地域振興 原発頼らず 福井、推進から廃炉時代に 北陸30年 その先へ(4)via 日本経済新聞

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山口町長は建設省勤務を経て、平成の始まる半年前の1988年7月に美浜町収入役に就任。助役を経て、99年3月に町長に初当選してからも一貫して原子力発電所の建設・運転を推進。「国のエネルギー政策に貢献している」というプライドを持ってきた。

原発関連の交付金をもとに道路などのインフラ整備を進めた。福井県などとともに国に働きかけた結果、2003年度からは原発や関連施設などが立地する自治体に支払われる電源三法交付金制度が見直され、交付金を柔軟に運用できるようになった。「ハコモノ以外の整備も進めることができた」という。

04年8月、関西電力美浜発電所3号機で蒸気が噴出し、協力会社の作業員5人が死亡し、6人が負傷した事故が発生したときは現場に急行。原発の”怖さ”も十分に知っている。

その後も原発推進を掲げて当選を続けてたが、19年3月の町長選には出馬しないことを表明。今は「原子力は依然として重要だが、水産業や農業、観光業も並行して発展させなければならない」とも話す。

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福島事故後に一変

北陸には合わせて17基の原子炉があった。関西電力が美浜、高浜、大飯の3カ所の原発で計11基。日本原子力発電の敦賀原発に2つ、北陸電力の志賀原発に2つ。そして高速増殖原型炉「もんじゅ」と新型炉「ふげん」だ。

ところが、現在、地元同意も含め運転が認められているのはわずか4基。関電の高浜3、4号機と大飯3、4号機だけだ。

関電の美浜1、2号機と大飯1、2号機、日本原電の敦賀1号機、そして「もんじゅ」「ふげん」は廃炉が決まっている。「ふげん」を除けば廃炉が決定したのは2015年以降。東日本大震災後、原子力を取り巻く状況が変わる中、一気に進んだ。

廃炉についてはマイナス面もある一方、「ビジネスチャンス」という側面もある。今後、世界中で廃炉が進む見通しで、今のうちに廃炉技術を確立できれば、こうした需要を請け負うこともできるからだ。

一方、美浜3号機と高浜1、2号機は運転期間を40年から60年に延長することが原子力規制委員会から認められ、現在、補強工事を進めている。工事終了後、地元の同意を得られれば、再稼働できる。

中ぶらりんの状態なのが、日本原電の敦賀2号機と北陸電の2つ。いずれも「運転再開を検討している」とするが、時期などはめどが立っていない。北陸電の原発は福島第1原発と同じ「沸騰水型」の原子炉で、このタイプで再稼働している原発はいまのところ1つもないのが現状だ。

 

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