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自民・麻生氏「原発で死亡事故ゼロ」発言、官房長官は「起きている」 via 朝日新聞
講演する自民党の麻生太郎副総裁=2023年1月15日、福岡県飯塚市 [PR] 自民党の麻生太郎副総裁は15日、福岡県飯塚市であった自身の後援会の会合で、エネルギー問題をめぐり原発のメリットに触れるなかで、「原発は危ないと言うけれど、原子力発電所で死亡事故が起きた例がどれくらいあるのか調べてみたが、ゼロだ」と述べた。一方、松野博一官房長官は17日の記者会見で、原発で死亡事故が起きていると説明し、「痛ましい事故が発生しないよう事業者を指導していきたい」とした。 原発では2004年に関西電力美浜原発(福井県)3号機で配管が破損して作業員5人が死亡する蒸気噴出事故が発生。原子力関連施設では1999年、茨城県東海村の核燃料加工会社「JCO」東海事業所の臨界事故で、作業中の2人が死亡している。 麻生氏は講演で「今最も安く、安全な供給源としては原子力」「原子力と原子爆弾の区別がついていない人もいる」などと主張。将来的に電気自動車(EV)が広く普及した場合などは「電気料金は、原発が使えないなら決定的に上がる」と強調した。 […] 原発事故による死者をめぐっては、高市早苗政調会長(現・経済安保相)が2013年に神戸市内であった党の会合で「事故を起こした東京電力福島第一原発を含めて、事故によって死亡者が出ている状況ではない」と述べ、原発再稼働をめざす考えを示した。ただ、福島第一原発事故では多くの避難者や避難に伴う関連死が出た。地元から批判が噴出し、高市氏は後に発言を撤回し謝罪した。 全文
「若い子は精子もだめになっちゃいますよ」 原発潜入記者が見た、被ばく量ごまかしの“カラクリ” via 文春オンライン
30年近くヤクザを取材してきたジャーナリストの鈴木智彦氏は、あるとき原発と暴力団には接点があることを知る。そして2011年3月11日、東日本大震災が発生し、鈴木氏は福島第一原発(1F)に潜入取材することを決めた。7月中旬、1F勤務した様子を『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)より、一部を転載する。(全2回の2回目/前編を読む) ◆◆◆ 除染しない車両 (略) 「メーカーの社員や現場監督なら誰でも知ってる。現実的に……作業員はJヴィレッジから出てこれないんです。汚染がひどくて。車もJヴィレッジから出しちゃいけない。一度中に入れたものをそのまま素通りして出すとかって、考えられない。だから今までの値の感覚がみんなおかしくなっちゃってる。流れ作業でスクリーニングして、はいオッケー。みんな汚染してます。かなり。たとえば現場に行くとき履いた靴はもう駄目なんです。毎日新品に履き替えるわけにはいかないけど、自分はサーベイ持ってたんで、1カ月で10足は靴を替えました」(震災当日から復旧に当たっている地元の協力企業社員) 彼が憤慨しているのは、Jヴィレッジでの車両除染についてだった。 建前上、20キロ圏内に入った車両は汚染を計測し、ひどく汚れている場合は敷地内で除染を行うよう決められている。だが、私自身、20キロ圏内に放置されていたトラックが、そのまま外部に出てくる様子を数回目撃している。そのうちの1台は、私自身が引き上げ作業に関わった。 (略) 除染しても「無駄だから」 〈あんな場所に長期間停めっぱなしだったから除染するだろう。どのくらいの時間がかかるか測ろう〉 鞄にしまってあったデジタル腕時計を取り出し、ストップウォッチで計測した。1本目のタバコを吸い終わらないうちに、そのユニックはIHIの駐車場に到着した。 「なんもしないんですか?」 「無駄だから」 もう1台の車両を引き上げにいった班は、正規の除染作業を行っていた。除染は事前予約制になっており、それを無視出来なかったのだ。30分ほど待たされたが、上会社の社員はたいそうご立腹の様子で「なんでいちいち除染してくんのよ!」と、下請け作業員を怒鳴りつけていた。