許可の期間が満了した場合において、社会権規約によって、期間経過後も本件各建物での居住を継続する具体的権利が保障されるものではない」などとして、避難者たちの居住権を否定した。 だとすれば、国内避難民の人権に関する国連特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリーさんはなぜ、訪日調査後の「予備的所見」(6月に最終報告書が提出される予定)で、次のように指摘しているのだろうか。 「援助や支援を受けるという点での『強制避難者』と『自主避難者』という分類は、実際にはやめるべき。人道的な保護と支援は権利とニーズに基づくべきであり、国際人権法に根拠のない地位に基づく分類に基づいて行われるべきではない」 「ある種の公営住宅に今も居住しているIDPs(国内避難民)は、現在、彼ら/彼女らを相手取って提訴された立ち退き訴訟に直面している。IDPsがどこにいようとも、政府は、特に脆弱な状態にあるIDPsに対して住宅支援の提供を再開すべきであると勧告する」 避難者の代理人を務める柳原敏夫弁護士は閉廷後「一番大事な『国際人権法』と『裁量権の逸脱・濫用』に触れた部分は1ページほど。ここに裁判所の姿勢が端的に現われている。私たちはこの点こそ、きちんと審理して十分に説明して欲しかった。5秒もあれば書ける判決だ」と批判した。 […] 全文
原発事故の国連報告者が訪日へ 9~10月、初の避難者調査 via 東京新聞
東京電力福島第1原発事故の避難者調査のため再三訪日を求めていた国連のセシリア・ヒメネスダマリー特別報告者(国内避難民の権利担当)に対し、政府が9月下旬~10月中旬の受け入れを打診したことが12日分かった。外務省が明らかにした。ヒメネスダマリー氏は共同通信の取材に、7月か9月の訪日を希望するとしていたため実現する可能性が高い。 国連人権理事会に任命された専門家による避難者の本格的調査が初めて行われることになる。 原発事故の自主避難者は住宅支援打ち切りなどで厳しい生活環境にあり、ヒメネスダマリー氏は2018年から訪日を求めていたが政府は事実上放置していた。 原文
シンポジウム“復興の人間科学2021”『福島原発事故10年の経験から学ぶ』~当時小学生だった若者達との対話から via 早稲田大学人間総合研究センター+ ある避難者による感想と報告
原発事故による避難生活という過酷な人生体験を小学生の時期に経験した被災者は、今年で17歳〜22歳となります。 現在大学生となった被災当事者は、あの震災をどう受けとめ,またこの10年間をどのような社会経済状況におかれ、どのような心理状態で、どのように思考を重ね、どのように生き抜いてきたのでしょうか。 […] [第1部.被災当事者学生による講演] 被災当事者学生5名(双葉町・福島市・郡山市・いわき市出身)による講演:「原発事故10年の経験/いま考えること」 【第2・3部】金菱清「現在大学生になる被災当事者との対話から私たちは何が学べるか」・パネルディスカッション 【第4・5部】萩原裕子「被災当事者の語りに耳を傾け学ぶことの意義」・シンポジウムのまとめ 会場で一部始終を見届けた一避難者のレポートと感想です。 8時間に及ぶシンポジウム。中でも避難大学生の講演とパネルディスカッションは圧巻でした ①Kくん:19歳、避難元は福島県いわき市、避難先は都内。都内に避難後、「福島からの避難者」というだけでいじめを受けた。 避難者はスクールカーストの底辺であるという表現にショックを受けた。特筆すべきは、その避難者の中ですらいじめが起こっていたという話。 そうした経験から不登校になり、救いを求めローマ教皇に手紙を出したところ、謁見が実現。手紙を出すという自身の小さな行動が、ローマ教皇との謁見に繋がった事実から、「発信する事」の大事さを学び、福島の原発事故のリアルと自身へのいじめの体験を発信し、二度と同じ悲劇を繰り返さない社会にしていきたいと講演活動を始めたそうです。 ②Aさん:20歳、避難元は福島県福島市。