原発事故めぐる国の責任、初の高裁判決へ 避難者ら注視 via 朝日新聞

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2017年10月の福島地裁判決は、政府が02年7月に策定した「長期評価」で、福島沖で津波地震が起きる可能性を指摘した点を重視。国が津波を予見して、東電に安全対策を指示すれば事故を防げたとして、東電と国に計約5億円を支払うように命じた。一方、原告が住んでいた土地の放射線量を事故前の水準に引き下げる原状回復請求は、除染の方法が特定されていないとして棄却し、原告・被告とも控訴した。

 原告の弁護団などによると、これまでの原発事故をめぐる集団訴訟では、国が被告の13の訴訟で地裁判決が出た。うち7地裁は津波の予見性を認めて国に賠償を命じる一方、6地裁は予見性は認めつつも、国が東電に安全対策を指示しても事故までに間に合わなかったなどとして、国に責任があると認めなかった。

 18年10月に始まった仙台高裁の審理でも津波の予見性が争われており、原告は約280億円の損害賠償を求める一方、国と東電は長期評価の信頼性は低いため津波は予見できず、国の指針による賠償額以上を支払う必要もないと主張している。(小手川太朗、飯島啓史)

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「裁判官も国も東電も、よく見て行ってください。原発事故で避難したら、我が家がこんなにもひどくなるってことを」

 19年5月、仙台高裁の裁判官らの視察。変わり果てた自宅で原告の深谷敬子さん(76)が訴えた。白い防護服の人々は誰も声を発さなかった。ただ、後で弁護士から「涙を浮かべていた裁判官がいましたね」と知らされた。

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一審判決は国と東電の責任は認めたが、「原状回復」や「ふるさと喪失」といった原告の主張は退けられた。「この裁判には絶対に勝ちたい。本当に欲しいのは、国や東電からの『申し訳ない。大変な思いをさせました』と心のこもった一言。今回はいい判決をもらいたい」と願う。(力丸祥子)

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