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Tag Archives: 核兵器禁止条約
<社説>核禁止条約会議閉幕 不参加は歴史的過ち via 琉球新報
ウィーンで開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議が3日間の日程を終え閉幕した。オブザーバー参加を見送った日本政府の不在が際立った会議だった。広島、長崎の両市長や被爆者らが出席したのに、政府は参加を見送り、参加国から「唯一の戦争被爆国が参加したがらないとは驚くべきことだ」などと批判された。不参加は歴史的過ちだったと言うしかない。 […] 注目されたのはオブザーバー参加した国々だ。日本とともに「クアッド」を構成するオーストラリアや、核同盟の北大西洋条約機構(NATO)に加盟するドイツ、ノルウェー、オランダ、ベルギーである。ドイツ代表は、核の緊張緩和に向けて条約支持国との「自由な対話と誠実な議論」が重要だと強調した。 共同通信の太田昌克編集委員はこれらのオブザーバー参加を「核に依存する国でも、核兵器の正統性を否定する核禁止条約への道義的支持を示せることを実証した」と評価した。そして、日本の不参加を「後世史家から『歴史的な過ち』と指弾されかねない」と批判した。 […] 米統治時代に1300発の核が配備され誤射事故も起きた沖縄にも、核戦争の危機は迫っている。核抑止に頼らず、核兵器による威嚇も禁止する核兵器禁止条約こそが「核廃絶」への道筋だ。歴史的な過ちを一刻も早く正すべきである。 全文
米、核禁止会議への不参加要請 オブザーバー警戒、日本は同調 via 東京新聞
【ワシントン共同】核兵器禁止条約に反対するバイデン米政権が来年3月の第1回締約国会議に、日本がオブザーバー参加しないよう外交ルートを通じて正式に要請していたことが20日、複数の米政府関係者への取材で明らかになった。要請は11月29日の週に行われ、岸田政権側は同調し、参加に慎重姿勢を示したという。 ドイツの新政権をつくる連立与党が、これに先立ちオブザーバー参加で政策合意。米側が同盟国への拡大を警戒、唯一の戦争被爆国として参加を求める声が強い日本にくぎを刺したとみられる。岸田首相は16日の参院予算委で参加は「具体的には考えていない」と否定的姿勢を表明した。 原文
「核廃絶は私たちから」 全米市長会議、核禁条約への歓迎を決議 via 朝日新聞
米国内の人口3万人以上の1400を超える都市で構成する全米市長会議が、米政府に対し、1月に発効した核兵器禁止条約を歓迎し、核廃絶に向けた即時行動を求める決議を全会一致で採択した。決議は「核禁条約への反対を撤回するよう検討し、核兵器のない世界の実現に向けた合意形成への前向きなステップとして歓迎するよう呼びかける」としている。 あらゆる核兵器の開発や保有、使用などを禁じる初めての国際条約である核禁条約は56の国と地域が批准しているが、米国などの核保有国は参加していない。8月末の年次総会で採択した決議はこのほか、米国の核軍備を近代化させる計画を中止し、そうした財源をインフラ整備や貧困問題、気候危機などの対応に充てることも求めている。 […] もっと読む。
【日本政府に核兵器禁止条約への参加・署名・批准を求める意見書決議】via 原水協通信
