【衆院選特集(2)福島】清き一票はどこに吹き寄せられるのか? 惨事戒厳令の地・福島 via 人民新聞

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2011年3月11日、東京電力福島第一核発電所の放射能放出事故の直後、時の菅首相が発令した原子力緊急事態宣言は、12月に野田首相が核事故の収束を宣言したにもかかわらず、6年半後の今も撤回されていない。

そして、文部科学省は事故のほぼ1か月後、4月19日付け文書「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を福島県知事・教育委員会あてに通達し、福島県内の子どもたちの年間被曝限度を20ミリシーベルトと定めた。

この特例措置を「国際的基準を考慮した対応」と言いつくろおうが、民間人の年間被曝限度を1ミリシーベルトと明記した電離放射線障害防止規則を無視する「超法規的」措置であり、根拠は事故後に届いた国際放射線防護委員会(ICRP)書簡だけである。

たとえば県境の南の茨城県では、公園の測定値が年間1ミリシーベルト限度を超える場合、立ち入りが規制されるが、福島県の市町村では除染事業が終了したとして、まったくお構いなし。福島県民は、憲法が保証する「法のもとの平等」を否定さている。

福島県は、ICRPをはじめ、国際原子力機関、世界保健機関、原子放射線の影響に関する国連科学委員会、放射線影響研究所など、国際原子力ロビーの治外法権地といっても過言ではない。

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事故直後、放射能「安全」ならぬ「安心」を説いて回った山下俊一・長崎大学教授(福島県立医科大学の非常勤副学長を兼任)は、5000億円の医療利権を手土産に福島県入りしたという。廃炉・除染・復興など、巨大事業も利権の温床といって間違いないだろう。

いくつかの賠償訴訟を除いて、たいがいの福島県民は従順な姿勢を保っている。三代目だという若い商店主は筆者の出席した座談会で、「現在の放射線値は安全だという専門家がいます。危険だという学者もいます。わたしがどちらかに賛成すれば、『中立』じゃなくなっちゃうでしょ」と語った。

筆者は唖然として、「放射能汚染はあなた自身の問題であり、子どもの健康にかかわる事態です。あなた自身が第三者的な立場を捨てて行動すべきじゃありませんか」と諭したが、わかっていただけたかどうか、自信がない。

もうひとつ例をあげると、2012年夏以降、毎週挙行している「原発いらない金曜日!」郡山駅前フリートーク集会で、バナーを掲げていた若い女性に中年男が寄ってきて、「オメェ、どこに勤めているんだ」と脅したことがある。

教育委員会だけでなく、商工会、医師会、地元新聞社など、(放射能と同じく)目に見えない戒厳令体制の構成機関は、多岐にわたる。

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子どもの被曝反対は一部野党のみ

余談だが、事故後に整備された郡山市内4か所の遊戯場について語りたい。外遊びの機会を奪われた子どもたちのために、市内各地に屋内遊戯場の設置が計画されていたが、「屋内の施設を作ることで、県外に誤った(郡山が危険だという)情報を発信することになる」という理由で、屋外遊戯場に変更された。

郡山市「2014年9月補正予算」は、子育て支援・教育振興関連経費として、整備事業の実施設計委託のために7100万円が計上されたが、反対討論に立ったのは共産党会派と市民会派だけであり、自民、民主、社民(!)各会派の賛成で可決された。 市議会レベルでは、保守と革新を問わず地縁・血縁のしがらみが強いようであり、このような事情も被曝地戒厳令体制を強固に支えている。

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