【野田総理冒頭発言】
本日は大飯発電所3、4号機の再起動の問題につきまして、国民の皆様に私自身の考えを直接お話をさせていただきたいと思います。4月から私を含む4大臣で議論を続け、関係自治体の御理解を得るべく取り組んでまいりました。夏場の電力需要のピークが近づき、結論を出さなけれ ばならない時期が迫りつつあります。国民生活を守る。それがこの国論を二分している問題に対して、私がよって立つ、唯一絶対の判断の基軸であります。それ は国として果たさなければならない最大の責務であると信じています。
その具体的に意味するところは2つあります。国民生活を守ることの第1の意味は、次代を担う子どもたちのためにも、福島のような事故は決して起こ さないということであります。福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる対策と体制は整っています。これまでに得られた知見を最大限に 生かし、もし万が一すべての電源が失われるような事態においても、炉心損傷に至らないことが確認をされています。
[…]
国民生活を守ることの第2の意味、それは計画停電や電力料金の大幅な高騰といった日常生活への悪影響をできるだけ避けるということであります。豊 かで人間らしい暮らしを送るために、安価で安定した電気の存在は欠かせません。これまで、全体の約3割の電力供給を担ってきた原子力発電を今、止めてし まっては、あるいは止めたままであっては、日本の社会は立ち行きません。
[…]
そうした事態を回避するために最善を尽くさなければなりません。夏場の短期的な電力需給の問題だけではありません。化石燃料への依存を増やして、 電力価格が高騰すれば、ぎりぎりの経営を行っている小売店や中小企業、そして、家庭にも影響が及びます。空洞化を加速して雇用の場が失われてしまいます。 そのため、夏場限定の再稼働では、国民の生活は守れません。更に我が国は石油資源の7割を中東に頼っています。仮に中東からの輸入に支障が生じる事態が起 これば、かつての石油ショックのような痛みも覚悟しなければなりません。国の重要課題であるエネルギー安全保障という視点からも、原発は重要な電源であり ます。
そして、私たちは大都市における豊かで人間らしい暮らしを電力供給地に頼って実現をしてまいりました。関西を支えてきたのが福井県であり、おおい 町であります。これら立地自治体はこれまで40年以上にわたり原子力発電と向き合い、電力消費地に電力の供給を続けてこられました。私たちは立地自治体へ の敬意と感謝の念を新たにしなければなりません。
以上を申し上げた上で、私の考えを総括的に申し上げたいと思います。国民の生活を守るために、大飯発電所3、4号機を再起動すべきというのが私の 判断であります。その上で、特に立地自治体の御理解を改めてお願いを申し上げたいと思います。御理解をいただいたところで再起動のプロセスを進めてまいり たいと思います。
[…]
再起動させないことによって、生活の安心が脅かされることがあってはならないと思います。国民の生活を守るための今回の判断に、何とぞ御理解をいただきますようにお願いを申し上げます。
また、原子力に関する安全性を確保し、それを更に高めていく努力をどこまでも不断に追及していくことは、重ねてお約束を申し上げたいと思います。
私からは以上でございます。
【質疑応答】
(内閣広報官)
それでは、質疑に移ります。
指名された方は、まず所属と名前をおっしゃってから質問をお願いいたします。
それでは、どうぞ。(記者)
読売新聞の望月です。
総理、今週は4日に引き続いて2度目の会見となり、御苦労様です。
福井県知事の要望に応じられて、今回の会見に至られたのだと思いますけれども、先ほどの会見で、要するに夏場の電力需要を乗り切るためだけでなく、日本 の経済、エネルギー安全保障上も原子力が重要な電源であるという認識をお示しになられたのだと思いますが、そうしますと、丁寧に御検討されるとおっしゃい ましたが、大飯以降の他の原発の再稼働のスケジュール感について、どのようにお考えになられるのか。
あるいは今、おっしゃられましたが、中長期のエネルギーの割合を政権としてどのように考えられるのか。8月をめどにまとめられるとおっしゃいましたけれ ども、今現在、2030年の原子力の割合などが議論になっていて、総理の今のお話ですと、これはゼロにはできないのではないかと思うのですが、いかがで しょうか。また、その場合、40年の廃炉ルールなどには齟齬が出てこないのかも含めて教えていただければと思います。(野田総理)
最初は会見の意義みたいなところだと思いますけれども、福井県知事のみならず、福井県民の思いを重く受け止めつつ、今日は国民の生活を守るという観点から、再起動は必要であるという私の考え方を基本的に御説明したいという意味での会見をさせていただきました。
再起動の安全性、必要性については、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、当面の夏場の需給だけの問題ではなくて、これはエネルギー安全保障で あるとか、あるいは国民生活や経済への影響、特に国民生活、経済への影響で言うならば、これは電力価格が高騰することによって国民の負担が増えてはいけな いんですが、そういうことを抑制しなければいけない等々の観点、日本の経済、社会全体の安定ということを考えての判断であるということであります。
大飯以外のスケジュールのお話でございますけれども、これは大飯と同様に、スケジュールありきではいかなる再起動も考え得ません。引き続き、丁寧に個別に安全性を判断していくというプロセスをたどっていきたいと思います。
最後に、中長期のエネルギーの割合の話が出ましたけれども、ちょうど今日のエネルギー・環境会議が行われまして、その選択肢についての中間整理を行わせ ていただきました。こうした中間整理なども踏まえまして、国民的な議論を行いながら、御指摘があったとおり、8月をめどに国民が安心できるエネルギーの構 成、ベストミックスというものを打ち出していきたいと考えております。続き、動画は 平成24年6月8日 野田内閣総理大臣記者会見
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