こうした風景は単なる例外……モラルの低い社員がごく少数存在しているだけと勘違いしていたが、1Fの復旧では日常的な慣習だったのだ。 「除染……やったところでやりきれないってことはあるんです。いま、各地で除染が叫ばれるようになって、保育園とか小学校など、いろんな場所で始まりましたけど、基本的に土壌の除染は表面付近の土を取り除き、汚染されてない土と入れ替える。家なんかは高圧の水で洗う。でも、洗ったあとの水はどうしてるんですか。テレビとかニュースでみるとただ流してるようにしかみえない。だったら今度は土が汚染し、川が汚染し、海が汚染する。完全な除染なんて無理なんです。ゴムなんか絶対除染できない。放射性物質を取り込んで、放射化しちゃうからです。木材なんかもそう。目に見えない穴に入り込んじゃう。それを表に出そうと思ったら、表面を削り取らなきゃいけない。今頃ようやくそれをやり始めた。 電力はばれたら困ると思ってるのか……半減期を過ぎて、ある程度落ち着いたタイミングでやってるのか分かりません。ほんと、なにをやってんのかな、って言いたいんですけど、(東電からは)それで出してくれと言われる。現実問題として、人や車を出さないと復旧作業が進まない。それは理解もできるけど……。 (略) 「本当の放管……ほとんどいませんよ。あいつら、放射能のプロですよ。あの汚染をみたら、とてもじゃないけど敷地内には入れない。たいてい、にわか知識のヤツを集めて、がんばってって送り出すんです。マニュアルしかわかんないのをぽんぽん送っているわけです。ほとんど知識のない人間を一時的に教育して、放管にしちゃう。純粋な……っていったらおかしいかもしれないけど、そんな人はほとんどいない。最初の頃は行ったかもしれないですね。でもいまは来ない。行ってない。怖さが分かるから行けないんです。あいつら勉強してますもん、けっこうどころじゃない。真剣に怖がってます。 一口に被曝っていうけど……免震棟でAPDもらいますよね。あれ、β線とγ線を測れます。でも放射線ってその2つだけじゃない。中性子やα線とか、出てるんですよ。α線は短い距離しか飛ばないし、紙一枚で遮れるっていうけど、股間あたりまでは出てるんですね。そんな場所で地べたに寝転んで何時間も作業するんですよ。若い子とかは精子もだめになっちゃいますよ。放管が最初に現場に行って、放射線測定するんです。でも素人みたいなのが多いから、うちの現場には、もう一回放管呼んできて放射能を測らせる。するとすごい数字が出るんです。 (略) 事故前、1Fでは最大130カウントから180カウントが汚染のリミットだったという。それ以上汚染したものはすべて、敷地内から出せなかったのだ。幅があるのはオートメーション測定器と、手作業での測定との誤差を考慮したためだという。 「事故が起きてから、これまでの基準が一瞬で変わった。一般人の年間線量限度が1ミリから20ミリに引き上げられそうなことは盛んに報道され大議論になったのに、除染の目安が突然引き上げられたことを、なぜ誰も問題にしないのか。IAEAの定める10万カウント……自分たちからみたらあり得ない数値です。これを受け入れるなら、これまで自分たちが守ってきた基準はなんだったのか……どうしても許容できない。 長い間原発で働いていた業者にとっては、500カウントだって完全アウトなのに、Jヴィレッジではつい最近まで、1万3000カウントを超えない限り、モノも人も、そのまま出していた。130カウントを基準にすれば100倍です。除染しきれなかった場合、最終的には10万カウントだったから、750倍以上です。そんな車が平気で街を走ってるんです。狂ってます」 全文は「若い子は精子もだめになっちゃいますよ」 原発潜入記者が見た、被ばく量ごまかしの“カラクリ”
常磐線再開「内部被ばくの危険性」 動労水戸、試運転で抗議声明 via 東京新聞
