福島第1原発ルポ 廃炉の道、果てしなく 増える汚染水、デブリ手つかず /茨城 via 毎日新聞

東京電力福島第1原発事故は11日で6年8カ月を迎えた。本紙記者は先月下旬、廃炉作業が続く同原発の構内に入った。大型の休憩施設が完成するなど作業環境の整備が進んだ一方、タンクに保管する汚染水は今も増え続け、事故で溶け落ちた核燃料は位置や形状すら判然としない。原発廃炉の果てしない道のりを改めて実感した。【山下智恵】

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国道6号を右折し、同原発正面につながる道路に出ると、線量がさらに上昇。バスの中にもかかわらず、同行した東電社員が持っていた放射線量測定器は毎時4マイクロシーベルトを示していた。車外では毎時10マイクロシーベルトに達することもあるという。この日の水戸市の放射線量は毎時0・045マイクロシーベルトだった。

 構内に入るとすぐ、防じんマスク、軍手、靴下2枚を着用した。使い捨てで、持ち帰らない。それでも構内の除染が進んだ結果、使い捨ての防護服を着用せずに作業できる「一般服エリア」が構内の95%を占めるようになったという。

 しかし汚染の厳しさを示す光景をしばしば目にした。構内を走る車の多くがナンバープレートを付けていない。付着した放射性物質を外に出さないよう、構内専用車両として使っているためだ。

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プールから使用済み核燃料を取り出したのは、発生当時は停止中だった4号機だけで、1~3号機の取り出しが終わるまでには、あと5年以上かかる予定だ。

 難しいのは、炉内に溶け落ちたデブリの取り出しだ。現在の工程表では、21年に作業を開始し、30~40年で廃炉完了の目標を掲げる。

 取り出しを困難にしているのが高い放射線量だ。バスで3号機の横を通過した際、東電社員が持っていた放射線量測定器は毎時214マイクロシーベルトに達した。車外では毎時1000マイクロシーベルトを超える場所もあるという。現状ではデブリに近づくこともできず、カメラ搭載のロボットで位置や形状を調べている。

構内の作業員は現在約5600人ほどで、ピーク時の約7500人からは減少した。作業員は構内でガラスバッジと呼ばれる個人線量計を装着しており、東電によると、7月の月間被ばく線量は平均で0・35ミリシーベルトだったという。ちなみに記者はこの日、構内に3時間滞在。東電から渡された個人線量計が記録した被ばく線量は0・03ミリシーベルトだった。

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その一方で、全国の原発で再稼働が進み、県内でも日本原子力発電東海第2原発の安全審査が大詰めに差し掛かっている。この大事故を経験してもなお、向き合う覚悟があるのかが問われている。

 

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