原発事故後、山形、北海道、福島県喜多方市、沖縄を経て京都へ避難後、現在は都内の大学に在学中。 AさんはもまたKくん同様、避難先の学校でいじめに遭う。そのため必死で関西弁を習得しつつ、みんなに馴染もうと努力。 また、福島のことや避難について発信したところ、発言内容についてのバッシングを受けたことから、発信する際の言葉の選び方などについて「誰も傷つけないよりよい伝え方」を探しているそうです。 ③Uさん:20歳、避難元は福島県双葉郡双葉町。原発事故後、栃木を経由し、埼玉へ避難。 Uさんもまた避難先でいじめに遭い、担任に相談するも向き合ってもらえず人間不信に。その後不登校になり、通信高校へ。 そうした中、仏教に出会い、仏教が学べる大学へ進学。少しずつ心の傷と向き合いつつも、まだまだ心は完治しておらず、現在も休学中。 ④Tくん:19歳、避難元は福島県郡山市。原発事故後、神奈川に避難し、現在は都内の大学に通う。 多くの避難者が孤独に避難している中、Tくんは仲の良かったご近所さんともども避難していることから孤立感を感じることなく、スムーズに避難先にもなじめた。 母親が立ち上げた避難者同志のカタリバに関わる中、学習支援を受けていたことから、自身もまた同じ境遇の子どもたちに寄り添いたいと学習支援をしている。 ⑤Kさん:21歳、避難元は福島県福島市。原発事故後、大阪を経て京都に避難し、京都の大学に通う。 放射能汚染から「みんな」ではなく、「自分たちだけ」が避難をすること、また、避難先では、「福島からの避難を隠さなければならなかったこと」に疑問を持つ。高校生の時、日韓高校生交流での体験から国を越えた交流に関心を寄せる。 大学生になってからも日韓青少年交流キャンプに参加をし、そこで原発事故避難者としてのスピーチをした際、韓国の若者が関心と心を寄せてくれたことに感動するとともに「発信すること」の大事さを実感。 しかし原発事故当時の混乱と理不尽さはトラウマとなっており、当時の話をすると感情が乱れてしまう。今回の参加も当初はZOOM参加を考えていたが、現地で生の声を伝えたいと参加を決めた。 5人の大学生の発言内容のレベルの高さが半端なく高いことに驚きを隠せませんでした。その理由を私なりに分析をすると、彼らの10年は、同年代が20-30年でゆっくりと経験することを多感期な10年でぎゅっと経験をしてしまったからではないか? そこには当然歪みが発生する。見た目は子どもでも、知識や思考は大人。 そうしたギャップや、避難先の保護者の不勉強さ、無関心さが複雑に絡み合うことで彼らへのイジメが発生したのではないか?そんなことが想像されるような彼らの冷静かつ的確な分析に、驚くとともに、胸が締め付けられ、そして、勇気をもって発信したことを称賛したいと思いました。 それと同時に、彼らが名前を出して発言していることから、こうした発信が「再び彼らを追い詰めないよう」、私たちは細心の注意を払い、きちんとフォローしていくこともまた次世代を育てていく上で最も大切なことだと感じました。 最後に、主催者のおひとりである早稲田大学辻内先生からのメッセージです。 「様々な意見をお持ちの方がいらっしゃると思いますが、話し合いや議論のキッカケになることを望んでいます。誹謗中傷など、人を傷つける心ない対応のなきようお願いいたします。」
東日本大震災や原発事故の体験「おらもしゃべってみっが」 つらい思いも安心して語れる場を via 東京新聞