JR東日本の社員で組織する労働組合「動労水戸」(石井真一委員長)は二十日、東京電力福島原発事故の影響で不通となっているJR常磐線富岡(福島県富岡町)-浪江(浪江町)間で十八日から三日間実施された試運転について「放射性物質を大量に拡散するものであり、到底認めることのできない暴挙」との抗議声明を発表した。 (略) 抗議声明では「除染したのは鉄道用地内だけであり、除染後も高線量の所がある」と指摘した上で、「乗客も乗務員も内部被ばくの危険性がある」と全線再開に重ねて反対した。 動労水戸の抗議に対し、JR東日本水戸支社の雨宮慎吾支社長は二十日の定例会見で「除染は当社の敷地内ではかなりやっており、放射線量は確実に下がっている。社員の健康はしっかり見ている」と反論した。 (佐藤圭、水谷エリナ) 全文は常磐線再開「内部被ばくの危険性」 動労水戸、試運転で抗議声明 当サイト既出関連記事:避難解除、双葉3月4日、大熊5日〜帰還困難区域の一部via OurPlanet-TV
【子ども脱被ばく裁判】「情報無く、被曝させられた。悔しい」。原告本人尋問がスタート。今野団長の怒り「酷い土壌汚染続く家に子どもと帰れるわけが無い」~第21回口頭弁論 via Blogos
鈴木博喜 (「民の声新聞」発行人) 福島県内の子どもたちが安全な地域で教育を受ける権利の確認を求め、原発の爆発事故後、国や福島県などの無策によって無用な被曝を強いられたことへの損害賠償を求める「子ども脱被ばく裁判」の第21回口頭弁論が1日、福島県福島市の福島地裁203号法廷で開かれた。原告団長の今野寿美雄さん(55)に対する本人尋問が行われたほか、2人の専門家証人に対する原告側の主尋問が行われた。次回期日は11月13日。原告1人に対する本人尋問と、郷地秀夫証人に対する反対尋問が予定されている。河野益近証人の反対尋問は12月19日の予定。 (略) 原発作業員として、福島第一、第二をはじめ、全国の原子力発電所で自動制御の計測器を取り付けたり検査したりする仕事をしていた。高校を卒業後、その仕事を長く続けており、2011年3月当時は女川原発(宮城県牡鹿郡女川町)で働いていた。 原発事故で放出された放射性物質の影響で女川原発周辺も空間線量が10μSv/hを大きく上回り、外出禁止になった。原発内に3000人近い作業員が〝缶詰め〟状態になった。辛うじてBS放送を観る事が出来、NHKのニュースを観ていた。「どこかの配管が破断して水漏れを起こしているんだろう」。誰ともなく、そんな話になった。「浪江は大変な事になっているだろうな」。今野さんは、連絡の取れぬ家族の身を案じていた。 「子どもに被曝させるような事があれば、それは虐待と同じですから。避難させたいと思うのは親として当然です」。 津波被害で通れなくなっていた道路が復旧しても、外出禁止は解けなかった。時間だけが過ぎていく。3月15日。我慢の限界だった。 「自己責任で構わない。家族の元に行かせてくれ」 7人の仲間と共に、計8人で1台の車で郡山駅を目指した。途中、石巻市付近で携帯電話がつながり、妻子が茨城県古河市の親類宅に身を寄せている事を知った。郡山駅で仲間と別れ、タクシーで古河駅に向かった。妻と息子の無事を確認した時、時計の針は20時を廻っていた。「原発避難」という名の親子3人での流浪が始まった。 【ベントもSPEEDIも隠され、津島へ】 巨大地震の翌日、2011年3月12日に福島第一原発1号機では「ベント」と呼ばれる放射性物質を含む水蒸気を外部に放出する作業が実施されている。今野さんはこれを「知らなかった」と語り、「もし、その時点で家族と連絡が取れていたら、『とにかく遠くへ逃げろ』、『安定ヨウ素剤を飲ませてもらえ』と伝えていたでしょう。ベントをするのであれば、住民に安定ヨウ素剤を服用させ、避難をさせてから実施するべきでした。しかし、現実には住民を被曝させてしまった」と述べた。 (略) ちなみに、二本松市役所東和支所に設置されたモニタリングポストでは、2011年3月18日13時59分に4・93μSv/hが計測されている。3月25日は2・18μSv/h、3月31日は1・64μSv/hだった。「あの後2年間くらい、鼻血が出るようになりました。東和地区で車中泊をしていた時に吸い込んだのだろうと思います」。当時、今野さんは線量計を持っていなかったという。 4月になり、家族で猪苗代町内の温泉宿に移動。9月には福島市内に住まいを確保した。