大飯原発の地元描いた映画「彼らの原発」 川口監督の初作品、9日から福井で上映 via 中日新聞

 関西電力大飯原発の再稼働に揺れた、おおい町の人々の日常を撮影したドキュメンタリー映画「彼らの原発」が、東日本大震災から八年を迎えるのに合わせ、九日から十五日まで、福井市の福井メトロ劇場で上映される。映画初作品で監督、撮影、編集を手掛けた川口勉さん(35)=東京都=は「私個人は原発に反対だが、『脱原発ドキュメンタリー』をつくろうとは思わなかった。原発の周辺にある文化や人の暮らしを撮りたかった」と話す。

川口さんは川崎市生まれ。東京のテレビ番組制作会社勤務を経て現在はフリーの映像ディレクターで、ドキュメンタリーや歴史、旅番組などを手掛けている。

映画づくりのきっかけは、東日本大震災後の二〇一二年、大飯原発が政治判断で再稼働されたことだ。「福島であれほど過酷な事故がありながら、なおもこの国は原発を運営していくつもりなのか」とショックを受けた。同時に、再稼働に反対する人が全国から県内に集まり、抗議がヒートアップする様子にも違和感を覚えた。おおい町民が翻弄(ほんろう)される状況に「日本社会のひずみや、東京と原発立地との距離感を感じた」

(略)

登場する町民は原発について多くは語らない。映画の終盤、町民二人の会話で「こんな話がもっとオープンにできればいいなあ。純粋にみんなどう思っているのかを」とこぼす場面がある。

川口さんは「人々が口をつぐんでしまいがちなところは、日本の縮図でもある。原発政策について、もっと本音をいろんなところで言い合えるようになっていいんじゃないか」と感じたという。試写以外では県内での上映は初めて。「例えば福井市とおおい町でもまた違う距離感があると思う。それを感じて欲しい。率直な意見や批判を聞きたい」と話す。

九日は午後二時半からの上映後、川口さんの舞台あいさつがある。
(今井智文)

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