【日本政府に核兵器禁止条約への参加・署名・批准を求める意見書決議】北海道歌志内市議会の採択を確認して529自治体議会に 2021年1月28日 【基準】日本政府の禁止条約への署名、批准など、条約への参加を求めているもの※趣旨採択(13自治体)を含む。 【都道府県別リスト】NEW! ■北海道(58):赤平市議会、旭川市議会、芦別市議会、網走市議会、歌志内市議会、江別市議会、帯広市議会、北広島市議会、釧路市議会、苫小牧市議会、根室市議会、函館市議会、美唄市議会、富良野市議会、三笠市議会、室蘭市議会、夕張市議会、留萌市議会、足寄町議会、安平町議会、浦河町議会、江差町議会、置戸町議会、音更町議会、上川町議会、上士幌町議会、上砂川町議会、釧路町議会、黒松内町議会、鹿追町議会、標茶町議会、士幌町議会、清水町議会、斜里町議会、知内町議会、新得町議会、新ひだか町議会、豊浦町議会、長沼町議会、七飯町議会、仁木町議会、沼田町議会、東川町議会、日高町議会、美深町議会、広尾町議会、福島町議会、本別町議会、幕別町議会、松前町議会、南富良野町議会、むかわ町議会、芽室町議会、余市町議会、陸別町議会、赤井川村議会、更別村議会、占冠村議会 ■青森県(13):青森市議会、十和田市議会、大間町議会、五戸町議会、三戸町議会、七戸町議会、外ヶ浜町議会、東北町議会、南部町議会、平内町議会、佐井村議会、西目屋村議会、蓬田村議会 ■秋田県(22):大館市議会、男鹿市議会、潟上市議会、鹿角市議会、北秋田市議会、仙北市議会、大仙市議会、にかほ市議会、能代市議会、由利本荘市議会、井川町議会、羽後町議会、小坂町議会、五城目町議会、八峰町議会、八郎潟町議会、藤里町議会、三種町議会、美郷町議会、大潟村議会、上小阿仁村議会、東成瀬村議会 ■岩手県(34):岩手県議会、盛岡市議会、一関市議会、奥州市議会、大船渡市議会、釜石市議会、北上市議会、久慈市議会、滝沢市議会、遠野市議会、二戸市議会、八幡平市議会、花巻市議会、宮古市議会、陸前高田市議会、一戸町議会、岩泉町議会、岩手町議会、大槌町議会、金ヶ崎町議会、軽米町議会、葛巻町議会、雫石町議会、紫波町議会、住田町議会、西和賀町議会、平泉町議会、洋野町議会、矢巾町議会、山田町議会、九戸村議会、田野畑村議会、野田村議会、普代村議会 ■宮城県(17):角田市議会、気仙沼市議会、塩竈市議会、白石市議会、多賀城市議会、登米市議会、名取市議会、大郷町議会、蔵王町議会、色麻町議会、七ヶ浜町議会、柴田町議会、松島町議会、美里町議会、南三陸町議会、涌谷町議会、大衡村議会 ■山形県(20):山形市議会、寒河江市議会、酒田市議会、新庄市議会、天童市議会、南陽市議会、米沢市議会、大石田町議会、金山町議会、河北町議会、庄内町議会、西川町議会、舟形町議会、真室川町議会、三川町議会、最上町議会、山辺町議会、大蔵村議会、鮭川村議会、戸沢村議会 ■福島県(29):福島市議会、会津若松市議会、喜多方市議会、白河市議会、相馬市議会、伊達市議会、田村市議会(*趣旨採択)、南相馬市議会、会津美里町議会、浅川町議会、石川町議会、川俣町議会、国見町議会(*趣旨採択)、桑折町議会、下郷町議会、只見町議会、浪江町議会、西郷町議会、古殿町議会、南会津町議会、三春町議会、柳津町議会、泉崎村議会、大玉村議会(*趣旨採択)、北塩原村議会(*趣旨採択)、昭和村議会、天栄村議会、中島村議会、湯川村議会 ■茨城県(7):筑西市議会、つくばみらい市議会、土浦市議会、取手市議会、常陸大宮市議会、守谷市議会、大洗町議会 ■栃木県(1):日光市議会 ■群馬県(5):太田市議会、甘楽町議会、下仁田町議会、川場村議会、南牧村議会 ■東京都(10):清瀬市議会、国立市議会、小金井市議会、小平市議会、狛江市議会、調布市議会、八王子市議会、府中市議会、三鷹市議会、武蔵野市議会 ■埼玉県(14):上尾市議会、桶川市議会、春日部市議会、川口市議会、北本市議会、行田市議会、草加市議会、新座市議会、東松山市議会、富士見市議会、吉川市議会、伊奈町議会、杉戸町議会、宮代町議会 ■千葉県(3):我孫子市議会、勝浦市議会、鋸南町議会 ■神奈川県(6):相模原市議会、座間市議会、逗子市議会、南足柄市議会、大和市議会、葉山町議会 ■新潟県(25):新潟市議会、阿賀野市議会、糸魚川市議会、魚沼市議会、小千谷市議会、五泉市議会、佐渡市議会、三条市議会、新発田市議会、上越市議会、胎内市議会、燕市議会、十日町市議会、長岡市議会、南魚沼市議会、妙高市議会、村上市議会、阿賀町議会、聖篭町議会、田上町議会、津南町議会、湯沢町議会、粟島浦村議会、関川村議会、弥彦村議会 ■山梨県(3):北杜市議会、南アルプス市議会、市川三郷町議会 ■長野県(52):長野県議会、安曇野市議会、飯田市議会、飯山市議会、伊那市議会(*趣旨採択)、大町市議会、駒ヶ根市議会、小諸市議会、塩尻市議会、須坂市議会、茅野市議会、中野市議会、松本市議会、阿南町議会、飯綱町議会、池田町議会、小布施町議会、上松町議会、木曽町議会、小海町議会、坂城町議会、佐久穂町議会、下諏訪町議会、高森町議会、立科町議会、長和町議会、南木曽町議会、富士見町議会、箕輪町議会(*趣旨採択)、御代田町議会、青木村議会、阿智村議会、王滝村議会、大桑村議会、大鹿村議会、小谷村議会(*趣旨採択)、木島平村議会、木祖村議会、下條村議会、喬木村議会(*趣旨採択)、高山村議会、天龍村議会、豊丘村議会、中川村議会、野沢温泉村議会、白馬村議会、平谷村議会、松川町議会、南牧村議会、南箕輪村議会、宮田村議会、泰阜村議会 ■静岡県(4):御殿場市議会、藤枝市議会、三島市議会、焼津市議会 ■愛知県(6):犬山市議会、岩倉市議会、阿久比町議会、大口町議会、設楽町議会、飛島村議会 ■岐阜県(7):関市議会、多治見市議会、美濃市議会、池田町議会、神戸町議会、坂祝町議会、関ヶ原町議会 ■三重県(6):三重県議会、伊勢市議会、亀山市議会、鳥羽市議会、紀北町議会、菰野町議会 ■石川県(1):白山市議会 ■滋賀県(6):甲賀市議会、湖南市議会、愛荘町議会、甲良町議会、多賀町議会、豊郷町議会 ■京都府(7):綾部市議会、宇治市議会、亀岡市議会、木津川市議会、京田辺市議会、向日市議会、精華町議会 ■大阪府(7):和泉市議会、泉佐野市議会、摂津市議会、高石市議会、富田林市議会、河南町議会、忠岡町議会 ■奈良県(10):生駒市議会、香芝市議会、橿原市議会、斑鳩町議会、王寺町議会、大淀町議会、広陵町議会、三郷町議会、平群町議会、山添村議会 ■和歌山県(9):橋本市議会、有田川町議会、かつらぎ町議会、紀美野町議会、串本町議会、九度山町議会、日高町議会、日高川町議会、みなべ町議会 ■兵庫県(5):芦屋市議会、尼崎市議会、川西市議会、高砂市議会、播磨町議会 ■鳥取県(12):鳥取県議会(*趣旨採択)、倉吉市議会、境港市議会、岩美町議会、江府町議会(*趣旨採択)、琴浦町議会、智頭町議会(*趣旨採択)、南部町議会、日野町議会、北栄町議会、三朝町議会、湯梨浜町議会 ■島根県(4):雲南市議会、津和野町議会、美郷町議会、吉賀町議会 ■岡山県(18):赤磐市議会、井原市議会、倉敷市議会、瀬戸内市議会、総社市議会、高梁市議会(*趣旨採択)、新見市議会、備前市議会、真庭市議会、美作市議会、鏡野町議会、吉備中央町議会、久米南町議会、里庄町議会、勝央町議会、奈義町議会、早島町議会、美咲町議会、和気町議会、新庄村議会 ■広島県(17):広島市議会、安芸高田市議会、江田島市議会、尾道市議会、呉市議会、庄原市議会、廿日市市議会、東広島市議会、福山市議会、府中市議会、三次市議会、安芸太田町議会、海田町議会、北広島町議会、坂町議会、神石高原町議会、府中町議会 ■高知県(20):高知市議会、安芸市議会、香美市議会、香南市議会、四万十市議会、須崎市議会、土佐清水市議会、南国市議会、いの町議会、大月町議会、大豊町議会、佐川町議会、四万十町議会、東洋町議会、土佐町議会、仁淀川町議会、本山町議会、北川村議会、芸西村議会、日高村議会 ■愛媛県(4):四国中央市議会(*趣旨採択)、愛南町議会、上島町議会、砥部町議会 ■徳島県(11):阿南市議会、吉野川市議会、藍住町議会、石井町議会、板野町議会、勝浦町議会、北島町議会、つるぎ町議会、那賀町議会、東みよし町議会、牟岐町議会 ■香川県(2):宇多津町議会、三木町議会 ■福岡県(11):福岡市議会、飯塚市議会、糸島市議会、嘉麻市議会、中間市議会、直方市議会、粕屋町議会、苅田町議会、鞍手町議会、小竹町議会、久山町議会 … Continue reading
「核兵器禁止条約」発効 ~日本はなぜ条約に反対するのか~ 田井中雅人さん【The Burning Issues Vol.15】via デモクラシータイムズ
核兵器の開発から、製造、使用、保有」まですべてを禁止する「核兵器禁止条約」が1月22日に発効します。核兵器廃絶への大きな力となる国際条約です。核保有国は批准していませんが、今後、核兵器を巡る議論に大きな影響を与えることは間違いありません。唯一の戦争被爆国日本は、議論の段階から終始背を向けてきましたが、このままでは世界の潮流に取り残されます。発効までのプロセスから見えるのは、核の汚染による環境破壊にもつながる危機感です。核禁条約を通して核の時代を考えるヒントが詰まった話が展開されています。 収録は2021年1月18日
核兵器禁止条約にオブザーバー参加すべきだ 日本に課せられた役割 via 毎日新聞
山口那津男・公明党代表 核兵器禁止条約が50カ国の批准によって来年1月22日に発効することになった。核廃絶に向けて核兵器の製造、保有等を違法とする国際規範が誕生することになり、画期的なことである。日本が国是として掲げる非核三原則「作らず」「持たず」「持ち込ませず」の精神と相通ずるものであり、核兵器廃絶に向けてこの条約をどう生かしていくか、考えていかなければならない。 ただ、日本の政府は核兵器禁止条約を批准していない。政府は、日米安保条約の下で安全保障を米国の核の抑止力に依存する立場であり、国連の非核化決議を受けても核保有にこだわる北朝鮮の隣国であるという現実があるからだ。 唯一の戦争被爆国であり、核兵器廃絶を訴えている日本が条約を批准しないことに対し、国際的に疑問や批判の声があがるのは無理もない。特に被爆者の方々は、この条約の推進に力を注いできた。条約が核兵器を禁止する根拠は、核兵器を用いることによって、あまりにも非人道的な被害がもたらされてしまうことだ。広島、長崎両市、そして被爆者の方々はその悲惨な結果を経験し、訴え、多くの国々を動かしてきたのは事実であり、政府としてもその声は尊重すべきだろう。 核保有国と非保有国との橋渡し しかし、核兵器禁止条約を締結する過程で核保有国と非保有国の対立は深刻になった。核保有国は、核拡散防止条約(NPT)で保有が認められているうえ、現実の安全保障の面からも核兵器禁止条約に反発している。核兵器はいきなりゼロにはならない。廃絶するためには核軍縮のプロセスが不可欠だ。核保有国の理解と取り組みがない限り、このプロセスはたどれない。核の傘に守られる一方で核兵器廃絶を目指す日本は、対話を通じて核保有国と非保有国の間の橋渡しをし、共通の理解を形成したうえで、着実な核軍縮を進めるリード役が期待されている。条約を批准しない政府を批判することに止まっていては、非保有国と核保有国の溝を放置したままとなって、核廃絶への道が遠のいてしまう。 日本が唯一の戦争被爆国であり、実際に被爆した場所があり、遺構も残り、今もなお被爆によって苦しめられている人々がいる。この日本の立場は歴史的に極めて重要であり、国際社会でも非人道的な兵器の廃絶のためのかけがえのない役割を担っている。その立ち位置を捨てるようなことは絶対にしてはならない。