その間、息子が茨城県東海村でホールボディカウンター(WBC)による内部被曝検査を受けたが、測定下限値が500Bq/kgで驚いたという。「500Bq/kgなんて、ありえない。そんな測定に意味が無いと思いました。もちろん、息子は『不検出』でした。500Bq/kgも検出されたら大変です」。 【「4万Bq/kg超の場所には帰れない」】 反対尋問では、国の代理人が「なぜ避難指示が解除されたのに戻らないのか」という点を、遠回しな表現ながら盛んに質した。 「(今野さんの避難元は)2017年3月31日に避難指示(居住制限区域)が解除されています。当時の住まいに戻るとすれば、昨年4月に開校した『なみえ創成中学校』に通う事になると思います。なみえ創成中学校に設置されたモニタリングポストの測定結果は現在、約0・08μSv/hである事はご存じですか?」 (略) 京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻の元教務職員・河野益近さんが昨年、避難元自宅周辺の土壌を調べたところ、放射性セシウムの合算で4万2520Bq/kgもの汚染が確認されたのだ。今野さんは法廷で「(1平方メートルあたり)250万ベクレル」と何度か口にしたが、それは換算値。河野さんは「単純換算は出来ないが、イメージとして、そのくらい酷い汚染なんだという意味で受け止めて欲しい」と語る。 ちなみに、河野さんは福島県外の国道でも土を調べているが、8000Bq/kgすら超える結果は出なかった。それだけでも、4万Bq/kgを超える汚染の酷さが良く分かる。 (略) 「除染しても自宅周辺にそれだけの汚染が存在するんです。子どもを病気にしてしまいます。だから帰れないのです」 全文は【子ども脱被ばく裁判】「情報無く、被曝させられた。悔しい」。原告本人尋問がスタート。今野団長の怒り「酷い土壌汚染続く家に子どもと帰れるわけが無い」~第21回口頭弁論
実録「ラジエーションハウス」ドラマ以上に壮絶な医療現場の実態via FNN Prime
ドラマで話題の「ラジエーションハウス」そのリアルとは 月曜9時に放送していたドラマ「ラジエーションハウス」。ラジエーションとは放射線を意味し、ハウスが付くことで放射線科となる。これまで注目されることのなかった『放射線技師』を主人公としたことで注目が高まっている。しかしドラマの中ではなく、実際の現場を知っている人は少ないのではないだろう。では「ラジエーションハウス」の現場はどうなっているのか。 今回取材するのは米子市の鳥取大学医学部附属病院の「ラジエーションハウス」だ。CT・MRIで患者を撮影するのが ドラマの主人公になっている「放射線技師」。 […] 多忙の原因は成り手の少なさ こうした現状に鳥取大学医学付属病院放射線部長は 鳥取大学医学付属病院放射線部藤井進也 部長:放射線科を目指す学生の数は少ないのが現状です。日本全体の放射線科医の数も少ないし、 山陰地方も十分ではないです。 日本は画像を撮影するCTやMRI保有台数は世界1位だ。しかし、人口に占める放射線科医の人数はアメリカの4分の1であるため医師ひとりに大きな負担がかかっているのが実情である。 […] 多忙を極める放射線科に密着 今回そんな多忙を極める放射線医師と放射線技師に密着した。午前9時からIVRの手術だ。『放射線技師』の仕事は撮影するだけではない。IVRとは画像を見ながら体内に細い管・カテーテルを挿入する治療で体への負荷が小さい最新医療だ。鳥取大学では年間約1000件をこなし全国でも有数の医療実績を誇っている。 […] 画像と全文
福島の汚染土再利用 住民の反対根強く 国・東電に負担軽減の思惑 via 日本経済新聞
