日本原燃が六ケ所村「再処理工場」を公開 ずさん点検、完成延期…核燃サイクルの未来は? via 産経ニュース

日本原燃は6月8日、青森県六ケ所村で、使用済み核燃料再処理工場などの施設を報道陣に公開した。再利用可能なウランやプルトニウムを取り出す再処理工場は、国の核燃料サイクル政策の中心となる施設。原子力規制委員会の審査が大詰めを迎えているが、これまで24回もの完成延期を繰り返し、昨年には周辺施設を含めて長年点検がおろそかにされてきた実態が発覚するなど、トラブルも続いている。(社会部編集委員 鵜野光博)

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再処理工場では昨年8月、非常用電源建屋に雨水約800リットルが流入。これをきっかけに、施設内に一度も点検されていない“開かずの間”があったことなど、ずさんな点検体制が発覚した。

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鬼門のガラス固化

敷地内には、低レベル、高レベル双方の放射性廃棄物を埋設、または一時貯蔵する施設がある。低レベル放射性廃棄物埋設センターは平成4年から操業し、現在までに約30万本の200リットルドラム缶を受け入れた。原燃の担当者は「低レベル放射性廃棄物は、原発などで使われた金属が放射化(放射性物質に変化)したものだと考えていい。コバルトは半減期が5年で、50年はしっかり管理しなければならない」と話す。

一方、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターには、将来は最終処分場に移送されるガラス固化体が中間貯蔵されている。ガラス固化体を説明するには、再処理の工程に触れなければならない。

再処理の工程は、まず原発から運ばれてきた使用済み燃料をプールで貯蔵し、冷却。燃料を切断、硝酸で溶かし、ウラン・プルトニウムとそれ以外の核分裂生成物とに分離し、さらにウランとプルトニウムも分離する。次にそれぞれを精製した後、硝酸を除いて粉末にし、「ウラン酸化物粉末」と「ウラン・プルトニウム混合酸化物粉末(MOX粉末)」として製品貯蔵する。分離の工程で生じる高レベル放射性廃棄物を、ガラスと混ぜ合わせたものがガラス固化体だ。再処理工場ではこの「ガラス固化」も重要な工程となる。

6月8日にはガラス固化技術開発施設も公開された。原燃によると、平成9年に完成予定だった再処理工場が24回も延期された主な理由は、(1)初期の仕様変更(2)プールからの漏水(3)ガラス固化の技術開発(4)安全性向上-の4つ。

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なぜ遠隔操作が必要なのか。担当者は「原発では人間が近づけない機械はないが、再処理工場では高レベル廃液が工場の中を回っているため、近づけない機械はいっぱいある」とその理由を説明した。

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再処理工場の現時点での完成予定は33年上半期となっている。ただ、将来の視界はあまり開けていない。核燃料サイクルの中心施設に位置づけられてきたが、サイクルで重要な役割を果たすはずだった高速増殖炉は、原型炉「もんじゅ」(福井県)の廃炉が決定し、実現への道は絶たれた。生産するMOX燃料を消費する原発の再稼働のペースも遅い。また、ガラス固化体が移送される最終処分場は、経済産業省が昨年7月、候補地となり得る地域を示した日本地図「科学的特性マップ」を公表したものの、地域選定の見通しは全く立っていない。

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