2021年11月1日 15時37分 震災よりもその後の10年のほうが生きるのがつらかった-。東日本大震災や原発事故後、つらい体験を誰にも話せないまま、ストレスやトラウマ(心的外傷)を抱え、今も苦しんでいる人は多い。それは福島に残った人も避難した人も同じ。もっと地域全体で、震災や原発事故のことを語り合える社会になれば。そんな願いを込めた集まりが福島県南相馬市で開かれた。 (片山夏子) ◆「大丈夫だよ」全力で娘と自分についたうそ 「2011年3月12日土曜の夜。突然のごどさ、あでもなぐ逃げた。2歳と4歳の子、車さ乗せで。このまま家さいだら、ちびら、あぶねえっつって」 10月23日、震災や原発事故やその後の記憶を語り合う「おらもしゃべってみっが~市民が語る3・11」が開かれた南相馬市の会場に、同市から京都府綾部市に避難している井上美和子さん(52)の声が響いた。 あの日、井上さんは家族で車で逃げる途中、北か南か西かと地図を見ていた時、長女から「お母ちゃんどこに行くの」と聞かれ、どきっとした。どこ行くのかわからないと泣きたい気持ちを喉の奥にのみ込み、自分を「おめえ、お母ちゃんだべよ」と叱咤しったし「大丈夫だよ。もうすぐだから。寝てていいかんね」と全力で娘と自分にうそをついた。 ◆つらくて体験を語れなくても、聞くことで 井上さんは避難後、体験談を語りながら、原発事故が当事者だけの問題のように感じられているのではと違和感を感じてきた。どうしたらわが事として考えてもらえるかと悩み、2年前から自分や家族の震災体験や福島の日常を描いた話を生まれ故郷の浪江町の方言で朗読する「ほんじもよぉ(そうは言ってもよう)語り」を始めた。 井上さんは「今回、福島で初めて朗読できた。苦しみは人の数だけある。自分の体験がつらくて語れない人でも、話しているのを聞いて自分も同じだって思ってもらえたら」と、会場とオンラインの計130人の参加者に語りかけた。 ◆「話せば家族に影響するかも」声が出なくなる 南相馬市原町区でクリーニング店を営む高橋美加子さん(73)は「この10年はたくさんの人の苦しみや死が積み重なった10年だった」と言う。原発から30キロ圏内の原町区は震災直後、屋内退避に。新聞も郵便も届かなくなり、見えないバリアーが張られたように感じた。 高橋さんは震災から2年後に妹が書いた7編の詩「震災日記」を紹介。「死んでも故郷へ戻りたいという、この強い思い これは一体何なんだろう」「私の生きる場所はどこなのか? 私の生きているところが故郷なのか?」など複雑な気持ちが書かれていた。 「たくさんの疑問を抱えながら、地域を消さないため、地域や子どもたちを守るために何をすればいいか、地元の若者らとグループを立ち上げ議論した」と高橋さん。16年には市民が地域を学ぶ場「まなびあい南相馬」を設立した。 「震災のことはふたをしようとしても消えない。今も原発事故の影響を不安に思う人たちもいる。現実に起きたことを知ってほしい。でも私が話すことで家族に影響するかもと考えると声が出なくなる。みんな体験は違う。違いがあっても責められない、安心してしゃべれる場を作りたい」と場所作りの計画があることを明かした。 ◆周囲に避難者と明かせない人も 全村避難となった飯舘村の兼業農家だった北原康子さん(68)は事故後、多い時で村民400人が避難した相馬市の仮設住宅の管理人を7年務めた。「高齢者の1人暮らしも多く、班長を決め、毎朝安否確認をした」 北原さんは、体調が悪くなった人のために救急車を呼んだり、高齢者を狙った訪問販売への注意喚起をしたりした。そんな中、ともに奔走した前自治会長が脳卒中で亡くなった。 これまでなかなか話せなかったという。「避難者の中には、避難先や職場で避難者と言えない人もいる。分かっている人に話せても他では話せない。10年たっても原発事故は終わらない」と北原さんは言った。 ◆「話すことで孤立感が緩和されたら」 第2部は、会場の30人余が円陣になって語り合った。滋賀県に避難した男性は「自分の事を誰かに聞いてもらえる場は大事。でも仲間内でもなかなかはき出せない」と発言。3年前に南相馬市に会社をつくり滋賀県と行き来する井上昌宏さん(61)は「どこまで津波が来たかは聞けるが、被災者の思いは聞きにくい。語れる場を作りたい」。同市の会社員伏見香代さん(50)は「避難した人や福島にいる人がどう思っているのかは、話し合わないと分からない。今回のように安心して話せる場が必要」とした。 福島原発被害者支援かながわ弁護団の姜きょう文江弁護士は「裁判所でも原告の被災者の思いを十分聞く場になっていない」と発言。