20ミリ基準の違法性を争う裁判が結審~南相馬市 via Our Planet-TV

東京電力福島第一原発事故で局地的に放射線量が高くなった「特定避難勧奨地点」の指定解除は違法だとして、福島県南相馬市の住民らが国を訴えている裁判が27日、結審した。原発事故以降、政府が定めてきた年間20ミリシーベルトという避難基準を直接問う唯一の裁判。新型コロナウィルス感染症の影響により4か月遅れの結審となった。

国を訴えているのは、福島第一原発事故で「特定避難勧奨地点」に指定された南相馬の地域住民206世帯808人。政府が2014年12月、同地域の指定を解除したことをめぐり、この取消しなどを求めて、翌年15年4月に国を提訴。一方、国は、特定避難勧奨地点の解除は「行政処分」に当たらないと争ってきた。

弁護団長の福田健二弁護士は、原発は、年間1ミリシーベルトを超える被ばくをしないという約束の下、運転が許容されてきたと指摘。「いざ原発事故が起こると、1ミリシーベルトを超える被ばくを甘受しなければならないのか。」と質した上で、裁判所に対し、20ミリシーベルト基準の違法性について、正面から判断するよう求めた。

また政府が解除の根拠とする低線量ワーキンググループの報告書は、喫煙や野菜不足など個人の選択によって減少させることの可能なものと、加害行為により強制されたリスクを比較することは不適切であると主張。国は解除による便益を説明しておらず、反論もしていないと強調した。

一方、政府が「特定避難勧奨地点」の指示解除は行政処分に当たらず、単なる情報提供であると主張していることについて、祐川友磨弁護士は「個別の住戸の特定の地点において放射線量を測定した上で、被告が設定した基準値を超える世帯について個別に地点指定を行い、同指定を受けた世帯のみに対して具体的な支援措置を実施する方法を採っていた。」と指摘。支援を打ち切りに直結する解除には公権力性があるとして、国の主張は妥当ではないと訴えた。

最後に、原告団長の菅野秀一さんが陳述し、「国の判断は間違っています。あまりにも線量が高すぎます。」「子どものいる世帯及び若い人達はほとんど戻ってきていません。65歳以上の高齢者ばかりです。あっという間に限界集落になりました。農業後継者は1人もいません。」と声を震わせた。判決は来年2月3日に言い渡される。

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