福島第1原発の見学 忘れかけていませんか via 上毛新聞

福島第1原発はとてつもなく広かった。2月、日本科学技術ジャーナリスト会議が主催する見学会に参加した。廃炉作業が続く構内で見たこと、感じたことを報告したい。

JR富岡駅で集合。参加者15人で東京電力のバスに乗り、出発した。大熊町の帰還困難区域を通過中、津波で壊れたままの店舗が並び、除染廃棄物を詰めた黒い袋が野積みされているのを目にした。原発まであと2キロ地点で撮影は禁止。代表者だけが写真、動画の撮影を許される。

到着すると、ホールボディーカウンターの検査を受けた。見学後も測定し、放射性物質をどのくらい体内に取り込んだかを確認するためだ。

[…]

3号機の原子炉建屋上部にカバーを取り付ける作業が進んでいた。使用済み核燃料を取り出す際、放射性物質が飛散するのを防ぐためだ。今夏、取り出しが始まるというが廃炉まで危険な作業が続く。

再びバスに乗り、2、3号機の間を通ると、水素爆発で吹き飛んだ建物がそのまま残り、事故のすさまじさを見せつける。測定器はぐんぐん上がり、最大で毎時314マイクロシーベルトを示した。約4時間の見学だった。体が重い。言いようのない虚脱感に襲われた。

見学後の積算線量は0.02ミリシーベルト。歯科のレントゲン2回分だから問題ないと、日常で受ける放射線の解説を聞く。それが科学的な事実だとしても、歯科と原発事故での放射線とを同列に語るのは違和感を覚える。

構内で持ち歩いた取材ノートとペンは今も手元にある。もし私に小さな子どもがあれば家に持ち帰っただろうか。放射線に対して鈍感になっていないかと自問した。

[…]

 

全文

 

This entry was posted in *日本語 and tagged , , , . Bookmark the permalink.

Leave a Reply