その上で「避難者の中には、避難できてよかったねと言われて、福島に戻りたくても戻れないという人もいる。福島にいる人たちもまた原発事故で傷ついている。話すことでお互いのつらさが分かり、孤立感が緩和されたら。10年たっても本心や苦しいと言えず、傷が癒えないままの人もいる。語れる場が広がっていけば」と望んだ。 ◆事故後10年で精神的な問題はより深く 「自分の体験を語るのがつらければ、聞くだけでもいい」。今回の会を主催した「震災ストレス研究会」代表で精神科医の蟻塚ありつか亮二さん(74)は、2013年から相馬市のクリニックで、震災や原発事故後、心的外傷後ストレス障害(PTSD)や鬱うつに苦しむ患者や、原発事故後変わってしまった地域の人間関係に悩む住民らを診察してきた。 「震災の記憶、特にトラウマ(心的外傷)やつらい体験はそれぞれが心の中に閉じ込めてしまう。それは大人だけではなく、子どもにも影響する。10年がたったが精神的な問題はむしろ潜伏していっている」と蟻塚さん。13年ごろには不眠やパニック障害や鬱症状を訴える人が多かったが、月日がたつにつれ「何のために生きているか分からない」「死にたい」「震災時より今の方がつらい」との訴えが多くなり、疲れ果てた人が増えたのを感じる。 ◆PTSDの発症割合、戦争にも匹敵 蟻塚さんは19年、帰還困難区域である浪江町津島地区の住民を調査。約500人のうち、約半数もの人がPTSDの症状を訴えたことに驚愕きょうがくした。戦争によるPTSDに匹敵するような非常に高い割合だ。「原発事故が起きた福島では、震災や原発事故後のつらい体験を周囲の人に語れないということがある。避難者だと明かすと、あの人は賠償金をもらっていると言われたり、放射能が不安だと言うと、まだそんなことを言っているのかと言われることも。『原発事故のことは語れない。墓場まで持っていく』と言った人もいる」 蟻塚さんは福島に来る前、沖縄戦のPTSDの患者を診てきた。「沖縄でも以前は沖縄戦の話はタブーだったが、語り始めた体験者の話をみんなが共有し、今では沖縄戦の体験を語れば、社会が受け止められるようになった」と説明する。自分の体験を語り、受け止めてくれる人がいることで傷が癒えてくるという。 「震災や原発事故のつらい体験を生き抜いてきたこと自体がすごいこと。福島でも震災体験を語ってもいいんだと思え、語ったら受け止められる、今回がそんな社会への第1歩となれば」 […] 全文
<社説>原発避難者訴訟 積み重なる「国の責任」via 東京新聞
福島の原発事故で愛媛に避難した人々が起こした裁判で、高松高裁が国と東京電力の責任を認めた。地震予測の「長期評価」の信頼性を認めた意味は重い。高裁で積み重なった国の責任もまた重い。 東電福島第一原発の事故から避難した人々をめぐる損害賠償訴訟では、すべて東電の責任は認められている。だが、国の責任も同時に認めたものは、地裁レベルでは十七件の判決のうち九件で、判断は真っ二つに割れていた。 高裁レベルでは一件を除き、仙台、東京、高松の三つの高裁が国の責任を明確に示したことになる。最高裁への太い流れができたと、高く評価したい。 判断の分かれ道は、国の地震調査研究推進本部が二〇〇二年に公表した地震活動に関する「長期評価」に対する信頼性だ。三陸沖北部から房総沖の日本海溝寄りで、マグニチュード(M)8クラスの津波地震が起こりうる予想だった。三十年以内の発生確率は20%としていた。 高松高裁は「科学的信頼性がある」として、「長期評価」を重視した。それゆえ経済産業相は予想を基に津波のシミュレーションを行い、福島第一原発に及ぼす影響を検討すべきであった。 当然、敷地高を大幅に上回る津波襲来を認識でき、防潮堤の建設やタービン建屋などへの対策も可能となる。 実際には調査や検討は行われず、国は規制権限を行使しなかった。だから高松高裁は「限度を逸脱して著しく合理性を欠く」と述べ、国の責任を認めた。長期間の避難生活をせざるをえなかった原告に一人当たり百万円の「故郷喪失慰謝料」なども認めた。 […] 今後の同種裁判のみならず、最高裁の判断にも影響を与えよう。強い権限を持つ国は、危うい予兆を示す重要情報があれば、その権限を振るうのは当然だからだ。 しかし、国の「長期評価」を「信頼性に疑いが残る」と指摘した裁判がある。業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の刑事裁判である。一審は三人とも「無罪」で、十一月にも控訴審が始まる。本当に「長期評価」は信頼できないのか、再度、焦点が当たることになろう。 全文
