福島第1原発事故の収束ほど遠く 世界でも前例ない廃炉、これから via 福井新聞

津波で横倒しになったクレーン車がそのまま残り、汚染水を貯蔵するタンクは2日半に1基のペースで増 設されている。日本記者クラブの派遣団に加わり、事故から間もなく3年を迎える東京電力福島第1原発を15日に取材した。炉心溶融を起こし、燃料が原子炉 圧力容器を突き抜けた原発の廃炉という、世界でも前例のない難事業は緒に就いたばかり。事故収束はまだまだ先と実感した。

水素爆発を起 こした3号機に報道陣を乗せたバスが近づくと、各記者が持ち込んだ線量計の警告音が相次いで鳴り響いた。放射線量は高いところで毎時600マイクロシーベ ルト。1号機の排気筒周辺では1時間浴び続けると致死量に達する同10シーベルトにもなる箇所があるという。

高線量という厳しい環境下 で、防護服と全面マスク姿で作業員が廃炉に向けた作業や汚染水対策を進めている。燃料の取り出しは昨年11月、まず4号機の使用済み燃料プールで始まり、 1533体のうち176体(17日現在)を近くの共用プールに移した。「廃炉は燃料の取り出しから始まる。ようやく第一歩を切れた。気を緩めずにしっかり やっていきたい」と小野明所長は話した。

敷地の一角には、汚染水をためる高さ約10メートルの巨大な貯蔵タンク約970基(貯蔵量は計 約40万トン)が所狭しと立ち並ぶ。増え続ける汚染水に対応するため、2015年度末までに80万トンまで貯蔵できるようタンクを増やす計画だが、それ以 上の増設はスペースがなく「かなり厳しい」という。汚染水が1日約400トン増える現状のままなら3年もたたずに満杯になる。

(略)

汚染水対策などに取り組む作業員は1日3千人以上。10キロあまり離れた福島第2も「大規模な基地」 (東電担当者)として活用している。拠点となる福島第1の免震重要棟には、東電の各支社だけでなく、地元の学校や他の電力会社からの「負けるな」「頑張っ て」などと激励する寄せ書きが壁に張られていた。

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