プールに566本の核燃料 取り出し準備進む福島3号機ルポ via 産経ニュース

 平成23年3月14日、水素爆発によって原子炉建屋が無残な骨組みをさらした東京電力福島第1原発3号機。今年2月初旬、見学した3号機にはきれいなカバードーム屋根がかけられ、事故直後の面影はなかった。ただ、中では30年度半ばの使用済み燃料取り出し開始に向けて、決して低いとはいえない放射線環境の中で準備作業が行われている。3号機の使用済み燃料プールの現状をルポする。(社会部編集委員 鵜野光博)

見学中に放射線アラーム

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地上約36メートルの高さにある3号機の最上階。プールには燃料取り扱い機クレーンなどが設置され、取り出し作業が間近に迫っていることを感じさせる。ドーム状の屋根は8つの部品のうち6つの設置が済んでおり、2月初旬の時点では、未設置の部分から青空や、隣接する2号機が見えた。

東電の担当者の説明を聞いている間に、7人の一行のうち誰かのAPD(警報付きポケット線量計)が「ピイーィ」と独特な音で鳴った。0・02ミリシーベルトごとに鳴るよう設定されている。作業員ではない一般人の被曝(ひばく)限度は1日0・1ミリシーベルトだ。

担当者は説明の傍ら、記者らの線量計の値を頻繁に確認している。APDは各自の防護服の胸ポケットに入っているが、自分では半面マスクが邪魔になってのぞき込みにくい。滞在20分を過ぎた頃、担当者は「そろそろ降りましょう」と一行に作業用エレベーターへ移動するよううながした。

高線量オペフロとの格闘

長時間の滞在を阻んでいるのは、使用済み燃料からの放射線ではなく、オペレーティングフロア(オペフロ)と呼ばれる床部分からの放射線だ。

東電によると、建屋最上階にあるオペフロでは事故前、燃料交換機を使った作業などが行われていた。しかし、水素爆発によって高線量のがれきが散乱し、さらに燃料溶融で生じた放射性物質のガスがフロアに充満。事故後の空間線量は毎時2000ミリシーベルトに達し、人が入れる場所ではなかった。

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重機の遠隔操作などによってがれきを取り除き、コンクリートに付着した放射性物質を削り、削り取れない部分は金属の遮蔽体で覆うなどの対策を重ね、現在の線量は高い場所で毎時0・7ミリシーベルトにまで下がった。一般人も見学を許されるようになったのは、昨年11月からだ。

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滞在25分で胸部X線1回分

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取材で外から見学した1号機では、屋上部分で赤いランプが細かく点滅していた。「あれは象の鼻のような装置をクレーンでつって、小さいがれきを吸引しているところですよ」と担当者。「1号機では今までオペフロ調査の支障になる小さいがれきを撤去してきたが、1月22日から崩落した屋根などのがれきの撤去を始めた。2号機は建屋が水素爆発を免れた半面、中の汚染状態が他の号機よりひどい。使用済み燃料の取り出しでは、3号機が一番進んでいる」

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記者らがオペフロに滞在したのは約25分間だった。防護服を脱ぎ、APDを確認すると0・06ミリシーベルト。胸部X線の1回分と同程度だという。「線量はあくまで高いが、人も入れなかった場所が今、作業員が1~2時間働けるまでに改善した。準備作業を確実に進め、予定通りの取り出しを実現したい」と担当者は力を込めた。

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