福島のモニタリングポスト耐用年数超え 部品交換し態勢維持へ via NHK News Web

東京電力福島第一原子力発電所の事故後、国が福島県内の学校などに設置した放射線量を測定する「モニタリングポスト」について、原子力規制委員会は住民の不安解消につながるとして当面態勢を維持し、今年度から10年程度かけて部品交換などを行う計画です。

「モニタリングポスト」は福島第一原発の事故後、国が福島県内の学校や保育施設などを中心におよそ3000台設置し、その後も年間6億円かけて点検やメンテナンスを行って測定態勢を維持しています。

ただ、各地の線量が下がって安定していることに加えて、機器の耐用年数が8年程度のため、原子力規制委員会が2018年に全体の8割を撤去する方針を示したところ、住民から反対の声が相次ぎ方針を撤回しました。

規制委員会は、住民の不安解消につながるとして当面測定態勢を維持する方針で、原発事故から10年以上経過しすでに耐用年数を超えているため、今年度から10年程度かけて年間およそ300台のペースで線量の検出器や電源などの部品交換を進める計画です。

部品供給が難しいおよそ450台については来年度新しい機器に取り替えたいとしています。

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全文

◇ 内閣総理大臣 菅 義偉 殿

原子力規制委員会委員長 更田 豊志 殿

2021 年9 月7 日

モニタリングポストの継続配置を求める市民の会

共同代表 片岡輝美 鈴木真理 千葉由美

2021 年度からのリアルタイム線量計測定システム(モニタリングポスト)

態勢維持計画を高く評価します。

2018年3月、2020年度末までにモニタリングポスト約2400台を撤去するとの方針を受け、

福島県内では多くの反対の声があがりました。原子力規制庁は「丁寧な説明によって、撤去

を理解してもらうこと」を目的に、2018 年7 月から11 月まで、福島県内15 会場で18 回の

住民説明会を開き、また、私たち市民の会主催の交渉にも応じました。

第3 回目の交渉(2018 年12 月7 日)において、私たちからの問いに対し、武山松次監

視情報課長(当時)は「(説明会を重ねるなかで)その目的は住民の声を聞くことに

変わった」と述べ、2019 年5 月29 日、第10 回原子力規制委員会は「モニタリングポストの

当面の存続」を決定しました。東京電力福島第一原子力発電所事故被害の当事者である住民

の訴えに真摯に向き合い、国の方針を変更したことは、まさに民主的な政策決定でありまし

た。

そして、2021 年9 月1 日に開催された第28 回原子力規制委員会において、2022 年度もモ

ニタリングポストの維持経費が概算要求に盛り込まれ、今年度から10 年程度かけて年間お

よそ300 台のペースで線量の検出器や電源などの部品交換を行い、部品供給が難しい450 台

については、来年度新しい機器に取り替える計画が公表されました。

この計画は2019 年5 月の「モニタリングポスト当面の存続方針」が、いよいよ具体的に

動き出したこととして、私たちは高く評価しております。また、モニタリングポストの継続

配置を求める全国の市民からも、この計画を賛同する声が続々と届いています。

2019 年5 月の「当面の存続」の決定直後、報告集会に参加した男子中学生は「(ポストが)

残ることになってほんとうに良かった。なくなったら、何がなんだか分からなくなってしま

う」と、感謝を伝えていました。2021 年2 月13 日、東日本大震災の余震と言われる地震が

発生した際、私たちは即座に、モニタリングポストの数値を確認しました。10 年を経て、赤

さびで数値が見えにくいポストがあるとの報告もあります。このようにモニタリングポスト

は、原発事故後の日々を生きる私たちの「知る権利」を保障し、自ら状況を把握するために

必要不可欠な機器であります。

この度の計画が恙なく行われていくことを、私たちは引き続き注視して参ります。原子力

規制委員会におかれましても、二度と原子力災害が起きない環境を実現すべく、邁進してい

ただきたいと存じます。

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