東京電力福島第1原子力発電所事故で出た汚染土壌の処分計画がつまずいている。国は昨年末、汚染土を除染して長期間保管した後でほぼ全量を再利用する方針を打ち出したが、住民の反発で思うように進まない。計画にこだわる背景には処分費用を抑えて国や東電の負担を減らす思惑が垣間見える。 (略) 福島第1原発事故ではセシウムなどの放射性物質が大量に放出され、汚染が広がった。国は汚染土を集める除染を進め、放射線量を毎時0.23マイクロ(マイクロは100万分の1)シーベルト未満まで下げ、住民を帰還する計画をまとめた。 汚染土壌の総量は1300万立方メートル。除染作業は7市町村に残る帰還困難区域を除き18年3月で終え、福島県内の10万5千カ所に仮置きする。国は12年7月に閣議決定した「福島復興再生基本方針」で福島第1原発近隣(同県大熊町・双葉町)の中間貯蔵施設で長期間保管し、貯蔵開始から30年以内に福島県外で最終処分する計画を立てた。 ただ1300万立方メートルもの土壌を集約した後、再び県外の別の場所に運ぶのは現実的ではなく候補地のあてもない。国の検討会で座長を務める東京農工大学の細見正明名誉教授は「再利用で量を減らさないことには最終処分は到底できない」と指摘する。こうした専門家の意見を踏まえ、国は汚染土を最大99%再利用する方針に踏み切った。再利用は放射線量が1キログラム当たり8千ベクレル以下まで下がった汚染土。農地や公園などの造成、高速道路や防潮堤の公共工事に利用を見込む。環境省は再利用で、最終処分する汚染土の量が最大99%削減できるとしている。 17年3月に住民の避難指示が解除された同県飯舘村では再利用が始まった。低地を汚染土で埋め立てバイオマス燃料の原料作物を栽培する。原子力規制委員会の初代委員長を務めた田中俊一氏は同村に移住。汚染土を再利用した場所で放射線量を調べ安全性の確認を続ける。田中氏は「科学的に見れば食用作物を育てても問題はない。(収益面を考慮して)住民の要望もある」と話す。 (略) 同県二本松市でも約200メートルの市道整備で汚染土を活用する計画を市議会で説明したが、反発が相次いだ。住民の反対署名運動まで広がり計画の中止を余儀なくされた。 なぜ国は住民の反対が強いにもかかわらず汚染土の再利用を進めるのか。除染費用を抑えて東電などの負担を減らす意図が見え隠れする。 政府は16年12月、福島第1原発の処理にかかる費用が約21.5兆円に達するとした。これは原子炉の廃炉や住民などの賠償も含むが、中間貯蔵建設も入れた除染費用は5.6兆円にのぼる。当初は3.6兆円だったが、すでに2兆円膨らんだ。除染費用は事故後に購入した東電株の売却などで充てる計画だったが、それでは足りず中間貯蔵施設の費用では税金の投入も決まった。これ以上、除染費用を膨らませたくないというのが国の本音だ。最終処分地を新たに作れば莫大なコストがかかる。再利用できれば費用が大幅に減る。 長崎大学の鈴木達治郎教授は「国民負担は不可避となっており、政府は費用の内訳や見通しを説明し、透明性を確保すべきだ」と語る。 (安倍大資) 全文は福島の汚染土再利用 住民の反対根強く 国・東電に負担軽減の思惑
【原発最前線】福島第1原発ルポ(下)敷地覆う処理水のタンク群 via The Sankei News
事故から8年を前に公開された東京電力福島第1原発。構内を歩いていて事故炉をしのぐほどに目を引いたのが、汚染水を浄化処理した後の水を貯蔵した円筒形のタンク群だ。処理水の処分方法については結論が出るめどすら立っておらず、今後の廃炉に必要な作業スペースの確保に影響を与えかねない状況が続いている。一方、事故を免れながらも昨年6月に「廃炉検討」が表明された第2原発も訪問した。すでに各号機とも核燃料は取り出し済みで安定状態にあるが、安全管理に当たる作業員らのモチベーション維持に腐心している様子が感じ取れた。(福田涼太郎) 「5年、10年で」…廃炉作業への影響懸念 「1週間から10日(のペース)でタンク1つが埋まっていきます」 5日午後、福島第1原発の敷地南側の広い範囲を占めるタンク群の一角で、東電の広報担当者が説明した。容量1000~1200トン、高さ10メートルもある巨大なタンクが所狭しと並び、圧迫感は相当なものだ。 「実は、ここら辺は以前にタンクの水が300トン漏れた場所なんです」 タンクには放射性物質を含む水が入っているため、そう説明を受けたときは一瞬驚いた。ただ、特別に周囲の線量は高くない。 (略) 小委の結論待ち…リスク回避か 東電によると、1月24日現在で処理水はタンク947基に計約112万トンが貯蔵されている。うちトリチウム処理水が全体の9割近くを占める。 (略) 東電は現在、32年までに137万トン分までタンクを増設する計画だ。それぞれの関係者がリスクを負うことを避け、判断を先送りにすれば、それだけ現場の状況が厳しくなっていくのは間違いない。 (略) 広報担当者によると、福島第1原発の事故炉もほぼ同じ構造という。デブリが圧力容器からペデスタルに溶け落ち、さらに足場の下にすり抜けるように格納容器の底まで落下したとみられる。 全文は【原発最前線】福島第1原発ルポ(下)敷地覆う処理水のタンク群
