<東海第二原発 再考再稼働>(4)「除染すれば大丈夫」は間違い 元日本医師会長・原中勝征さん(79)via 東京新聞

東海第二原発の再稼働に反対する市民集会が、十一月十六日に水戸市で開かれた。私も賛同人として参加した。もし東海第二で事故があれば、広い範囲で人が住めなくなる。四季折々の風景があり、海の物も山の物も食べられる日本の素晴らしい国土を子孫に残す義務が、今を生きる者にはある。

日本医師会長を務めていた二〇一一年三月に、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故が起きた。医師会は、福島県を含む被災地に医療チームを送る活動を一年間続けた。

私は(福島第一がある双葉町の北隣で大部分が帰還困難区域になった)浪江町の生まれ。高校時代、授業が休講になった時に、みんなで釣りに行っていた場所に原発ができた。福島の事故後、除染がある程度進んだところで、妻と浪江の町を見に行った。除染土を詰めた袋が山積みで、あんなにたくさんどこに持って行くのかと心配になった。古里を失ったさみしさは言葉では説明できない。 

旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、半径三十キロ圏内の住民を強制移住させた。三十年以上たった今でも、あの区域は立ち入り禁止のままだ。だが日本では「除染したから大丈夫」と言って、国民を危険なところに住ませようとしている。絶対に間違いだ。

地震や津波だけなら、犠牲者が出てもいずれは復興できる。しかし放射能汚染は違う。農業も、帰ることすらできなくなる。福島では、子どもの甲状腺がんが出ている。これからさらに増えるだろう。

(略)

どうして原発を再稼働する必要があるのか。政治家が昔の「軍事大国」のような意識で、原発を持っていなければ、大国ではないとでも考えているのか。

 国は、原発の電気は自然エネルギーより安いと言う。だが、東電が原発事故の被害者に支払う賠償金は、原発を持つ大手電力会社以外と契約する人も電気料金の一部として負担させられている。ふざけるなと言いたい。 (聞き手・宮尾幹成)

<はらなか・かつゆき> 1940年、福島県浪江町生まれ。日本大医学部卒。東京大医学部助教授などを経て、2004~10年に県医師会長、民主党政権下の10~12年に第18代日本医師会長を務めた。茨城県筑西市の医療法人杏仁会大圃(おおはた)病院理事長。

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