東京電力福島第一原発の事故後の3年間で、全国の455の県や市町村議会が、原発に頼らず電力供給する「脱原発」を求める意見書を可決したことがわかった。都道府県を含めた全自治体の3割近くに達し、大半の意見書が、原発に代わって太陽光や風力など自然エネルギーを大幅に増やすよう求めている。
[…]
都道府県別では、泊原発がある北海道が54自治体と最も多かった。原発事故の起きた福島と隣り合う山形は25、栃木は22、茨城は19。伊方原発のある愛媛のとなりの高知は23あり、県内の自治体の過半数に達した。原発が多く立地する福井のとなりの京都も17あった。原発の立地県に隣り合う府県で「脱原発」の意見書が多いのが特徴だ。「安全性の未確立な原発依存の見直し」(高知市議会)、「原発に依存しない社会への転換」(東京都国立市)、「原発ゼロをただちに求める」(埼玉県深谷市)など、提出された意見書はエネルギー政策の大幅な転換を訴える。原発からの「撤退」や「脱却」などと、わかりやすい言葉を掲げる意見書も目立つ。
意見書は、地方議会の議員が提案し、議会内で討論して可決される。平和・非核団体などが議員に呼びかけることもあり、可決された文書の数や内容は、地域によってばらつきがある。
事故前まで、自治体はエネルギー政策を国に任せてきたが、事故後は住民の安全を守る立場から国に意見する事例が増えている。(中川透)
全文を読む(無料会員登録必要)