東電の居直り的対応へ怒り 8.27 最高裁へ要請行動
[…] 全国で原発事故に関する被害者の裁判が多く闘われているが、最高裁に上告されたのは、原発事故避難者訴訟第一陣が初。すでに昨年 3 月に仙台高裁で事実上の勝利判決をかちとっていた。原告団は被告東京電力に高裁判決に従い、謝罪し補償を直ちに行うよう求めた。掲載した第4回の「要請書」にあるように、仙台高裁が認定した被害は、訴訟を起こした時点までの被害であって、それもごく一部に過ぎない。原発事故被害の特徴は、被害は年を経るに従い大きくなるばかりであることが、10 年過ぎた今日で明らかになりました。しかし東京電力は不当にも上告し、最高裁で争われることになった。 原告団・弁護団は最高裁に、仙台高裁判決をふまえ早期に判決を出すよう要請行動を重ねてきたが、1年5ヶ月過ぎた今日でもなしのつぶてである。 最高裁前のスタンディングでは、原告団弁護団はじめ、「いわき市民訴訟団」の伊藤団長、「神奈川訴訟団」の村田団長などがマイクを握った。 「やっと水揚げが一定になった漁業は汚染水放出しようとする国・東電はとんでもない計画していること、廃炉は30~40年と東電は言っているが高線量で世紀を超える大惨事であることがわかってきた」。「東電は裁判で『避難先で家を建てたからもう賠償金は払わない』『賠償金は払いすぎだ』などと一斉に主張している。今でも命を断つ人がいるのに、開き直る東電は許さない」。「豊かな自然が汚染されとり返しつかない。1000 人いた生徒が 50 数人に減り運動会も部活動もできない。それでも『安全』だから戻れというのか」。 弁護団の米倉幹事長は「9年間裁判をたたかってきた。東電は今悪質な対応をはじめた。『払い過ぎなくらい補償はした』という虚構、『原告の要求を認めたら訴訟件数が増え裁判はパンクするぞ』と言う恫喝だ。全国の原告が怒っている」と述べた。 全文
【原発事故と国内避難民】「国連特別報告者の訪日調査受け入れて」 原発避難者たちが外務省に要望書提出 via 民の声新聞
2021/08/17 […] 国内避難民の人権に関する国連特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリーさんから出された訪日調査要請を日本政府が3年にわたって事実上拒んでいる問題で、ダマリーさんが「国内避難民」と認定した原発避難者たちが16日夕、訪日実現に向け速やかに受け入れを表明するよう求める要望書を外務省に提出した。原発事故から10年余。住宅の無償提供打ち切りなど避難者切り捨てが進むなか、ダマリーさんの訪日調査は原発避難者の権利侵害を世界に発信する絶好の機会となる。任期満了が迫り時間がないが、外務省は「関係省庁と調整中」と繰り返すばかりだった。 […] 原発賠償京都訴訟」や「子ども脱被ばく裁判」の代理人を務める田辺保雄弁護士と原発避難者4人が外務省を訪れ、人権人道課の宮川光國課長補佐に手渡した。 趣旨に賛同する国際環境NGO「グリーンピース・ジャパン」や国際人権NGO「ヒューマンライツ・ナウ」、「3・11甲状腺がん子ども基金」、「高木学校」、「避難の協同センター」、「会津放射能情報センター」、「関西よつ葉連絡会」など82団体が提出団体に名を連ねた。そのなかには、田辺弁護士ら6人の弁護士有志も含まれる。 要望書は「日本国内の状況が『国内避難に関する指導原則』の趣旨に反する可能性がある」、「訪日要請が三度にわたっている」、「日本政府は国連特別報告者の訪日要請を受け入れるとの立場を表明している」、「訪日調査の必要性が高い」などと指摘。