福島除染「手抜き」 汚染土詰めた二重袋の内袋を閉めず 1000袋発見 via 東京新聞

東京電力福島第一原発事故以降、福島県飯舘村で実施された除染事業で二〇一五年十月、汚染土壌を詰めた二重構造の除染袋(フレコンバッグ)のうち、防水機能のある内袋が閉められていないものが千袋、見つかっていた。雨水などが浸入し、汚染水として漏れる恐れがある状態。扱った特定業者のみの手抜きとされ、千袋を詰め直したが、当時の作業員は手抜きは他業者もやっていたと証言した。未発見の手抜きフレコンが今も大量に放置されている可能性がある。 (坪井千隼、小沢慧一)

問題の除染事業は環境省が発注し、大手ゼネコン大成建設などの共同事業体(JV)が受注。一五年一月から一七年三月まで飯舘村で行われた。関係者の内部資料によると、一五年十月、飯舘村比曽地区の除染現場で出たフレコンを地区内の仮置き場に搬送中、一部のフレコンから水がにじみ出ているのが見つかった。

調べたところ、内袋が閉まっていなかった。黒い外袋は水を通すため、内袋が閉まっていないと雨水などが入る。施工は名古屋市の二次下請け業者だった。大成建設の指示で、この業者が担当した計二千九百八十四袋を調査したところ、千四十七袋(35%)で内袋が閉まっていなかった。

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 一方、問題とされた業者関係者は本紙に「不良施工は申し訳ないが、同様の不良は他の業者にもあり、うちだけが問題とされたのは納得できない」と主張する。現場では、複数の業者が同時に作業を行っていた。問題が発覚した業者とは別の会社の作業員は「手抜きは他社もやった。目の前で見た」と証言した。問題の業者の施工分を除き、比曽地区の仮置き場には今も二万袋以上のフレコンが置かれている。

環境省福島地方環境事務所によると、比曽地区の仮置き場の保管分は今後、中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)へ搬出される。現在は全体を遮水シートで覆っており「仮に手抜きフレコンがあっても雨水が入る可能性は低い」とするが、移送中などに雨が降れば作業員が汚染水に接触したり、路上に漏れたりする恐れがある。

◆「速さ重視だった」 目撃作業員、崩れる可能性指摘

 福島第一原発の事故後に福島県飯舘村比曽地区で実施された除染事業で、汚染土壌を二重構造の除染袋(フレコンバッグ)に詰める際、防水機能のある内袋を閉めない手抜きが横行していた可能性が浮上した。当時、現場にいた四十代男性は「作業のスピードが大事だった」と手抜きの実態を暴露した。

 男性は、二〇一五年十月に発見された内袋の閉まっていないフレコン千袋を手掛けた業者とは異なる二次下請け業者の従業員。現場作業のリーダー格だった。

 汚染土壌をフレコンに詰める作業は通常、フレコンキーパーと呼ばれる金枠にフレコンを固定し、ショベルカーなどで汚染土壌を入れる。固定が甘かったり、土が片寄ったりして、内袋部分が中にずり落ち、閉まらなくなることは珍しくなかった。中身を出して詰め直す必要があるが、男性は「一袋詰めて数千円という作業。スピードが大事で、ほとんどの業者はそのままにしていた。感覚的には半分ぐらいは内袋を閉じていなかった」と明かす。

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 通常、土を入れたフレコンは除染現場に置かれた後、一定数が集まると近くの仮置き場に搬出する。搬出まで数カ月かかることもあり、その間、雨が降ると、手抜きフレコンの中に雨水がたまる。男性は「運ぶ途中に水に触れることもある。気持ち悪かった。仮置き場に山積みする時、手抜きのやつはぶよぶよで安定しないんで、きちんとした袋で挟むなどし、強引に積んだ」と振り返った。

 男性は結果として、危険性が否定できないフレコンを現場に残したことに「今も頑張ってる若い作業員たちに申し訳ない」と苦渋の表情を浮かべた。その上で「自分の仕事に手いっぱいで、手抜きを改善する余裕がなかった。フレコンの山を崩す時、手抜きフレコンはバランスが悪いので崩れる可能性もある。一トンもある袋が転がってきたら命が危ない。注意してくれと伝えてほしい」と訴えた。

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