これまでも政府は、各国の国連常駐代表(国連大使)を広島、長崎両市に招き、被爆の実相を伝える活動などをしてきた。 この地道な活動は、国連の舞台で禁止条約を作るべきだという多数派が形成された一助になっている。また、核保有国、非保有国、中立それぞれの立場の国の有識者を集めた「賢人会議」を主催し、対話の道を開いてきた。その議論の成果をNPTの運用検討会議に反映させようともしている。国連では日本が提出した核兵器廃絶決議が核保有国の米英などを含む139カ国の支持を得て総会で採択されている。 (略) 締約国会議の広島、長崎への誘致を これまでの活動を一歩進めるためにも、日本は核兵器禁止条約の締約国と核保有国との対話を促す役目を担うべきではないか。そのためには、条約の発効後に開かれる締約国会議にオブザーバー参加したほうがよい。締約国の立場、主張を聞き、その動きを見守りながら、核保有国につないでいく。また、核保有国の主張を締約国に伝え、核軍縮が進む現実的な道筋を探る。政府は安全保障環境から批准できないが、政府には「核廃絶」のゴールを共有する条約の賛同者とともにその理念を広げる国際的な役割があるはずだ。 さらに我々公明党は締約国会議の広島、長崎両市への誘致を提案している。核兵器廃絶に向けた国際規範を被爆地から発信する――両市ほど締約国会議にふさわしい場所はない。日本政府も、締約国会議の内容が分からないうちは対応のしようがないかもしれないが、核兵器廃絶を訴え続けている被爆者や被爆都市の誘致への動きがあれば応援し、主役である締約国の合意ができるよう名プロデューサーの労をとってもらいたい。 全文は核兵器禁止条約にオブザーバー参加すべきだ 日本に課せられた役割
川野浩一さん 被爆者の思い 裏切られても旗を振る via 毎日新聞
核兵器の保有や使用を禁止する核兵器禁止条約の批准国・地域が50に達した10月24日、その輪の中に日本はいなかった。記録報道「2020ヒバクシャ」の9回目は「長崎を最後の被爆地に」と願えばこそ、政府にも厳しい言葉を投げかける被爆者運動のリーダーに焦点を当てる。 「ほっとしたが、今日は核兵器なき世界への第一歩。安心しちゃいかん」。10月25日、秋晴れの平和祈念像前(長崎市)。被爆者の全国組織「原水爆禁止日本国民会議(原水禁)」議長の川野浩一さん(80)=長崎県長与町=は、核兵器禁止条約の批准国・地域が50になって2021年1月の発効が決まっても心からは喜べなかった。 長崎の被爆者5団体の一つ「長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会」の議長として、全ての国に条約への賛同を求める「ヒバクシャ国際署名」に他の4団体と共に携わってきた。活動を始めて4年余り。条約は核保有などを全面的に禁止する初の国際法として効力を持つことになったが、米国の「核の傘」の下にいる日本は条約に背を向けている。 条約は今後、どこまで日本や核保有国を巻き込んでいけるかが焦点になる。「私たちの声が政府に届いていないことはないと思う。でも無視されている」と唇をかむ。この間、そろって声を上げてきた被爆者団体のトップは相次いで鬼籍に入った。「4人の遺志を継がなければ。我々、被爆者の役目は終わっていない」【今野悠貴】 首相に異例の直言 「あなたはどこの国の総理ですか」。異例の問いかけだった。長崎市への原爆投下から72年の2017年8月9日。平和祈念式典に参列するため長崎を訪れた安倍晋三首相(当時)と被爆者5団体の面談の場で、川野浩一さんは首相の目をじっと見つめ、声を震わせた。 例年は被爆者援護策などをまとめた要望書を首相に静かに手渡すだけだが、この年は怒りを抑えられずに言葉が口をついて出た。