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飯舘村被ばく労働訴訟 和解成立 via ごみから社会が見えてくる

環境省による飯舘村蕨平の仮設焼却炉において発生した被ばく労働について、被告 日揮株式会社を相手に損害賠償を請求した事件は、2021年11月26日和解成立となりました。12月10日(金)福島県庁で記者会見を行いました。正確な数は把握できませんでしたが10社前後が取材し、同日夜NHK福島放送「はまなかあいづ」にて放送されました。 調停条項(口外禁止条項を除く) 1 被告は、原告に対し、解決金を支払う。2 被告は、放射性物質・ダイオキシン等労働者の健康を害する可能性がある物質を取り扱う作業を労働者に行わせる場合には、今後とも、より一層法令等を遵守し、当該物質を適正に管理し、すべての人を尊重し、安全を優先することを約束する。3 原告は、その余の請求を放棄する。 争点は2つありました。一、安全配慮義務違反二、入所前教育(新規入場教育)で説明した通りの労働環境や作業内容ではなかった点 一、は実際に健康を害されたのかという点が問われた。健康不安を感じるような労働環境であったことから慰謝料を請求したものであるが、被告は「環境省の基準を満たしている」という主張に終始したほか、内部被ばく問題の難しさがあり、黒い雨裁判でも長年かかってようやく認められたところである。よって一、については和解に反映されなかった。二、について和解に至ったということになる。 裁判の前の労働審判においてはダイオキシン暴露を問題にしたが、裁判では放射能で進めた。結果は必ずしも納得できるものではないが、被告からは「(労働環境は)「環境省の基準以下」であり保護具のレベルは低くて良い、数値は明らかなのだから不安に思うはずはない」とする主張が繰り返された。これまでの労働実態を鑑みて、今後のために何らかの約束をすべきと考え和解に至った。以上 損害賠償請求額は381万円余ですが、解決金額は被告の要請で非公表となりました。その他の条項も原告の主張はほとんど反映されず、被告の要求に従う結果となりました。私は当初、金額を含め上記和解条項を知らされたとき、まさかと耳を疑いました。裁判でのやりとりでも被告の主張は非常識というほかなく、原告の主張が圧倒的に有利であると思われたからです。しかし弁護士や50年も労働訴訟を闘ってきた労働組合の方々によれば、原告の男性に実際の健康被害が出ていない段階での訴訟はかなり厳しいと見ていたにも関わらず、一応の解決金を勝ち取ることができたことは少なからぬ成果であるとの結論であり、労働裁判の厳しい現実を思い知らされました。それにしてもあれほどの被ばく労働を強いられた事実に対してあまりに不当な結果であるとの思いは拭えません。また今後、仮に健康被害が出た場合にも一切の請求ができないというのも納得できるものではありません。 通常であれば裁判官からの尋問はさらっと終わってしまうところ、本件においては複数の裁判官からかなり時間を割いて詳しく聞き取りが行われた、との弁護士の談話が印象に残りました。未曾有の原発事故がもたらした放射能汚染による被ばく労働を地元の福島地裁で審理したことで、裁判官の強い関心を集めたのかもしれません。 原告の男性は長い裁判から解放され「スッキリした気持ち」であると率直な感想を述べ、また「福島で裁判を闘っている人がたくさんいるため、和解した日を新たなスタートとして、福島の人達のためにできることを頑張っていきたい」と抱負を語りました。 支援の会のTさんは、福島県内には飯舘村以外にも仮設焼却炉が数多く設置されていること、また木質バイオマス発電も建設され汚染された木材を燃料としており、これらから放射能の濃縮した焼却灰が大量に排出され労働者が被ばくすること、今後の様々な職場での労働を考えるうえで今回の結果は大きな力になると考えているとコメントされました。 原文

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