福島第1原発ルポ 2、3号機間の通路公開 跳ね上がる放射線量 via iza
福島第1原発ルポ(上) 【原発最前線】 未曽有の原発事故から間もなく8年を迎えるのを前に、東京電力福島第1原発の構内が報道陣に公開された。炉心溶融(メルトダウン)を起こした1~3号機のうち、2、3号機の間の通路に防護服なしで行き来できるようになるなど着実に作業環境の改善は進んでおり、かつての“戦場”のような雰囲気は全くない。ただ、廃炉作業中の原子炉建屋に少しでも歩み寄れば急上昇する線量計の値が、今後の道のりの険しさを改めて実感させた。(福田涼太郎) (略) ■“四者四様”…まるでオブジェ 現在はピーク時の半分以下の1日当たり約4千人の作業員が出入りする福島第1原発。構内を行き来する多くの作業員らは顔を露出しており、昨年4月に運行を始めたという自動運転の電気自動車が作業現場まで運んでいた。東電の広報担当者によると、現在は敷地内の96%のエリアが簡易マスクと一般作業服、または何も身につけずに立ち入ることができるという。 最初に案内されたのは事故炉となった1~4号機を見渡せる高さ約35メートルの高台。それぞれの原子炉建屋まで100メートル程度の近さだが、手袋はおろかマスクの着用すら求められない。 (略) 水素爆発で鉄骨があらわになったままの1号機をはじめ、爆発は免れたが内部に放射性物質が充満しており建屋上部に作業員や機器が待機するための大きな箱状の設備が取り付けられた2号機▽3月末から始まる使用済み燃料取り出しに向け、かまぼこのような半円型のカバードーム屋根で覆われた3号機▽かつて燃料取り出し作業で使われた巨大なL字型の設備が設置されたままの4号機-と、状況が“四者四様”なのが非常に印象的。さながら美術館に並ぶ巨大なオブジェを見ているかのようだった。 ■一瞬で線量上昇 その後、2、3号機の間を通る幅約12メートルの通路を訪れた。2、3号機の内部には溶け落ちた高線量の核燃料(デブリ)が手つかずのまま眠っており、炉内に近づける状態ではない。この通路も漏れ出てくる放射性物質の濃度が高かったため、昨年5月までは立ち入る際に防護服の着用が求められていた。 (略) 両隣にそびえる高さ40メートル以上の原子炉建屋は圧迫感がある。3号機の建屋は特に水素爆発や津波による破損がひどく、むき出しになった壁の鉄材などが今も生々しさを残している。 通路の中央にいた広報担当者の空間線量計は毎時250マイクロシーベルト。ところが3号機側に数メートル近寄っただけで数値はみるみる上昇し、350マイクロシーベルトに達した。1マイクロシーベルト以下だった正門付近の数百倍だ。ちなみに取材者に設定された1日当たりの上限被曝量は100マイクロシーベルトで、単純計算すると15分余りの滞在で上限に到達することになる。この場は促されて5分程度で立ち去ることに。 (略) ■原子炉内部は「何も変わらず」 (略) ただ、その手始めとなる原子炉建屋からの使用済み燃料取り出し作業は相次ぐトラブルで足踏み中だ。既に終了した4号機を除く3基で作業が行われるが、うち先陣を切る3号機は30年度半ばの予定だった作業開始が「3月末めど」に延期された。 今回は廃炉作業の目に見える進展や変化を取材するつもりだった。だが、いまだ原子炉建屋近くの高い線量を目の当たりにし、8年たっても原子炉内部という“目に見えない部分”は何も変わっていないという「現実」を突きつけられた。 全文は福島第1原発ルポ 2、3号機間の通路公開 跳ね上がる放射線量
福島第1原発ルポ 廃炉へ「まだスタート地点」via 神戸新聞