「被爆者の願いがようやく実って核兵器禁止条約ができた。私たちは心から喜んでいます。あなたは私たちを見捨てるのですか」 この1カ月前、米ニューヨークの国連本部で核兵器の保有や使用を禁止する核兵器禁止条約が採択されていた。「日本を最後の被爆国に」と条約成立を待ち望んでいた川野さんら被爆者は歓喜したが、米国の「核の傘」に依存している日本は他の核保有国とともに条約に反対し、制定交渉にも加わらなかった。 (略) 被爆者の思いはこれまでも度々裏切られていた。歴代政権は「核を持たず、つくらず、持ち込ませず」という「非核三原則」を掲げる一方で米国などが持つ核による「核抑止力」を肯定する発言も繰り返してきた。米国、英国、ロシア、フランス、中国の5カ国以外の核兵器保有を禁じる核拡散防止条約(NPT)にこそ加盟しているものの、13年4月に「いかなる状況下でも核兵器が再び使用されないことが人類生存のためになる」と訴えた「核兵器の人道的影響に関する共同声明」には加わらなかった。 日本政府が核兵器禁止条約に反対したのは決定的だった。NPTと異なり全ての国の核保有を認めない国際条約の制定は被爆地の宿願で、国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)などが展開した「ヒバクシャ国際署名」に長崎県内の被爆者5団体も参画。川野さんも自ら街頭で条約の早期制定を訴えた。晴れて17年7月、条約は採択されたが、日本は「核保有国と非保有国の『橋渡し役』を務める」としてその輪に加わらなかった。 首相への発言が報じられると、川野さんが議長を務める被爆者団体「長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会(被爆連)」には「首相に失礼だ」と批判の電話が相次いだ。ネット上には「あいつは何様だ」と心ない言葉が並んだ。しかし、意思は揺るがない。「いつも通り『よろしくお願いします』と頭を下げるだけでは駄目だ。被爆者としての使命感からだった」 原爆は直接的な死ばかりではなく、生き残った人たちにも差別や後遺症などあらゆる災禍をもたらした。それを目の当たりにしてきたからこそ川野さんは使命感に駆られる。 差別知り運動傾注 被爆したのは5歳の時。爆心地から3・1キロの長崎市本紙屋町(現麴屋(こうじや)町)の自宅前で15メートルほど吹き飛ばされた。その瞬間の記憶はない。幸い大きなけがはなかったが、避難した山上から見た長崎の街は炎に包まれていた。8月15日に戦争が終わってからも近くの空き地では遺体が焼かれていた。あのにおいは今も鼻について離れない。 地元の高校を卒業し、21歳で県庁に入った。組合活動に傾注するうち、職場に体調不良で悩む同僚が大勢いることに気づいた。20代の職員が白血病で亡くなった際は原爆の影響を疑い、組合報に投稿して世に訴えようと考えた。しかし、職員には妹がいた。職員の母親は川野さんに懇願した。「娘の縁談が破談になる。やめてください」 原爆による症状が感染するなどと誤った認識が広がっていた時代。被爆者らは差別を恐れて被爆の事実をひた隠しにしなければならなかった。川野さんの妹も両親に「被爆者手帳は人に見せるな」と言いつけられていた。「被害を受けた側なのに後ろ指をさされて、おびえて生きなければならないなんて」。不条理に対する憤りから1975年、現在の被爆連設立に携わり、被爆者運動の中心的存在になっていった。 信条超えて5者団結 長崎県には川野さんの被爆連の他、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の県組織「長崎原爆被災者協議会(被災協)」▽「長崎県被爆者手帳友の会」▽「長崎県被爆者手帳友愛会」▽「長崎原爆遺族会」――の4団体がある。