次のような表現で政府の〝決断〟を促している。 「国連人権理事会の『普遍的・定期的レビュー制度(UPR)』の勧告をフォローアップすることに同意した後も、いわゆる自主的避難者に対する住宅無償提供打ち切りについて見直しが行われていない」 「ダマリーさんは任期満了が来年中に迫っており、報告書作成のための期間を考慮すると年内、遅くとも来年早々の訪日調査が必要となる」 「ハンセン病患者らへの差別撤廃に関する特別報告者が、コロナ禍でも来日し、外務政務官らと会談していることなどに鑑みると、二重基準を疑われないよう、特別報告者に対して訪日調査を実現するために協力の姿勢を示すことが求められている」 なお、メディアの同行取材は外務省に拒否された。 【「省庁間の調整つかない」】 […] 「ダマリーさんの任期が本当に6月で満了するのか確認できていない。もしかしたら秋かもしれない」と宮川課長補佐。国連特別報告者の訪日そのものについては「もちろん拒んでいません。全ての特別手続きに対して、日程調整さえつけばいつでも来てくださいという政府方針(スタンディング・インビテーション)があるので、拒否というのは原理的にあり得ない」と強調する。 しかし、現実には3年経ってもダマリーさんの訪日は実現していない。何が障壁となっているのか。宮川課長補佐は「調整」を何度も口にした。 「障壁というよりも、国内省庁の調整がつかないということ。様々な要件を満たさなかった。複数の特別報告者から要請を受けていて、外交日程とか様々な関係省庁の受け入れ態勢とかを考慮して判断していくなかで調整がつかなかったと申し上げるしかない。来秋までに訪日が実現する可能性?それも関係省庁との調整ができるかどうか次第です。今まさに調整中ですので、その結果次第ということ」 3年経っても「調整中」。そんなに難しいのか。 「一般論として、外国の要人が来られるときには政府として相当の準備が必要です。国連関係に限らず、二国間の様々な要人の往来も頻繁にありますので、外交日程を調整するというのは、それなりに大変なんです。関係省庁全体の日程調整や国会日程などを絡めると、『調整』というのはなかなか難しい」 一方で、非公式ながらダマリーさんとは3回も接触している。 「少なくとも3回は非公式に会っています。立ち話のようなものを含めればもっとあるのかもしれませんが、きちんとお話をしたのは少なくとも3回。ご本人と対面しました。ジュネーブでは、日本の国連ジュネーブ代表部の者が会っています。具体的にどの日程で来られたいとか、どういうところを訪問されたいとか、何度かお会いして意見交換しています。公には申し上げませんが、ダマリーさんの希望は把握しています。当然、復興庁や内閣府などと情報共有して、あとは調整さえつけば訪日に至る。そこが簡単ではないのですが…」 提出された要望書は「御意見として承って政府部内で共有する」という。
原発避難者の静かな叫び 「自死した息子の後追いたい」 via ザ・密着(Asahi Digital)
SUBSCRIBED3月4日朝、私のスマートフォンに着信履歴があるのに気がついた。午前4時すぎ、福島県南相馬市の庄司範英さんからかかってきていた。留守電には呼吸の音だけが入っている。 かけ直してもコール音が鳴るだけだ。胸騒ぎがした。2カ月前にも3日間つながらなかったことがあった。このときは庄司さんから「相談電話で『死にたい』と話したら、強制入院させられて電話できなかったんですよ」と聞いた。 庄司さんは、東京電力福島第一原発事故で家族と共に新潟県に避難していた。政府と福島県が2017年に住宅提供を打ち切ったため、庄司さんだけが戻って働かざるを得なくなった。庄司さんの勤務初日の未明、長男で中学3年の黎央さん(当時14)は自ら命を絶った。以来、庄司さんは後を追おうと自殺未遂を繰り返し、6回ほど保護されている。 https://www.asahi.com/articles/ASN4G4…