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福島地裁が「判決文Tシャツ」を問題視 「脱げ」「裏返せ」の末に庁舎外へ追い出す 「納得できない。次回も着ていく」と女性 via民の声新聞

福島地方裁判所で26日午後、裁判傍聴に訪れた女性が着ていたTシャツの文言が問題だとして、裁判所職員に庁舎外に追い出される事態が起きた。女性は刃物を振り回したわけでも大声をあげたわけでもない。しかし、裁判所側はTシャツの背面に印刷された判決文の一説を「メッセージ性がある」と判断。「脱げ」、「裏返しにしろ」と迫った挙げ句、「できないのなら敷地外に出ろ」と命じた。女性はやむなく羽織るものを借りて着用して傍聴したが、「他の裁判所では認められているのに、なぜ脱がなければいけないのか。納得できない。次回も着て来る」と怒り心頭。弁護士からも福島地裁の対応に疑問の声があがっている。 【「メッセージ性がある」】 「判決文が印刷されているから駄目だって。庁舎から出ろって。このTシャツを着て東京地裁でも横浜地裁でも傍聴したのに…」 避難先の神奈川県から福島県郡山市に一時的に戻っている松本徳子さん(郡山市、60歳)は、裁判所からの指摘に怒りと驚きの表情を浮かべていた。 この日は、国家公務員宿舎から退去できずにいる区域外避難者に対する〝追い出し訴訟〟(福島県が原告)の第8回口頭弁論が予定されていた。傍聴券を受け取った直後のこと。松本さんも法廷に向かうべく裁判所職員の指示を待っていたところ、女性職員がいきなり背後から近づいてきたという。 「『このTシャツを脱いでいただけますか?』と言われたんです。どうして?と聞き返したら、『背中にメッセージ性のある文言が書かれているので脱いでください』と。でも、暑いから羽織るものなんか持ってきていない。Tシャツの下は当然、下着です。それでも『脱いでいただかないと…』の一点張りでした」 松本さんは女性職員と押し問答になり、周囲にいた他の傍聴者も加勢。ロビーは騒然となった。女性職員は譲らず、松本さんに「羽織るものがないのであれば、裏返しにしていただけませんか」と言ってきたという。 Tシャツは、原発事故で神奈川県内に避難した人々が起こした「福島原発かながわ訴訟」の原告団が2014年につくった。背面に「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」と白色の文字で印刷されている。これは2014年5月21日、福井地裁の樋口英明裁判長(当時)が関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じる判決文のなかに書かれている一節だ。 つまり、判決文の一節が印刷されているだけなのだ。「住まいを奪うな」や「避難の権利を認めろ」など、傍聴した裁判の趣旨に沿うように裁判所に訴える内容の文言でもない。 納得できない松本さんは「それなら結構です」と手元の傍聴券を突き返した。しかし、女性職員は怯むどころか、こう言い放ったという。 「すみません、裁判所の敷地から出てください」 【「庁舎管理権で判断」】 裁判所ロビーが騒然とするなか、当該の女性職員は筆者に対し「プラカードだとかメッセージ性のあるもの。それはTシャツも同じです。メッセージの書いてあるものを身につけて構内に入ることはできません」と語気を強めた。Tシャツには判決文のごく一部が印刷されているだけだが、それが「メッセージ」に該当するかを尋ねると、女性職員は「はい」ときっぱり。「判決文ですよ」と重ねて質問したが「はい」と答えるばかりだった。 閉廷後、男性職員に改めて〝追い出し〟の根拠を尋ねると「服装に関する規程もあります。メッセージ性のあるTシャツとか、そういったものはお控えいただいている」と答えた。「Tシャツに書かれていたのは単なる判決文であって、直接的な『メッセージ』ではないのではないか」と問うたが、男性職員は「なるほど」としか答えなかった。 傍らにいた別の男性職員は、次のように答えた。 「判断ということで申しますと、庁舎管理権というものがある。庁舎管理規程のなかで、のぼりとか旗とかの持ち込みを禁じている。『それに類似するもの』というところがありまして、確かに『類似』の範囲は広くなりますが、今回は判決内容ということで、それに該当すると判断。庁舎立ち入りの制限という話になりました。職員からの報告を受けて、庁舎管理者である所長が最終的に判断しました」 だとすれば、運用でいかようにもできてしまう。極端に考えれば、司法にとって都合の悪い傍聴者を排除できることになってしまう。 この点について、男性職員は「最終的には庁舎管理権者の判断になってしまいます」としたうえで、「庁舎管理規程上、例示されているものに該当する場合は、われわれは退去を命じなければなりません」とだけ答えた。 実はこの日、言葉での表現ではなかったが、ロシアのウクライナ侵攻に反対するものを身につけて傍聴した人がいた。しかし、小さくて目立たなかったためか、庁舎外に出るよう命じられることはなかった。 […] 全文

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