運動方針や党派性の違いから長年、横のつながりはほとんどなかったが、風穴を開けたのが2003年に被爆連議長に就いた川野さんらだった。 きっかけは04年に成立した国民保護法だった。外敵からの武力攻撃に備えて住民の避難や救援について定める法律で、核攻撃も想定されていた。しかし、政府が自治体などに示した避難の指針を見て川野さんらは怒り、あきれた。「避難の際は風下を避け、手袋、帽子、雨がっぱなどで外部被ばくを抑制する」。目を疑った。「冗談じゃない。原爆を落とされたら逃げる暇はない。原爆の威力を軽んじている」 (略) 5団体はそろって声を上げた。14年、長崎市は「被爆都市長崎は、核兵器による攻撃から市民を守れないことを身をもって体験しており、核兵器の廃絶こそが市民を守る方法と強く認識している」とし、核攻撃を受けた際の対応を定めない異例の国民保護計画を策定。それ以降も5団体は足並みをそろえた。 そして16年9月、5団体が呼びかけ人になって「『ヒバクシャ国際署名』をすすめる長崎県民の会」を結成。核兵器禁止条約の早期制定、早期発効を目指して会としての目標を50万筆とし、今秋、4年かけて達成した。条約は今年10月24日、発効に必要な批准50カ国・地域に達し、21年1月の発効が決まった。しかし日本や核保有国は依然、条約に背を向けたままだ。 (略) かわの・こういち 現在の北朝鮮生まれ。原水爆禁止日本国民会議の4代目議長。元長崎県職員で、連合長崎会長を務めるなど組合運動でも中心的役割を担った。被爆者と認められない「被爆体験者」の訴訟を支援し、北朝鮮の在外被爆者にも被爆者健康手帳を交付するよう訴える。 全文は川野浩一さん 被爆者の思い 裏切られても旗を振る
「核なき世界」実現に向け法律家、科学者団体、日本政府に核兵器禁止条約への参加を迫る via 東京新聞
「核なき世界」の実現に向け、日本が主導権を取るべきだ―。核兵器禁止条約の来年1月の発効が決まったことを受け、被爆者だけでなく、科学者や法律家、教育団体など幅広い分野の団体が声明などを発表。条約に反対する日本政府に政策の転換を迫っている。(柚木まり) 日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は条約発効が決まった10月25日、早速「人類史上銘記される日」として歓迎の声明を発表。日本政府に「核なき世界の実現の先頭に立つことを改めて要請する」と、条約の署名・批准を求めた。 2020年を核廃絶の期限と定めて活動してきた世界の約8000都市でつくる平和首長会議も同日、国連加盟国などに送った書簡の内容を公表。「核兵器は絶対悪」とし、日本を含む条約に反対する国々に方針転換を求めた。 (略) 日本弁護士連合会は、荒中会長名の声明を発表。憲法九条を守る立場を打ち出した上で、条約締約国が開く会議に、日本もオブザーバー参加するよう求めた。 核廃絶と非戦を掲げる科学者らでつくる日本パグウォッシュ会議は、条約に記された被爆者支援などで日本が主体的な役割を果たすよう声明で主張した。代表で広島大の稲垣知宏教授(物理学)は「日本政府は、唯一の戦争被爆国として被爆者援護の知見を生かし、国際社会で果たせる役割があるはずだ」と訴える。 親や教員らでつくる日本子どもを守る会(東京都豊島区)は「政府は条約に背を向けている」と抗議。細沼淑子事務局長は「子どもたちを二度と戦争に行かせるようなことはしないと活動を続けてきた。今こそ、声明を出さなければと思った」と語る。 全文は「核なき世界」実現に向け法律家、科学者団体、日本政府に核兵器禁止条約への参加を迫る
締約国会議、国は参加を 核禁条約、広島市長要請へ via 中国新聞