東日本大震災から8年を前に、日本記者クラブ取材団の一員として東京電力福島第1原発などを訪れた。史上最悪レベルの原子力事故を起こした現場は除染作業が進み、敷地内の96%が一般作業服で活動できるようになっていた。一方で、汚染水や廃棄物は増え続け、原子炉格納容器内に溶け落ちた核燃料(デブリ)は残ったまま。廃炉作業の先行きはまだ見通せていない。(今福寛子) (略) ■次々鳴る線量計 視察のコースでもある高台は、除染の成果で昨年11月からマスクなしで見学できるようになった。そもそもこの日の装備は軽装で、ヘルメットに簡易なベスト、長靴、マスクと手袋、眼鏡だけ。すれ違う作業員も全面マスク、防護服姿の人は見当たらなかった。 「ピッ」「ピッ」。取材を始め5分ほどで、周囲の線量計が次々に鳴り始めた。20マイクロシーベルトに上がると、音が出る。歯のエックス線撮影1回で10マイクロシーベルト程度といい、頭では心配ないと理解しているが、思わず体がこわばった。 今回見学した中で最も放射線量が高かったのは、2号機と3号機の間の通路。3号機の上部はがれきが撤去されたが、横から見上げると水素爆発で破壊された当時のまま。コンクリートはボロボロに崩れ鉄筋がむき出しに。建屋の壁は放射性物質の飛散防止剤がまかれ、緑色に染まっていた。 使用済み核燃料プールから放射線が漏れている影響で、3号機に近づくと線量計の数字が一気に上がり毎時約350マイクロシーベルトを計測。5分ほどで慌ただしくバスに戻った。 ■立ち並ぶタンク もともと緑豊かだった敷地内は放射性物質が舞い散らないよう木を伐採して舗装し、至る所に汚染水の巨大タンクが立ち並ぶ。高さ約10メートル、約1200トンを貯蔵できるタンクは1週間から10日で満杯になる。東電の計画では2020年末までに137万トン分を製作する予定。限られた敷地の中でこれからも増え続ける。 軽装備で作業できるエリアが広がり、食堂やコンビニが入る大型休憩所の整備など作業員の労働環境は格段に改善されたという。ただ、1~3号機内の放射線量はいまだ高く、デブリ取り出しの方法は模索中。廃炉の目標は2040~50年としているが、東電の担当者は「まだスタート地点に立ったところ」と説明。道のりの困難さをうかがわせた。 全文は福島第1原発ルポ 廃炉へ「まだスタート地点」
初のデブリ接触調査 福島第1、直前ルポ 【イブニングスクープ】 via 日本経済新聞
3月で事故から8年となる東京電力福島第1原子力発電所に日本経済新聞の記者が12日、単独取材に入った。13日から始まる炉心溶融(メルトダウン)で溶け落ちた核燃料(デブリ)の本格的な調査に向けた準備作業が進んでいた。デブリの取り出しは今後30~40年かかる廃炉における最大の難関で、廃炉の実現を占う試金石となる。 (略) すぐ近くの道から2号機を見上げた。2号機は事故時に水素爆発が起きなかったため淡い水色の原子炉建屋の輪郭がしっかりと残るが、内部の線量は非常に高い。視察時間は5分程度に限られた。 2号機の調査は装置の先端にある2本の指でデブリをつまみ、硬さやもろさなどを調べる。政府と東電は2019年度に取り出し方法などを決めて、21年に取り出しを始める計画だ。ただデブリの取り出しは極めて難しい。もし実現できなければ、東電の経営や福島の復興に大きな影響を与えることになる。 生々しい姿が残る場所もあった。3、4号機の建屋の間にある中央制御室だ。事故直後に当直の作業員らが対応にあたった最前線に足を踏み入れた。 (略) 中央制御室から出て海沿いでは原発構内を津波から守る防潮堤の建設工事が始まろうとしていた。1~4号機の原子炉建屋を取り囲むように、20年度にも海抜11メートルの防潮堤が建つ。17年に政府の地震調査研究推進本部が、千島海溝沿いで巨大地震が近い将来に発生する可能性があると発表したのを受けた対策だ。 震災から8年がたち、作業環境を整え、自然災害への備えを万全に、長い廃炉作業に臨む時期だ。すれ違う構内の作業員の「お疲れさまです」との声を耳に福島第1原発を後にした。(五艘志織) 全文は初のデブリ接触調査 福島第1、直前ルポ 【イブニングスクープ】