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原発廃炉・賠償費用は託送料に上乗せすべきか?via 京都大学

諸富 徹 【問題の背景】 経済産業省は、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の下に、「電力システム改革貫徹のための政策小委員会」を置き、福島第一原発事故にともなう廃炉費用と賠償費用を、新たに「託送料金への上乗せ」の形で電力消費者全員に負担させる案を、昨年12月16日に「中間とりまとめ(案)」の形で公表した。 背景には、福島事故に関わって見積もられていた費用11兆円(賠償5.4兆円、除染2.5兆円、中間貯蔵施設1.1兆円、廃炉費用2兆円)が、ほぼ倍増の21兆円超へと膨らむ見通しが出てきたこと、そしてそれを東京電力に負わせれば債務超過となり、東電が破綻してしまうという事情がある。 福島第一原発事故後、原発事故を起こした事業者に対して無制限の賠償責任を課す「原子力損害の賠償に関する法律」に基づいて、東京電力に被害者への賠償費用の負担が課された。一時は東電の法的整理も検討されたが、結局、東京電力を生き残らせ、その利潤の中から廃炉・賠償費用を賄っていくことになった。しかし、2016年10月の新潟知事選挙で柏崎刈羽原発の再稼働を認めない米山隆一氏が当選したことにより、原発の再稼働によって収益を確保し、廃炉・賠償費用に充てるシナリオは崩れた。 他方、経産省の有識者会合では、福島第一原発以外の原発の廃炉費用についても、今後廃炉が本格化していく中で、その廃炉費用を誰がどのように負担すべきかという問題が提示され、議論された。これは、これまでは原子力事業者である電力会社が担うことになっていた。それを今回、新電力にも負わせるという議論が出てきた背景には、電力システム改革がある。小売全面自由化以降、電力会社の新電力への顧客流出が起きており、これから膨張する廃炉費用を電力会社のみが負い、新電力が負わない状況下では、電力会社が競争上不利になるという事情がある。また、新電力に移った顧客は、これまで電力会社の顧客として原子力で発電された電力を享受してきたにもかかわらず、その廃炉費用を負担しないまま新電力に移り、費用負担を免れるのは不公平だという論拠も持ち出されている。 […]     もっと読む。

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【社説】政府の原発支援 なぜ、負担強いてまでvia 中日新聞

 二〇一六年に家庭向け電力事業が自由化され、既存の大手電力会社以外の参入が進むとともに、消費者が売り手を選べるようになり、これまで政府と電力会社が独占的に決めてきた、電気料金の値下がりが期待されている。  ところが政府は、原発だけを特別扱いにして、維持、さらに新増設を支援する姿勢を打ち出した。  原発の建設から廃炉、使用済み燃料の処分にかかる費用を計算し、基準になる電気の値段を、これまで通り政府と電力会社で決める。そして市場価格が基準価格を下回った場合には、全消費者の電気料金に、その差額分を上乗せするという。  原発を動かす大手電力会社に損はない。国民の負担で穴を埋めてあげようというのである。  自由化とは名ばかり、実際の電気料金は原発の都合で決まってしまうのだ。  経済産業省の有識者会議でひっそりと話し合われるこの案は、多くの示唆を与えてくれる。  例えば、これまで「安い電源」とされてきた原発が、自由競争に耐えられないほど高くつき、地域独占市場の中でなければ原発事業は成り立たないのを、国も認めているということだ。  その上、事故が起きれば、補償は天文学的な額になる。福島の事故に見るとおり、一事業者に賄いきれるものではない。原発は経済的には成り立たない。  差額の穴埋めで原発を維持するやり方は、英国にならうものだという。英国は温室効果ガスを抑えるために、発電段階では二酸化炭素(CO2)などを出さない原発を使い続ける方針だ。  温暖化も危険だが、原発事故はそれ以上に恐ろしい。私たちは、そのことを知っている。原発維持を温暖化対策の口実にすべきではない。 もっと読む。

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