広島市の松井一実市長は6日、来年1月22日に発効する核兵器禁止条約への署名、批准を日本政府が否定したのを受け「発効は大きな転換点であり新たなステージ。条約の実効性を高める締約国会議への参加を求めていく」と述べた。あらためて未批准国も可能なオブザーバー参加などを国に要請する考えを示した。 (略) 松井市長はこの日の記者会見で「核兵器は要らないとの市民社会の声が世界の潮流となった。その潮流をしっかりと見極めてほしい」と強調した。 全文は締約国会議、国は参加を 核禁条約、広島市長要請へ
核兵器禁止条約に背を向ける日本 課題なおvia中国新聞(Yahoo!ニュース)
[…] 核兵器禁止条約は2017年7月、国連の交渉会議で核兵器の非保有国122カ国・地域の賛成で採択された。国連に加盟する国や地域の約3分の2が、歴史上で初めて核兵器を全面的に違法化する条約に賛同した形だ。非保有国に禁止条約を支持する動きが広がる背景には、保有国による核軍縮が遅々として進まない現状へのいらだちがある。 核兵器 今も1万3400発 主な批准国・地域と核兵器保有国、依存国 現在、核兵器を保有しているのは米国、ロシアを筆頭に9カ国。ストックホルム国際平和研究所の調べでは、世界には今も計1万3400発の核兵器がある。米ソ冷戦時代の最大約7万発に比べれば減ったとはいえ、今なお膨大な数だ。 核軍縮を前進させるための枠組みの一つが、1970年に発効し、現在は約190カ国が参加する核拡散防止条約(NPT)だ。米ロなど条約に加わる保有5カ国は、条文や過去の合意文書により核軍縮の義務を負う。しかし、米国は小型核の開発や配備、古くなった装備の更新などに多額の予算を投じ、ロシアや中国と新たな核軍拡競争の様相すら呈している。 被爆者 条約採択を後押し こうした状況の中、赤十字国際委員会(ICRC)は2010年、核兵器のいかなる使用も人道に反するとの総裁声明を発表。その後も核兵器の非人道性をテーマにした国際会議や共同声明などの動きが広がり、17年の禁止条約採択につながった。核兵器廃絶を訴え続けてきた被爆者の存在や、非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN=アイキャン)の精力的なロビー活動も後押しした。 禁止条約の発効は、核兵器の保有を含むあらゆる活動を正式に違法化することを意味する。締約国を除けば条約には縛られないが、条約に加わらない国に対しても、使用や核抑止に頼ることをためらわせる圧力になると期待されている。 それだけに保有国や、その核戦力に頼る日本など同盟国の反対は根強い。「既存のNPT体制を弱体化させる」「保有国と非保有国の分断をさらに深める」などと反発。米国は近づく条約発効を無視することはできず、複数の批准国に対し「批准は戦略的な誤りだ」として、取り下げを求める書簡を送っている。 批准した50カ国・地域の多くは小国で、国内総生産(GDP)を全て足しても世界の10%に満たない。一方、NPT参加の保有5カ国だけで世界のGDPの半分近くを占め、経済力の差は歴然としている。持てる側からの「圧力」は重荷となり得る。 「唯一の被爆国」問われる姿勢 そこで問われるのが、世界3位の経済規模を持つ日本の姿勢だ。「唯一の被爆国」を掲げ、道義的な発信力への期待も大きい。しかし現実には、禁止条約の交渉会議には参加せず、保有国と非保有国の「橋渡し」役を果たすとしながら、米国の核抑止力を重視する姿勢を鮮明にしている。 ICAN国際運営委員の川崎哲さん(51)は「条約発効は核兵器の時代の終わりの始まりだ。そこで被爆国の日本が核兵器の正当性を訴えるのは許されない」と問う。発効から1年以内に開かれる締約国会議には、保有国や未締約国もオブザーバーとして参加できる。被爆地の市民として日本政府の行動をあらためて注視しなければならない。 全文