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年間20ミリシーベルトという避難基準は見直さない一方、「避難要件」は見直す可能性があるという。
帰還困難区域は、原発事故後、年間50ミリシーベルトを超えた地域。南相馬市、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、飯舘村、葛尾村の7市町村にまたがる337平方キロで、2万人が住んでいた。避難区域の再編を行った当時は、あまりの線量の高さから、事故後30年間は帰れない場所とされてきたが、2017年に政府が方針を転換。27・5平方キロを特定復興再生拠点区域(復興拠点)として整備し、来年春以降の避難指示解除を目指し、現在、除染やインフラ整備を行っている。
今回の決定は、その復興拠点以外の地域について、避難指示解除の方針をはじめて示したもの。今後、住民の意向を聞きながら、何回かにわけて、解除の範囲や時期を決めるという。除染の範囲についても、帰還を希望する住民らや自治体の意向を踏まえて行い、新たな拠点整備やインフラ整備と一体で行っていく。また、これらの費用は、原因企業の東京電力には負担を求めず、国の東日本大震災復興特別会計とエネルギー対策特別会計から全額支出する。除染をはじめとする環境再生にかかわる予算規模は、現時点では一切わからないという。
第55回 原子力災害対策本部 配布資料 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/genshiryoku/dai55/index.html
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中間貯蔵地域の住民おきざり
除染した際の除染土や放射性廃棄物は中間貯蔵施設に運び込む計画だが、中間貯蔵は、帰還困難区域を除染する前提で設計されていない上、帰還困難区域は広大であることから、除染をしない地域も避難解除の対象とするなどの可能性が考えられる。
また中間貯蔵施設は、事故30年で移転する計画だが、現在のところ、移転先の調整は始まっていない。同地域には、まだ国と契約が終わっていない住民もいる。30年以上は同じように帰れないと見られていた帰還困難区域が、2030年までに避難指示解除の方針となれば、中間貯蔵地域の住民だけが取り残される状況が際立つこととなる。
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チェルノブイリと大きな違い
日本と同じレベル7の原発事故が起きたチェルノブイリでは、事故後5年目に「チェルノブイリ法」が成立。ロシア、ベラルーシ、ウクライナのいずれの国も、年間5ミリシーベルト以上の地域が強制避難区域となった。また30キロゾーン(圏内)は、事故から30年以上が経過した現在も、18歳未満の子どもは立ち入りができないほか、この地域に入域する際には事前登録が必要など、厳格に管理されている。一方、日本では、年間20ミリという高い線量基準を維持したまま、事故10年を迎える。
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