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A nuclear power plant in Byron, Illinois. Taken by photographer Joseph Pobereskin (http://pobereskin.com). カレンダー
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Tag Archives: 坂田雅子
フランス、ビキニ、カザフスタンの核の現実から福島を捉える─映画『わたしの、終わらない旅』via 骰子の目
ベトナム戦争での枯葉剤被害を追うドキュメンタリー『花はどこへいった』(2007年)『沈黙の春を生きて』(2011年)の坂田雅子監督の新作『わたしの、終わらない旅』が3月7日(土)より公開される。 坂田雅子監督は福島第一原発事故の後、1976年頃から長野県須坂市で薬局を営みながら反原発の運動に深く関わっていた母・静子さんが遺したミニコミ『聞いてください』にあらためて触れ、母の意志を継いで、世界各地の核に翻弄される人たちを描くことを決意。姉の悠子さんが近くに住み核燃料再生処理場があるフランスのラ・アーグ、1950年代からアメリカの水爆実験が繰り返されたマーシャル諸島、そしてソ連の核実験が行われたカザフスタンのセミパラチンスクで撮影を行った。 webDICEでは、坂田雅子監督のインタビュー、そして今作製作のきっかけとなった坂田静子さんが1977年に発表したミニコミ『聞いてください』第1号の全文を掲載する。 ■映画を撮り続けることで、生きている手ごたえを感じたい ──坂田さんの作品は、核を扱う本作でも、常にパーソナルな体温が感じられます。最愛の夫の死に向き合う『花はどこへいった』が、その原点だと思いますが。 あれは私の魂の叫びだったと思います。良くも悪くも、もうああいう映画は作れない。夫を失い、子どももなく、今は群馬の山の中で孤独な生活をしていますから、カメラを持って人に会いに行き、映画を撮り続けることで、生きている手ごたえを感じたいのでしょうね。映画にすがっているというか。 それに、一作撮っても終わりにならないんです。あれも言い残した、これも知りたい、枯葉剤を製造したモンサントなどの責任はどうなっているのか、と。それが『沈黙の春を生きて』につながりました。『沈黙の春』で半世紀も前に薬害や公害を予言していたレイチェル・カーソンにならい、私たちも50年先に想像力を働かせて責任をもたなければ、という思いでした。 その編集中に、原発事故が起きたのです。50年先どころか、目の前で。 ──それで、すぐに映画制作を? いいえ。毎日、暗い冬の空を見ながら、どうすればいいのか、日本はどこに行くのかと考えてばかり。私が住む群馬県利根郡みなかみの辺りは放射線量も高いので、外国の友人からは「日本を出た方がいい」と言われました。でも、いまこそ日本にいて何かしなければとも思い、そんないたたまれない気持ちの中で、母の遺稿集『聞いてください』を取り出したんです。生前に聞く耳を持たなかったことを、つくづく反省しました。それで、どうしてこんなことになったのかを自分なりに見ていこう、母のやって来たことを映像化できないだろうか、と思い始めたのです。 ──お母様は1977年から反原発運動を続けられていたとか。 きっかけは、結婚して英仏海峡のガンジー島に住む姉からの手紙でした。「ガンジー島の対岸、フランスのラ・アーグにある再処理工場に日本の使用済み核燃料が来ると大騒ぎになっているが、日本ではどうなっているか」と尋ねてきたのです。子育てを終え、公害や靖国神社の問題など社会に目を向けていた母なら、わかると思ったのでしょう。 それで母は原発を勉強し始め、すぐに危険性を理解しました。放っておけない、どうしようと、宇井純さんなどにも相談し、手作りの新聞『聞いてください』をガリ版で100部刷り、長野県の小都市・須坂の駅前で一人で配り始めたのです。その最初の一歩を考えると、わが母ながら、どこからそんなガッツがでたのかと。よほど居てもたってもいられない気持ちだったのでしょう。 私にも送られてきましたが、ああまたか、うるさいなあという感じで、ディレッタント(趣味的)な生活を続けていて……夫が亡くなって映画を作り始めて枯葉剤の問題に向き合ったのです。そのとき、ああ、母が撒いた種は私の中で育っていて、やっと花開こうとしているのかなと思いました。 ■何を消費するかで日々の幸せを計ることを変える必要がある ──撮影はどのように進められましたか。 きっかけは姉からの手紙ですから、まずラ・アーグに行こうと、フランスの友人に相談しました。日本が再処理に躍起になっていた70年代に通訳をしていた人で、当時、日本から来る記者や電力会社の人がしきりに平和利用を口にした、と。フランスでは核は軍事ですから、なぜ平和利用と言うのか首をひねっていたそうです。それを聞いて、日本人がいかに平和利用と擦りこまれてきたかに気づき、そもそもの軍事へと目が向きました。 一方で、母の放射能測定器を持って福島に通っているときに、飯館村に入ると、車中でもカチカチッとすごい音がしました。その音を聞いて、これを持ってビキニに行ってみようと思ったんです。第五福竜丸が被爆した3月1日のビキニ・デーに合わせて発ち、キリ島に強制移住させられたまま、いまだに自分の島に帰れない人達の悲哀を知りました。 ──福島の映像は入っていませんね。 じつは福島に一番多く出かけ、最も長く撮りました。ところが、いろいろなものがありすぎ、逆に見えてこないのです。出会う人の数だけ心打たれる話があり、日々、状況も変わってゆく。どう話をまとめたらよいのか。歴史的、地理的、物理的に引くことで、よりよく見えてくるのではないかと、撮りながら思っていました。 ──逆に他所から福島が見えます。ラ・アーグでも、家電工場の建設だ、雇用増大だと地元民を言いくるめ、建設してしまえば汚染や病気の訴えにも「関係ない」の一点張り。福島も同じ構造です。 「人を殺して電気を使うのか」と言う人がいますね、あれが一番響いた言葉です。 それと、「日本では大きなプロジェクトが動き始めると止められない」と物理学者の高木仁三郎さんが言っています。でも、どこかでブレーキをかけなければいけません。止めるのは市民の力だと思います。だから、市民の在り方、民主主義の在り方が問われている。その意味で沖縄に注目しています。 大衆消費社会も問題です。ものを考えず、何を消費するかで日々の幸せを計る。それを変える必要があるでしょうね。 ──次回作のテーマは? 再生エネルギーでしょうか。何にせよ、残された時間で、少しでもできることをしていきたい。『聞いてください』で母が書いているんです。「現実の原発ラッシュの前に無力感を覚えることもあります。でもまた元気を出して考えなおします。蟻だって集まれば巨象を倒すこともできるではないか」と。本当に倒せるかはわかりませんが、いい言葉だと思います。 もっと読む。
加藤登紀子、原発事故を知ったこと…後世への責任を語る via シネマトゥデイ
福島第一原子力発電所事故に衝撃を受け、世界中で核被害に翻弄される人びとの暮らしや証言を記録したドキュメンタリー映画『わたしの、終 わらない旅』が7日から公開され、上映館のポレポレ東中野で、歌手・加藤登紀子と坂田雅子監督のトークイベントが行われた。加藤が「映画を観終わって、お えつが止まらなかった。(現実を)本当によく捉えましたよね。拍手を送りたい」と坂田監督をたたえると、会場から拍手が湧き起こった。 【動画】『わたしの、終わらない旅』予告編 (略) そして加藤は、自著「スマイル・レボリューション 3・11から持続可能な地域社会へ」の一節から、テオ・アンゲロプロス監督の映画『こうのとり、たちずさんで』に触発された詩を朗読。この映画では、紛争 下、故郷を目前に橋の上の国境線を踏み越えることができず、片足を上げてたちずさむ男の痛切な姿が描かれる。朗読を終えた加藤は「原発の安全神話は吹き飛 んだし、放射能汚染のなかで生きる困難さもわたしたちは知った。意識は変わりつつあると思う。一方で、日本は原発再稼動を選ぼうとしている。上げた片足を どっちに向けるのか、戦後の日本の歩みを考えるときだと思うんです」と語った。 坂田監督も「本作を撮って(坂田監督の前2作のテーマ)枯葉剤の被害と核エネルギーは、同じコインの裏表だと思いました。どちらも戦争が生み出し たものだし、戦後の日本とアメリカの関係が深く関わっている。わたしたち1人1人がしっかり考え、次の一歩を踏み出せば、良い方向に向かっていくのでは、 とわたしは楽観的に考えているんですが」と語ると、加藤は「わたしたちは原発事故を知ってしまったのだから、後世の人たちへの責任は重大ですよ」と静かに 場内に語り掛けていた。(取材/岸田智) 映画『わたしの、終わらない旅』はポレポレ東中野で公開中 全国順次公開 全文は加藤登紀子、原発事故を知ったこと…後世への責任を語る